湧水と植物の宝庫・井戸湿原!栃木県鹿沼市前日光横根高原

湧水と植物の宝庫・井戸湿原!栃木県鹿沼市前日光横根高原

更新日:2015/10/16 12:34

前日光横根高原は古峰ヶ原高原、石裂山地区と共に前日光栃木県立自然公園を構成する地区の1つです。域内には、古峰神社や金剛山瑞峰寺、加蘇山神社、賀蘇山神社、深山巴の宿や瑞峰寺の奥之院の三昧石などがあり修験の歴史と自然の宝庫です。

高原は約400種類の高山植物が育つ井戸湿原を中心に横根山、方塞山を歩く周遊コースが整備されていて、ハイランドロッジは109平方メートルの広大な前日光栃木県立自然公園の起点です。

ハイキングコースが整備されている横根高原はハイキング初心者にも優しい高原です

ハイキングコースが整備されている横根高原はハイキング初心者にも優しい高原です
地図を見る

横根高原は長い間、牧場として利用していたため大規模な開発が行われず、自然がそのまま残る高原です。花崗岩が基盤岩の高原には風化によって剥きだした岩が不思議な形で随所で見られます。

高原内には、前日光牧場や、標高1,280m、東西500m、南北60〜140mの細長い形状で、別名「小尾瀬」と呼ばれている井戸湿原、西に赤城山、袈裟丸山、皇海山から日光白根山や男体山、大真名子、女峰山が一望できる像の鼻やつつじの群生地の横根山があります。

前日光ハイランドロッジを起点として、それぞれにハイキングコースが設置されていて、ハイランドロッジから像の鼻まで30分、像の鼻から井戸湿原へは同じく30分、井戸湿原周遊は40分とハイキングタイムが示されています。それぞれの体力や経験によって違いますが、初めての方にはとても参考になります。このように横根高原はハイキング初心者にも優しく接してくれます。

横根高原ハイランドロッジは前日光栃木県立自然公園の起点!高原を100%満喫しよう

横根高原ハイランドロッジは前日光栃木県立自然公園の起点!高原を100%満喫しよう
地図を見る

前日光ハイランドロッジは横根高原内にあるログハウス風の簡易宿泊施設です。宿泊施設は、2段ベットの4部屋が3室、同じく6人部屋が1室、和室の8人部屋が2室あり、夕食は別棟の食事棟のボリュームのあるバーベキューです。そのほかに、鹿沼そばやカレーライス、天どん、かつ丼の昼食や日帰り入浴や休憩もできます。

横根高原は冬季、雪に閉ざされるためロッジの営業期間は4月中旬から11月30日。管轄しているのは鹿沼市役所経済部観光交流課なので問い合わせや宿泊予約はハイランドロッジか、観光交流課になります。

宿泊の楽しみの一つはお風呂。ロッジのお風呂は温泉ではないですが、横根高原の湧水を利用したお風呂は肌当たりが柔らかく温泉に匹敵します。また、高原にある浴室からは男体山が見え絶景の中で入浴ができます。

また、標高1,300mにある高原は夏でも朝夕はとても冷え込みます。しかし、ロビーには灯油ストーブ、部屋にはコタツが1年中設置されているので心配はいりません。簡易宿泊施設ですが安心して宿泊することができます。

井戸湿原は1万年の歳月をかけた自然の宝物!約400種以上の湿原植物や亜高山植物が見られる

井戸湿原は1万年の歳月をかけた自然の宝物!約400種以上の湿原植物や亜高山植物が見られる
地図を見る

井戸湿原は中層湿原です。湿原のできる工程はまず、大地の変動により窪地に水が溜まります、そこに、土や砂が流れ込みスゲなどの植物が育ち枯れた植物が腐らずに底にたまります。底にたまった植物が水面まで達するとミズゴケが茂り、また水が湿原の凹凸にたまりミズゴケが成長することを繰り返し中層湿原と呼ばれます。

その後、凹凸の部分に植物が育ち枯れと繰り返し何千年もかけて高層湿原と言われるようになります。井戸湿原は中層湿原で現在になるまで約1万年の時間がかかりました。東西500m、南北60〜140mのひょうたん型の湿原には周遊コースが設置されているので、湿原植物や高山植物、流れ込む沢の音やウグイス、ヤマガラなどの鳥のさえずりをゆっくりと楽しむことができます。

