プノンペンから国道5号を北上すること1時間半〜2時間半。小高い丘の上に立つ「ウドン(Oudong)の仏教遺跡群」の姿は、道中にあってもその姿を確認することができます。
ユネスコ(UNESCO)の暫定リストにも登録されているこの仏教遺跡群は、アンコール・ワットで有名なクメール王朝の後、フランスの植民地となるまえの1618年から1866年まで約250年間続いた、かつての王都ウドンに建つ遺跡です。歴代の王が100を超す寺院をウドン王都に建設したといわれていますが、その多くはベトナム戦争や内乱の戦火によって破壊されてしまいました。ウドンの丘に建つこれら仏教遺跡群は、戦火を免れ奇跡的にその姿を今に留めています。
丘の上に建つ「ウドンの仏教遺跡群」へは、丘の北端に位置する新しく建てられた仏塔を目指すマン・ステップ(男性の階段)と、表玄関となる南端から登るレディ・ステップ(女性の階段)の2つのルートがあります。どちらからスタートしても良いですが、お薦めはマン・ステップから登りはじめレディ・ステップから下山するルートです。
北端の509段のマン・ステップを登れば、白く光輝く真新しい仏塔がお目見えします。2002年に建てられたこの仏塔には、プノンペン駅前の仏塔に収められていた高僧の遺物(歯と骨)が移されています。ウドンの丘の上のいちばん標高の高い場所に建つ新しい仏塔からは、カンボジアの見渡すかぎりの平野が一望できます。
*携帯電話がない場合は、あらかじめドライバーと集合場所を決めておきしましょう。
*仏塔の入り口では靴を脱ぎますが、往復しない場合は靴を持って移動しましょう。
*表玄関となるレディ・ステップ側には、多くの露店やローカルレストランが立ち並んでいます。午前中にプノンペンを出発し、下山後レストランで昼食を取るように計画すると「ウドンの仏教遺跡群」をより楽しめます。
新しい仏塔の南側へと歩を進めれば、なだらかな斜面に沿うように赤茶けた古く歴史の趣きを感じる階段が現れます。そしてその眼下には黄金色の化粧石にほどこされた、古い3つの仏塔が目に飛び込んできます。
ウドンの王都を治めた歴代の王が造った仏塔は手前から古く、チャイ・チェター王(17世紀初頭)が建てた仏塔、アンドゥオン王(19世紀半ば)の仏塔、モニボン王(20世紀初頭)の仏塔と続きます。アンドゥオン王の仏塔に施された赤茶と緑陶器片で作られた花模様は、中国の唐三彩を彷彿とさせ、モニボン王の仏塔の美しいレリーフと四方を見下ろす四面仏は、かつてのアンコール王朝の繁栄に思いを馳せることでしょう。
それぞれ時代によって趣きも異なる3つの仏塔こそ、「ウドンの仏教遺跡群」の一番の見どころなのです。
仏塔を背にさらに南へと下って行きましょう。1911年にシソワット王が建立した「18腕尺の仏陀のビハーラ(寺院)」にたどり着きます。1977年、かつて存在したカンボジアの極左武装勢クメール・ルージュによる砲撃を受けた寺院の損傷は激しく、今なお修復作業が続いているものの、ここを訪れる仏教徒は後を絶ちません。オレンジ色の袈裟を身にまとった僧侶の読経を、静かに聞きいる仏教徒の姿が目に焼き付きます。
*腕尺(またはキュビット)は肘から中指の先までの間の長さに由来する身体尺で、おおよそ 43〜53センチメートルに相当します。したがって18腕尺の黄金仏は、約9メートルの高さとなります。
マン・ステップからスタートして「ウドンの仏教遺跡群」を歩くこと約2時間。南端のレディ・ステップを降りれば、ローカルのレストランとお土産屋さんが軒を連ねる目抜き通りにたどり着きます。折角ウドンまで来たのですから、帰る前にチキンの丸焼きにビールはいかがでしょうか?
簡素なゴザが敷かれた高床に座り、ビールを飲みつつゆっくりと料理を待ちます。カットフルーツや干した魚、ナッツにお土産などをカゴに入れた物売りの人々もやってきて、座りながらにして買い物を楽しんでもよいでしょう。そうして待つこと約1時間。時間をかけて焼かれたチキンの丸焼きと、モツを使った料理は絶品!のひとこと。「ウドンの仏教遺跡群」と合わせて楽しんでみてください。
*レストランのスタッフは片言の英語が話せます。
アンコール・ワット遺跡群とくらべてしまうととても規模は小さいものの、プノンペンから日帰りで行けるのが魅力的な「ウドンの仏教遺跡群」。カンボジアの首都プノンペンを訪れる際には、ぜひ足を伸ばしてみてください。あらたなカンボジアの魅力が見つかる遺跡群です。
■アクセス方法
プノンペンから国道5号線を北へ約40キロメートル
車またはトゥクトゥクを往復でチャーター
車の場合:約1時間半 40〜50USD(目安)
トゥクトゥクの場合:約2時間〜2時間半 25〜35USD(目安)
*チャーターについては、ホテルのフロントで相談すると良いでしょう
*プノンペンを抜けると悪路で砂埃もひどいため、トゥクトゥクの場合はマスクを持参することをお薦めします
■入場料金
国道5号線を左折後ほどなく入場ゲートがあり、外国人観光客はここで入場料(2USD)を支払います
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