フンザに行くには、イスラマバードから飛行機でギルギットまで行きそこから陸路で移動するか、最初から最後までずっと陸路かのふたつ。(パキスタン国内から行く場合)
「ずっと陸路」コースだと、途中で宿泊しながらカラコルムハイウェイを延々と走っていくことになります。
カラコルムハイウェイは、パキスタンからクンジュラブ峠を通って中国に抜ける主要な道路ですが、ハイウェイとは名ばかりに、山間に入ると今にも崖が崩れてきそうなスリル満点のオフロードに変貌。
車内では体が飛び上がり、ヘタに眠ればムチウチも免れないような揺れようなので、いつしか、一番衝撃の強い後ろの席は「カラコルムトランポリン」と命名されるほど。
体を上下左右に揺られながら「すごいところに来ちゃった♪」という気分にさせてくれます。
写真:Kaycom D
地図を見るそんなハードな道のりですが、陸路移動ならではの楽しみもあります。
パキスタンといえばド派手なデコトラが有名なのですが、このクオリティーがかなり高い。
陸路で行くと、そんな趣向を凝らした様々なデザインのトラックに遭遇する機会も増え、切り立った崖っぷちを見事な運転で疾走する光景は、なかなかの見もの。
トラックの運転手たちは、このデコレーションにかなりの投資をしていて、駐車場などでは、ほこりで汚れた車体を一生懸命磨いている姿をよく目にします。
また、トラックだけでなく普通の自家用車や、はては自転車までにもデコレーションを施し、いかつい顔をした男性が、かわいい花の飾りを自転車のハンドルにつけて走っている姿はなんとも愛らしい。
トラック野郎のたまり場にカメラを持って行けば、すかさず「俺のトラック自慢」が始まり、写真を撮ってくれとお願いされることもしばしば。
カラコルムハイウェイで見られるインダス川沿いの風景もかなりすごい。
険しい山間に聳える世界第9位の高峰ナンガパルバットや、水の色が違うインダス川とギルギット川が合流するジャンクション、三大山脈(ヒマラヤ山脈・カラコルム山脈・ヒンドゥクシ山脈)の合流地点などのスケールの大きな景色を見ることができます。
そして、そんな絶景続きの大自然の中で暮らす人々の姿も見逃せません。
ゆったりと流れるインダス川に沿うように家が建ち、そこで家畜の世話をしたり、洗濯をしたり、時には砂金を採ったり・・。
道中で出会えば、とびきりの笑顔で挨拶してくれるでしょう。
写真:Kaycom D
地図を見る壮大な景色と人々との出会いを繰り返しながら、風の谷の桃源郷フンザに辿りつきます。
「風の谷」と聞くと、宮崎駿監督の「風の谷のナウシカ」を思い浮かべるという方も多いのではないでしょうか。実はこのフンザ、その谷のモデルのひとつともなったと言われる場所なのです。村は険しい山に囲まれ、立ち並ぶ古い家々も映画に出てくるような感じ。
他にも、「草原の椅子」という映画のロケ地にもなり、「ホテルフンザエンバシー」でも撮影が行われました。
さらに、谷の背後に聳えるウルタルで亡くなった、登山家の長谷川恒男氏の遺志をついで建てられた「ハセガワメモリアルスクール」があります。
校内は見学することができ、校長先生の都合が合えば、フンザの子ども達の教育事情や日本との関係など貴重なお話を聞くこともできます。
ここへ来るまで結構な道のりですが、意外に日本と所縁のある場所なのですね。
そしてこの時期、フンザの谷は杏の花で桃色に染まります。
長い悪路を越えてようやく辿りつく桃源郷では、ほんわかと香る春の風の中で、心がゆるゆると溶けていく感覚を味わえるでしょう。
フンザの中心地カリマバードは、ホテルやゲストハウスもたくさんあり、フンザ観光の拠点となる場所です。
※カリマバードの詳しい記事は関連MEMOの『桃色に染まるフンザ渓谷!パキスタン北部のカリマバードで秘境を満喫』をご覧ください。
フンザはパキスタンに吸収される前は王国だったのですが、そのなごりはバルチット城などで見られます。
高台に建つこの城はチベットのポタラ宮を模したとされていて、規模こそオリジナルに及びませんが、外見はチベットの建物そのもの。屋上にはカウチがありフンザの谷を一望できます。当時の王様もここに座って麓の村を眺めていたのでしょうね。
村の中を歩けば、ここでも村人たちが親しげに声をかけてくれます。街角では老人たちが集まって話に花を咲かせていたり、若者が楽器を演奏しその前で子どもたちが踊っていたりとなんとも長閑。
そんな光景を見ているだけで、こちらも自然と笑顔になってしまいます。
壮大で荒々しいカラコルムハイウェイの大自然と、谷全体が淡い桃色に染まるフンザの風景はまさに一見の価値あり。
道のりは少々ハードですが、それでも心から行ってよかったと思える場所。
ぜひその感動をみなさんも味わってみてください!
この記事を書いたナビゲーター
Kaycom D
秘境・絶景・温泉巡りをして、行く先々の写真撮影と旅行記を作成。10代のころから写真を撮り始め、旅行に行くときは一眼レフカメラとコンパクトカメラを携行。これからも、世界中の絶景や旅先で出会った人々、異文…
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