神仏習合の遺構・埼玉県飯能市「竹寺」 ここはお寺、でも本尊は牛頭天王。さあ茅の輪をくぐってお参りに!

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神仏習合の遺構・埼玉県飯能市「竹寺」 ここはお寺、でも本尊は牛頭天王。さあ茅の輪をくぐってお参りに!

神仏習合の遺構・埼玉県飯能市「竹寺」 ここはお寺、でも本尊は牛頭天王。さあ茅の輪をくぐってお参りに!

更新日:2015/11/03 15:29

松縄 正彦のプロフィール写真 松縄 正彦 ビジネスコンサルタント、眼・視覚・色ブロガー、歴史旅ブロガー

鳥居の下の茅の輪をくぐってお参りを・・、というと、神社と思われますが、ここはお寺、本尊も仏様ではなく牛頭天王なのです。江戸時代までは神様と仏さまが1か所で祀られるのが普通でした。ここは神仏習合の姿を残す”東日本唯一の遺構”で、病気消除や出世開運のご利益がある寺なのです。また竹の気を浴び、文人の書を楽しみながら精進料理を味わう事もできます。

神仏分離から逃れた寺

神仏分離から逃れた寺

写真:松縄 正彦

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竹寺(写真)は飯能市から車で30分の山中にあります。

江戸時代までは神様と仏さまが1か所で祀られる"神仏習合"という形がとられていました。いわば仏さまが神様の姿を借りて現れた(逆も)という事になりますが、明治政府が神仏分離、国家神道を進めた事により、この従来の伝統や歴史が大きく変化してしまいました。
この時の混乱で多くの寺院が廃寺になったり、神社でも祭られている神様が変わったりしたのです。

しかしここ竹寺は、今も神仏習合が守られている東日本で唯一のお寺です。神仏習合が守られた背景は不明ですが、山奥で地元の人や講の信仰が強かった事などが影響したのでしょう。ちなみに近くの正丸には“安産地蔵尊”があり、このお地蔵さまも神仏分離に反対されたというお話が伝わっています。

本尊は牛頭天王

本尊は牛頭天王

写真:松縄 正彦

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竹寺のご本尊は牛頭天王です。
牛頭天王はインド祇園精舎の守護神ですが、奈良時代までに日本に伝わり陰陽道、道教、密教などとも結びつきました。日本ではスサノオと同体とされています。牛頭天王やその子の八王子権現は疫病を司る神様で、竹寺では“疫病消除”、“除災招福”、“出世開運”の神様として信仰されています。京都の八坂神社が牛頭天王を祭っている事で有名ですが、やはり疫病を鎮めるといわれます。

もともと竹寺は「最澄」の弟子、慈覚大師「円仁」が道場として遺した寺(従って天台宗になります)で、山岳信仰の霊場として千年以上の歴史がある寺です。当時は疫病が流行り、これを憐れんで、疫病を降伏して病気を直すための大護摩の秘法をここで修したのだといわれます。

竹寺本殿の牛頭天王像は12年に一度、丑(うし)年に開扉されるのみでが、境内には中国から寄贈された”牛頭明王像”が建てられ、迫力あるお姿を見る事ができます(写真)。しかしこのお像、表情がなんとなくユーモラスです。また天王ではなく”明王”とされているのは仏教の関係ですね。

蘇民将来

蘇民将来

写真:松縄 正彦

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ところで牛頭天王はもうひとつ、「蘇民将来」の武塔天神としての顔をもっています。やはりスサノオと同一視される神様です。
説話によると、旅の途中で宿を借りようとした武塔神を、裕福な弟の「将来」は断り、貧しい兄の「蘇民」がもてなしたとされます。後に武塔天神は“茅の輪”を兄の娘に与え、茅の輪をつけない弟一族を滅ぼしたというのです。

この説話から“茅の輪”をつけていると疫病を避ける事ができるとされます。竹寺では本殿に行く階段途中にこの茅の輪があります(前掲写真)。まずこの輪をくぐり、心身を清めてください。左回り、右回り、左回りと3回、8の字に回るのがしきたりですが、ここはちょっと狭いので1回渡るだけでも良いでしょう。

また本坊で蘇民将来の護符(写真は本殿にある護符)を求める事ができますが、これは“疫病消除”、“除災招福”、“出世開運”のお守りで、木製六角形をしています。ちなみにこのお守りが男性を、茅の輪が女性を象徴し、両者併せて“子孫繁栄”を意味する、ともされます。さらにこの護符、“こけし”の元になったともされています。

山奥で文化が香る〜俳句、書とも縁がある寺〜

山奥で文化が香る〜俳句、書とも縁がある寺〜

写真:松縄 正彦

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このお寺、山奥にも関わらず文人・墨客が多く来訪されています。本坊とつながったお堂にはこれら文人の方々が記された画や書が部屋の鴨居一面に飾られています(写真)。

変わった所ではお相撲の「時津風親方(元大関豊山)」の書もあります。また「石田純一」さんも来られています。
ここは”奥武蔵俳句寺”としても知られ、境内には俳人の句碑が多くのこされています。また境内には樹齢400年、「太田道灌」が植えたといわれる”高野槙(コウヤマキ)”も茂っています(写真中央)。また竹寺といわれるだけあって周辺には竹が多く茂っています。

またこのお寺の住職は”日本漢字文化センター”の理事長をされており、センターでは毎年、”今年の四字熟語”を1月に発表しています。このイベント会場がここ竹寺なのです。書かれた”書”はここの瑠璃殿で3月頃まで公開されているとの事。ちなみにこのイベント、地元飯能市の”町興し”のために企画され、国際交流にも貢献しているようです。

精進料理や蕎麦膳がおいしい

精進料理や蕎麦膳がおいしい

写真:松縄 正彦

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竹寺では”精進料理”を楽しむ事もできます。自然の恵みである薬草を素材とした薬膳ですが、春(3月〜6月)と秋(9月〜12月)、住職の法話をお聞きしながら楽しめるものです(要予約)。
また竹には“気”(竹気)があるとされ、周囲の竹林を見ながらゆったりと味わうと良いでしょう。テーブルにもみずみずしい青竹が置かれています。

またぶらりと訪れた場合でも”蕎麦膳”(写真)を楽しむ事ができます。文人の画・書が掲げられた部屋で、境内を見ながらゆっくりと料理を楽しむのもここならではの味わい方です。

自然がいっぱい、本格的ハイキングも楽しめる

お寺なのにいろいろご利益がある竹寺、いかがでしょうか。古い神仏習合の形を知り、牛頭天王にお参りする事で病気が消え、また周囲の竹の気を浴びる事できっと開運へと導かれる事でしょう。

竹寺へは車でゆくのが良いのですが、足に自信のある方にはハイキングもお勧めです。ちょっと距離は長目ですが、西武秩父線の正丸駅、あるいは吾野駅からスタートし、足腰にご利益がある”子の権現”を回り、竹寺に到着し、名栗にあるバス停の”小殿”を終点とするコース等があります。メモ欄を参照してください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/09/26 訪問

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