春には、ヤマドリセンマイや根元に暗褐色の花を咲かせるウスバサインシ、猫の尻尾のような形をして紫色の小さな花を咲かせるクマガイソウ、スミレ、マツムシグサなどが一週間おきに次々と花を咲かせる植物が変わります。夏には、シモツケやツルアジサイ、ヤマアジサイ、釣鐘状の紫の花を咲かせるホタルフクロや鮮やかな紫の花を咲かせるサワギキョウが湿原を彩ります。

そうして秋には紅葉の季節になり1年の締めくくりを迎えます。その後、冬季の季節を経て春のつつじの季節を迎えます。このように横根高原は1年中自然を満喫出来る高原です。

三昧石(三枚石)は金剛童子を祀る金剛山瑞峰寺の奥之院

三昧石(三枚石)は金剛童子を祀る金剛山瑞峰寺の奥之院
地図を見る

ロッジから方塞山の頂上へは前日光牧場沿いの遊歩道を登って約1時間、そこからさらに約15分、つつじ畑を抜けた所に三枚石があります。大きな花崗岩が3つ重なり、その左側に朱塗りの鳥居と小さな本殿があります。ここは、金剛童子を祀る「古峰ヶ原金剛山瑞峰寺」の奥之院。鳥居には「古峰ヶ原金剛山瑞峰寺 奥之院三昧石」と書かれ、おおよそ1250年前、日光山を開いた勝道上人によって奥之院三昧石(三枚石)が開創されたと伝えられています。

三枚石の右手には、石の間から樹が伸びている「夫婦石」、左手奥には辯天龍神、大白竜神、弘法大師の3体が祀られた船の形をした花崗岩の「勝神舟石」があります。三昧石(三昧石)は勝道上人によって開創され、出流山より奥之院を訪れたとき周囲の古色の原野から「古峰原」と名付けたと言われています。

瑞峰寺は古峰神社から神仏分離された寺院で北関東36不動尊の17番札所です。4月〜11月に講中奥之院三昧石参拝が行われ、5月には煩悩を焼き払い、厄除け、家内安全を祈願する「火渡り修行」が行われます。

深山巴の宿は日光山を開山した勝道上人の修行の地

深山巴の宿は日光山を開山した勝道上人の修行の地
地図を見る

三枚石から約45分、遊歩道を行くと古峰ヶ原湿原に至ります。古峰ヶ原湿原は東西150メートル、南北300メートルと小さな湿原、こちらも所々に湿原にそそぐ小さな沢が見られます。そのから10分ほどで深山巴の宿に到着します。ヒノキやスギが茂る宿の周りには巴形に沢が流れています。

ここは、日光山を開山した勝道上人が男体山に上る前に庵を結んで修行をした場所、石祠には勝道上人と日本武尊が祀られ、日光修験の峰修行の拠点とされていました。現在では古峰神社の禊所として使われているためか、無垢の鳥居に結ばれた紙垂の白さが印象的です。

森に茂る葉で薄暗い中、沢に流れる水の音に包まれて佇む庵はとても幻想的で神秘を感じます。ここは、前日光横根高原からは少し外れてしまいますが、「修験の歴史」を実感できる所です。

前日光横根高原は遊歩道が整備されハイキングや軽登山に最適です

前日光横根高原は鹿沼市の中心から車で約50分の距離にある美しい湿原、井戸湿原を中心とした自然の宝庫です。長い間牧場として利用されていたため大規模な開発が行われず自然がそのまま残りました。また、日光開山の勝道上人の修行地としても知られています。

ハイキングコースが設置され遊歩道も整備されているので、ハイキングや軽登山も盛んです。井戸湿原とその周辺は特別地域として保護された高原のロッジは必要最低限のもので自然にも配慮されています。

横根山に咲く春のつつじ、春から夏にかけては湿原植物や高山植物が週替わりに咲き誇り、秋には紅葉で締めくくり冬を迎えます。都心からこんな近くに残る大自然と触れ合ってください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/09/19−2015/09/20 訪問

- PR -

条件を指定して検索

- PR -

この記事に関するお問い合わせ

- 広告 -