玉川温泉はいろいろな面で日本一です。
まず湯量。毎分9,000リットルもの温泉が湧き出しています。これは一箇所の源泉としては日本一の湯量です。9,000リットルと言うと、灯油缶500缶分!1分間にそれだけの量の温泉が昔も今も、365日絶えることなく流れ続けているにもかかわらず、決して枯渇することがないというところに、地球の持つパワーの片鱗が感じられます。
それから湯温。玉川温泉の源泉である大噴(おおぶけ)からは、沸騰寸前の98度という超高温の温泉が湧き出しています。この湯温ももちろん日本一です。
そして、酸性度。玉川温泉の酸性度はPH1.2というものすごい強酸性です。この強酸性、塩酸が主成分であることによるものです。塩酸って言うと、あの理科の実験で使った、鉄をも溶かす液体ですね。実際、玉川温泉の中に包丁なんかを浸けておいて時間をおくと、柄の部分を残して刃の部分は溶けてしまうのだそうです。
そのような強烈な温泉だからこそ、身体の防御反応が活性化して健康に寄与するのかもしれませんね。
この玉川温泉、最近ではだいぶ東北以外の人にも知られるようになってきましたが、その理由は何と言っても、日本はもちろん世界でも類稀なその泉質にあります。この温泉でがんを始め様々な病気が治癒・軽快したという報告が相次ぎ、それで全国から人が集まるようになったのです。
実際に病が治るのかについては、今のところ個人個人の体験による報告がほとんどで科学的に立証されたわけではないので、何とも言えません。先に紹介したような強烈な温泉に入ることで、そのような温泉から身を守ろうと体の自己免疫力が高まり、それが病気の治癒にもいい影響を及ぼすのだという説明がなされたりもしますが、今のところ仮説の段階です。
泉質の強烈さもさることながら、玉川温泉では岩盤浴が名物です。玉川温泉の成分が石化したもの、その速度は実に10年で1mmというものですが、それが特別天然記念物の「北投石」です。台湾の北投温泉とここ玉川温泉でしか産出しないという貴重な石で、もちろん採取は禁止されています。
その岩盤の上にゴザを敷き、横になると岩盤を伝わってくる温熱に加え、ひょっとすると北投石の持つ成分の力も加味されているのかもしれませんが、様々な病気の症状の軽減につながると言われています。温泉そのものよりもこの岩盤浴が効くと言う人もいます。全国の街中でも岩盤浴ができる施設が相次いで誕生しましたが、その元祖は何を隠そう、ここ玉川温泉なのです。
提供元:玉川温泉
http://www.tamagawa-onsen.jp玉川温泉は、飲泉もできます。特に胃腸の病に効果があると言います。これだけの強酸性の環境で生きられる細菌など皆無なので、温泉自体は常に無菌状態で安心して飲めます。ただし、強酸性泉だけあって、強烈に酸っぱいです。どれくらい酸っぱいかと言うと、グレープフルーツの酸性度はだいたいPH3.2、酸っぱい果物の代表であるレモンがPH2.1です。これに対して玉川温泉は先ほど紹介したようにPH1.2ですからレモンをもはるかに上回る酸っぱさということは想像できると思います。
そこで、飲泉する時には条件があります。真水で10倍に薄めて飲むこと(飲泉の蛇口から出る温泉は50%源泉なので5倍に希釈)、そして、飲んでそのままだと歯が溶け出すかもしれないので、飲んだ後は必ず真水で口を漱ぐこと、です。
このような玉川温泉ですから、湯船に浸かっても、普通の温泉のように「ふ〜、極楽極楽」という感じには決してなりません。大げさに言えば、絶えず緊張を強いられるという感じです。ひげを剃った時にちょっと深剃りしてできた小傷や、小さな擦り傷、切り傷などあろうものなら、ものすごく沁みます。ましてや目になど入ったらとんでもないことになります。
そのような温泉ですので、病を克服しようという人が一縷の望みを掛けて真剣に対峙する温泉となっているのですね。
提供元:玉川温泉
http://www.tamagawa-onsen.jp玉川温泉には、内湯しかありません。正確に言えば、露天風呂もあるのですが、泉質は全く別物です。内湯の一番大きな浴槽は源泉を50%に薄めたものです。この他にそれより小さめの浴槽には「あつめ」、「ぬるめ」、そして源泉100%の浴槽があります。源泉100%の浴槽はぬるめになっており、じっくりと浸かっていられるのがありがたいです。真剣に病気を癒しに来ている人もたくさんいるので、源泉100%の浴槽が混んできたらそのような方に場所を譲ってあげていただけたらと思います。
それから、玉川温泉と新玉川温泉には、看護師が常駐する「玉川温泉研究会付属湯治相談室」が併設されていて、湯治相談などにも応じています。なにぶんにも強烈な温泉なので、体調などに不安がある人はぜひここに相談してみるのがよいと思います。
なお、この玉川温泉、4月下旬から11月下旬までは普通に車で行けますが、降雪量が多いため冬期間は唯一のアクセスルートである国道341号線が一般車両通行止めとなり、車では行けなくなります。秋田新幹線田沢湖駅からは路線バスも出ていて、その路線バスであれば冬期間も新玉川温泉までは行けます。そこから約2km離れた玉川温泉までは、なんと雪上車で無料送迎されます。それもまた得難い体験かもしれません。ぶなの森玉川温泉湯治館には田沢湖駅から無料送迎バスが出ており、冬期間もそれで移動できます。
このように、日本はもとより、世界的にも類を見ない個性的な玉川温泉は、東北だけでなく、日本の宝とも言えます。
ぜひ一度足を運んでみていただいて、その持つパワーを実際に感じていただけたらと思います。
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