日本のエーゲ海・牛窓のシンボル!高台に立つ岡山県・本蓮寺

日本のエーゲ海・牛窓のシンボル!高台に立つ岡山県・本蓮寺

更新日:2015/10/06 14:07

乾口 達司のプロフィール写真 乾口 達司 著述業/日本近代文学会・昭和文学会・日本文学協会会員
岡山県瀬戸内市の牛窓地区に広がる海は「日本のエーゲ海」と呼ばれ、全国的に知られています。そんな「日本のエーゲ海」を象徴するお寺こそ、時代を感じさせる街並みが続く牛窓地区の高台に立つ本蓮寺。今回は文化財クラスの建造物が立ち並び、朝鮮通信使とも深いかかわりを持つ本蓮寺をご紹介しましょう。

牛窓のシンボル!海上から眺めた本蓮寺

牛窓のシンボル!海上から眺めた本蓮寺

写真:乾口 達司

地図を見る

本蓮寺の創建は、正平2年(1347年)。京都・妙顕寺の座主であった大覚大僧正が、現在の本堂を建立したことにはじまります。古くより瀬戸内海における風待ち、潮待ちの港として栄えたこともあり、江戸時代には、江戸へと向かう朝鮮通信使(将軍の代替わりなどを祝して、朝鮮から派遣された外交使節団)が寄港し、たびたび本蓮寺に滞在しています。毎年10月の第4日曜日にもよおされる「唐子踊り」は、そのときの朝鮮通信使の風俗に影響を受けたと考えられていますが、そういった歴史性もあり、現在は「朝鮮通信使遺跡牛窓本蓮寺境内」の名で国指定の史跡となっています。

ご覧のように、境内は港を見下ろす高台にあり、海上からもその姿がはっきり確認出来るほど。まさしく牛窓のシンボルであるといえるでしょう。

優美な屋根の曲線美に注目!国の重要文化財に指定されている本堂

優美な屋根の曲線美に注目!国の重要文化財に指定されている本堂

写真:乾口 達司

地図を見る

本堂は明応元年(1492)の再建。本瓦葺きで5間四方の寄棟造り。ご覧のとおり、均整のとれた建物で、特に注目していただきたいのは、屋根。海からの風の影響を極力小さくしようとしたせいでしょうか、軒まわりが低いのに対して屋根が大きく張り出しており、その張り出しが優美な曲線美を強く印象付けています。その美しさを、ぜひ、ご堪能ください。

こちらは県指定の重要文化財!江戸時代に建立された三重塔

こちらは県指定の重要文化財!江戸時代に建立された三重塔

写真:乾口 達司

地図を見る

三重塔の建造は、江戸時代の元禄3年(1690年)。本瓦葺で3間四方。高さは12.6メートルで、その均整のとれた姿は絶品です。

重要文化財に指定されているのは全国でたった3ケ所!そのうちの一つ・番神堂

重要文化財に指定されているのは全国でたった3ケ所!そのうちの一つ・番神堂

写真:乾口 達司

地図を見る

本堂の裏手、覆屋に保護されてひっそりと建つ番神堂も見落とさないでください。番神堂は法華経を守護する三十番神をまつった神堂。東より東祠・中祠・西祠が並んでいます。いずれも室町時代後期の建造と考えられており、室町時代の小型社殿の様子をよく伝えています。特に留意していただきたいのは、番神堂として重要文化財に指定されているのが全国でたった3ケ所であり、そのうちの一つが、ここ、本蓮寺の番神堂であるという点。そんな貴重な文化財が牛窓にあったこと、ご存知でしたか?

風光明媚な牛窓の海も眺めよう!境内からの眺め

風光明媚な牛窓の海も眺めよう!境内からの眺め

写真:乾口 達司

地図を見る

本蓮寺の魅力は貴重な古建築にだけあるわけではありません。境内からは、ぜひ、牛窓の海も眺めてみましょう。海の向こうに見えるのは前島。境内自体が高台にあるため、眺望は抜群。牛窓の眺めをご堪能ください。

おわりに

本蓮寺がいかに貴重な古刹であるか、おわかりいただけたでしょうか。境内には他にも客殿があり、小堀遠州の手によるといわれる庭園もあります(要予約)。牛窓を訪れたら、牛窓の歴史と深いかかわりを持つ本蓮寺にも足を運び、牛窓観光のよい思い出としてください。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/08/11 訪問

条件を指定して検索

- PR -

新幹線特集
この記事に関するお問い合わせ

- 広告 -