写真:Lady Masala
地図を見るシャーロック・ホームズは、医師でもあった作家のアーサー・コナン・ドイルにより生み出された名探偵です。ホームズが登場する推理小説は、1887年に発表された「緋色の研究」を皮切りに、1927年の「ショスコム荘」まで40年にわたり60編が刊行されました。
作中で、ホームズと助手のワトソンの住む下宿があったのは、ベーカー・ストリート。彼らが住んでいた下宿は、221b番地という設定でしたが、この小説が描かれた当時、ベーカー・ストリートは85番地までしかなく、221番地は架空の住所だったのだとか。
正面にそびえたつホームズ像が目印、5つの路線が交差するベーカー・ストリート駅構内には、物語にちなんださまざまなデコレーションが施されています。最も有名なのは、ベーカールー・ラインのプラットフォームに描かれたパイプをくゆらすホームズ。
ジュビリー・ラインのプラットフォームには、壁一面を覆う名場面集が。人混みをかき分けながら、ひとつひとつの場面をつぶさに見てゆくと、証拠探しに奔走するホームズになった気分を味わえそうです。
ホームズの時代を偲ばせるレトロな雰囲気を漂わせているのは、ハマースミス&シティ・ラインとサークル・ラインのプラットフォーム。木のベンチに腰かけて、ホームズさながらに、行きかう人々を観察してみてはいかがでしょうか。「ベーカー・ストリート」の駅名を背景に記念撮影するのもお忘れなく。
また、駅の随所には、おしゃれなホームズ柄のタイルがあるので、名探偵になった気分で、探索してみましょう。
写真:Lady Masala
地図を見る世界中のシャーロキアンの聖地とも言われているのは、シャーロック・ホームズ博物館です。
ホームズとワトソンが住んでいたというベーカー・ストリート221b番地(実際の住所は239番地です)には、立ち番の任務にあたる巡査の姿が見えます。
何か事件でもあったのでしょうか。レストレード警部がホームズの意見を聞きに来ているのかもしれません。ついつい、空想は膨らむばかりですが、中に入って彼らの時代の空気を感じてみましょう。
書斎には、ホームズの机があり、趣味の化学実験の道具も所狭しと並べられています。また、彼が演奏したという名器ストラディヴァリ製のヴァイオリンも見えます。
ここにある家具や本、食器などの展示品は、全て正真正銘のヴィクトリアン。シャーロキアンならずとも、一見の価値があるのではないでしょうか。
この部屋では、ホームズのシンボル、パイプや虫めがね、ディアストーカーハット(鹿撃ち帽)を身に着けて、記念撮影をすることもできます。
館内には、ホームズやワトソンをはじめ、主要な登場人物の蝋人形が飾られています。「まだらの紐」、「ボヘミアの醜聞」、「赤毛連盟」などの有名な場面が再現されているので、お気に入りの原作を携えて、登場人物を前に、細部の確認をしてみるのもよいでしょう。寝室には、ホームズが解き明かした事件に関する資料が充実しています。
写真:Lady Masala
地図を見る記念すべき「シャーロック・ホームズ」シリーズの第一話、「緋色の研究」の冒頭部分で、ワトソンの友人であるスタンフォード氏が、下宿の同居人を探しているというホームズにワトソンを引き合わせる場面の舞台となっているのが、聖バーソロミュー病院、通称バーツの病理学教室です。
そこでホームズは、ワトソンがアフガニスタン帰りであることを言い当て、ワトソンをたいそう驚かせます。その言葉を刻んだプラークは、病院内の博物館(土・日・月は閉館)に展示されています。
現在でもNHS(ナショナル・ヘルス・サービス)により運営されているバーツは、1123年に設立された、ロンドンでは最古の病院です。博物館のほかに、小さな教会も併設されているこの病院には、歴史を感じさせる建造物がいくつも残されています。そのひとつ、ヘンリー8世の堂々たる佇まいに圧倒される「ヘンリー8世門」は必見。ホームズやワトソンもこの門の前を通り過ぎたのかもしれません。
写真:Lady Masala
地図を見るシャーロキアンたちが集うのは、チャーリング・クロス駅近くの「ザ・シャーロック・ホームズ」というパブです。この場所は、長編「バスカヴィル家の犬」でヘンリー・バスカヴィル氏が宿泊していたノーサンバーランド・ホテルが建っていた辺りということで選ばれました。
1階のパブでは、ぜひともビールを注文してみてください。日本では冷やした「ラガー」が主流ですが、イギリスでは常温で飲む「エール」が一般的。壁一面を覆うホームズの事件簿を目で追いながら、カウンターで立ち飲みすれば、イギリスらしさを満喫できるはず。
ゆっくり座って食事を楽しみたいという人は、2階のレストランに行きましょう。この階にはホームズの書斎が再現されています。この展示は、1951年に開催された英国フェスティバルのために作られましたが、期間終了後もイギリス中を巡回し、57年からはこのパブに収められています。
暖かそうな暖炉、壁紙やカーテンの植物柄がいかにもヴィクトリア朝を思わせる書斎。ホームズは神経質そうに立ち尽くしていますが、誰もが寛いでみたくなるような快適なインテリアです。アンティーク好きな人にとっては、無造作に置かれたティーセットだけでも垂涎の的なのではないでしょうか。
また、「The Retired Colourman’s(隠居絵具師のフィッシュ&チップス)」、「Dr. Watson’s Traditional Sunday Lunch(ワトソン先生のサンデー・ランチ)」など、 全てのメニューには、登場人物にちなんだ名前がつけられています。パイやローストミートなどの典型的なイギリス料理が味わえるのもこのレストランの魅力です。
今回ご紹介した場所の他にも、ロンドンにはシャーロック・ホームズゆかりの地がたくさんあります。一つの事件に焦点を当てて、ホームズが推理したと同じ道を辿ってみるのも興味深いのではないでしょうか。さぁ、名探偵になったつもりでロンドンの街を歩いてみましょう。
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この記事を書いたナビゲーター
Lady Masala
旅とマーケット、蚤の市めぐりが大好きな庶民派ロンドナーです。ロンドンを中心にイギリス、ヨーロッパの見どころを歴史や文化とともに紹介いたします。また、趣味で集めているアンティーク・ヴィンテージ食器の魅力…
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