しまなみ海道・因島「ナティーク城山」で味わう欧風瀬戸内料理が超絶品

しまなみ海道・因島「ナティーク城山」で味わう欧風瀬戸内料理が超絶品

更新日:2015/10/27 17:22

四宮 うららのプロフィール写真 四宮 うらら 旅とグルメの案内人
本州・広島県尾道市と四国・愛媛県今治市を、瀬戸内海に浮かぶ6つの島と美しい橋で結ぶ「しまなみ海道」。オーベルジュ「ナティーク城山」は、その「しまなみ海道」の島で、尾道側から2つ目の因島にあります。天然の生簀、瀬戸内海に育まれた地の食材を知り尽くしたシェフによる絶品料理を味わいに出かけませんか。

村上水軍の城跡に建つオーベルジュ「ナティーク城山」

村上水軍の城跡に建つオーベルジュ「ナティーク城山」

写真:四宮 うらら

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因島は、南北朝時代から室町・戦国時代にかけて、芸予の海路を制覇し、その名を轟かせた村上水軍が拠点とした島。そして、現代では造船会社の多い島。海沿いには船の建造や修理を行うドックが立ち並んでいます。

因島・土生港(はぶこう)近くの高台にある「ナティーク城山」は、造船会社の隣に立ち、周りの雰囲気は決しておしゃれなリゾート地ではありません。行く道すがら、本当にここでいいの?と不安に感じるかもしれません。
それもそのはず、もともと「ナティーク城山」は、造船会社の迎賓館として建てられた施設なのです。

ホテルは村上水軍の出城である長崎城の跡地、海を見晴らす高台に建っています。エントランスには長い階段がありますが、建物の脇に回るとエレベーターがあるので、それを使用すると楽チンにロビーエントランスに行けます。
エレベーターを上がると、景色は一変。たおやかな瀬戸内海を行き交う小舟やフェリー、小さな島々も見渡せ、旅のテンションは一気にアップすることでしょう。

落ち着いたヨーロピアン・クラシックの客室

落ち着いたヨーロピアン・クラシックの客室

写真:四宮 うらら

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海に浮かぶ船をイメージして建てられたという「ナティーク城山」。吹き抜けのロビーでチェックインして、客室へ。3階建ての館内は階段のみになるので、トランクなどの荷物は預けて、身軽になって客室へ向かいましょう。

客室は部屋ごとに異なるインテリアで、迎賓館という役割からか全体的にヨーロピアン・クラシックなデザイン。絨毯もふかふかです。
写真は「アルテミス」と名付けられたスイートルーム。2面に海が見える窓があり、テラスが付いています。このほか、シングルルーム、ツインルーム、和室のついた部屋もあり、カップルで、ファミリーで、一人旅でと使い分けることができます。

瀬戸内海の美しいサンセットを眺めながら食前酒を!

瀬戸内海の美しいサンセットを眺めながら食前酒を!

写真:四宮 うらら

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このホテルでのハイライトは、何と言ってもディナーですが、その前にテラスでビールやシャンパーニュなど、食前酒を楽しんでみてはいかがでしょう。
刻々と色を変え、暮れなずむ瀬戸内の海。
眼下には桟橋があり、目の前に見える生名島(いきなじま)へ行き来するフェリーがひっきりなしに航行します。車や自転車ごと乗船し、家路につく人々。この地では、船が暮らしに密着した交通手段だということが見てとれます。そんな日常の営みに、不思議と旅情がかきたてられ、とても贅沢な時間が流れます。

瀬戸内海の魚を知り尽くしたシェフの絶品欧風料理

瀬戸内海の魚を知り尽くしたシェフの絶品欧風料理

写真:四宮 うらら

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さて、いよいよ待ちに待ったディナータイムです。
海が見えるレストラン「プリマヴェーラ」では、欧風瀬戸内料理と銘打った、新鮮な魚介類を使ったコース料理をいただきます。
ある日のメニューをご紹介します。

1皿めの前菜は「江田島産殻付ブランド牡蠣『ひとつぶくん』のエスカルゴバター焼」。粒のしっかりした牡蠣は、エスカルゴバターに負けない濃い味わいとコクです。

2皿めは、ここの名物ともいえる「瀬戸内の海の幸のサラダ」(写真)。
お皿の中を1時の方向から時計まわりにシャコのマリネ、アジ、アボカド&イカゲソ、イカ&がら海老、太刀魚&ゴマ、しめ鯖。それぞれの料理の間に、アクセントとしてアサリのフリットが散りばめられ、皿の中心には海藻のサラダとチーズが。まさに、お皿の中に瀬戸内海がギュッと凝縮されているようです。

3皿めは「がら海老のピザ」。薄くパリパリの台に、がら海老のむき身が隙間なくのった贅沢なピザです。
さらに「鮮魚のフリット チェリートマトとシェーブルチーズのソース」。魚はアナゴ、ヒラメ、メバルが使われています。

そしてメイン料理は「鮮魚と蛤のフリカッセ」。フリカッセとは白い煮込みという意味です。たっぷりのハマグリとがら海老のダシでさっと煮た高級魚のアコウとフグの切り身。ブイヤベース風の一品です。
そしてにデザート、コーヒーと続きます。

料理の内容は、もちろん旬によって異なりますが、グルマンなら、そして魚好きの人なら、このコースの充実度がおわかりいただけると思います。

一品ずつサービスされる朝食も優雅

一品ずつサービスされる朝食も優雅

写真:四宮 うらら

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ナティーク城山の中田幸男シェフは、箱根宮ノ下・冨士屋ホテルで修業を積み、 平成6年からナティーク城山で洋食料理長として腕を振るっています。
瀬戸内の豊かな海の幸に惚れ込み、ワインとの相性を考えたフレンチでもイタリアンでもない ジャンルにとらわれない『欧風瀬戸内料理』を創作。
一般的なホテルでは、シェフがすぐ変わってしまたったりすることが多いですが、ナティーク城山の素晴らしいところは、この地の食材を愛し、知り尽くした中田シェフの料理が、もう20年以上も変わらずあることです。繰り返し訪れても、期待を裏切られることがありません。

朝食は洋食(写真)と和食から選べ、さらに洋食の場合はオムレツとキッシュが選べます。昨今、多いバイキングなどではなく、フルーツ、スープ、パン、料理と一品一品、食べる速度に合わせて順番にテーブルに運んできてくれ、優雅な気分に。
まさに、料理を目的に出かける“オーベルジュ”と呼ぶのにふさわしいプチホテルです。

地元の海上交通機関に乗ってミニクルーズを楽しむのもおすすめ

時間があればホテルすぐ下の長崎桟橋からフェリーに乗って、向かいの生名島へ渡ってみるのもおすすめ。乗船時間約3分で立石港に到着。
なぜ、どこからやってきたのかも不明という、摩訶不思議な巨石(メンヒル)など、地味ながらも味わい深いスポットがあります。
土生港近くにある菓子店「松愛堂」のはっさく大福も名物です。

しまなみ海道の島々のなかでは、正直に言って、観光スポットがやや寂しい感のある因島ですが、「ナティーク城山」は料理を目当てに是非出かけたいオーベルジュ。決して派手な設えや演出はありませんが、くつろいだ雰囲気のなかで、おいしい料理をゆったりと味わえる場所です。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/10/19−2015/10/20 訪問

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