写真:Hiroko Oji
地図を見るフランス・ピレネーの山々に囲まれた小さな町ルルド(Lourdes)は、カトリック最大の巡礼地として、世界中の人が訪れる聖地の一つです。聖域には、立派な聖堂の建物が建ち、広大な敷地を持っているのですが、それに負けないくらいの立派な建物が城塞です。
城塞は、ルルドの町の中を蛇行するポー川の畔から見上げると、切り立った岩山の上に聳えていて、まるで町を見守るかのよう。昔から軍事的にも要衝の地だったことから、重要な役目を持っていたと考えられます。現在では城内はピレネー博物館として、一般公開されています。
写真:Hiroko Oji
地図を見るピレネー博物館の展示は充実した内容となっています。居間や寝室、台所を再現して、昔から使われていた農具や家具、道具、衣装などの展示があるのはもちろんのこと、この地方の民俗文化を伝える資料も豊富です。また開放的なテラスには、この周辺で引き継がれてきた様々な建築様式の建物のミニチュア版も展示されており、見応えたっぷりです。
写真:Hiroko Oji
地図を見る城塞のてっぺんには、とんがり屋根の塔と共に、広々とした屋上テラスがあります。ここからは、広大な敷地の聖域を見下ろすことができます。二つの堂々とした聖堂の建物や、背後の洞窟を麓に抱えた山、広い芝生の敷き詰められた公園に、まっすぐ延びる参道など、一目で見渡せる風景は格別です。
また、反対側には箱庭のような町並みも見下ろせ、遠くはピレネーの雪を被った山並みが見通せるのも嬉しい眺めです。
写真:Hiroko Oji
地図を見る城塞から見下ろした町並みへと入って行きますと、ホテルやお土産物屋さんがぎっしり建ち並ぶ通りが続きます。路地の表示に従って石畳を進んでいくと、辿り着くのが「ボリーの水車小屋」(Moulin de Boly)。奇跡の泉を発見した一人の少女ベルナデットの生家です。ここでは、ベルナデットが生まれたという部屋を見ることができます。ベルナデットや家族についての説明が展示される部屋の後は、ベッドや質素な家具の狭い部屋や台所に続き、水車小屋の様子も開放されていて、興味深く見学できます。
その後、貧しさがゆえに家賃が払えなくなったために、城塞の反対側にあるカショー(Le Cachot)に移り住みました。昔牢獄として使用されていた、たった一部屋の暗くて狭い家で、ここへも路地に案内表示がありますので、辿って行ってみてくださいね。貧しい中でも家族には祈りの声と明るい笑い声が絶えることがなく、このカショーに住んでいた頃に、ベルナデットは聖母マリアに出会ったといわれています。どんな状況下でも、思いやりの心と笑い声を忘れたくないものですね。
写真:Hiroko Oji
地図を見る城塞の麓や、水車小屋の周囲には石畳の路地が入り組んでいて、両側には石造りの建物が建ち並びます。その中に入っているのが、ホテルやレストランやお土産物屋さん。お土産物屋さんの店頭には、写真のような、ポリボトルが大小取り揃えられています。病を抱えて、ここまで来ることのできない人に代わって、家族や友人が訪れて、聖域にある泉の水を汲んで持ち帰ることができるようにということからです。一人でも多くの人が、この水で奇跡に巡り合えるように、祈るばかりです。また、聖堂前や奥の洞窟に立っていた聖母マリア像もお土産となっているのが、ルルドらしいところです。
ルルドの町並みの見どころをご紹介しましたが、ここはあくまでも、巡礼地であることを忘れずに、敬虔な気持ちで歩きたい町です。聖域の裏山に続く巡礼の道もハイキングコースのようになっていますが、途中、階段で像に近づくところがあり、ここも信者なら膝をつきながら1段1段上っていく神聖な場。軽率な行動は差し控えたいものです。といっても、ピレネー山脈を遠く眺めながら、自然の中へ飛び込める町でもありますので、町並みも自然の醍醐味も、たっぷり楽しんでくださいね。
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この記事を書いたナビゲーター
Hiroko Oji
旅の計画を練り、現地でその土地ならではの経験を楽しみ、帰ってきたら写真の整理をして旅行記や記事を書くと、一つの旅で3〜4回楽しんでいます。アメリカで大自然の偉大さに圧倒され、人生観が大きく変わりました…
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