里山に刻まれた波が立つ!千葉・鴨川で「波の伊八」に出会う旅

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里山に刻まれた波が立つ!千葉・鴨川で「波の伊八」に出会う旅

里山に刻まれた波が立つ!千葉・鴨川で「波の伊八」に出会う旅

更新日:2015/10/27 13:05

カノオミツヒサのプロフィール写真 カノオミツヒサ フリーライター

「波の伊八」をご存知ですか?江戸時代に千葉県鴨川市で生まれた彫刻師で、千葉県内をはじめとする数々の寺や神社に、その作品が残っています。『関東に行ったら波を彫るな』と言わしめたほど、波の表現が素晴らしく、鴨川市内には伊八の生誕地ほか、「酒仙の図」や、「飛龍、地龍」などの名作が残っています。
今回は千葉県鴨川市で、「波の伊八」に関連するスポットをご紹介します。

豊かな自然に囲まれた「伊八生誕地」

豊かな自然に囲まれた「伊八生誕地」

写真:カノオミツヒサ

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安房鴨川までは、東京駅から特急で2時間弱。高速バスの場合、浜松町駅から東京駅を経由し、こちらも2時間ほどで到着します。鴨川温泉の対象施設にお泊りの方には、片道千円のお得なシャトルバスが便利です。(先着一万五千名は無料キャンペーン中。2016年2月29日まで)

「伊八生誕地」は、安房鴨川駅から車で5分ほどの場所にあります。「波の伊八」(本名・武志伊八郎信由)は、宝暦2年(1752年)に誕生。かつてこの場所には武志家の屋敷のほか、作品を作る工房が構えられていました。大きな作品になると現地に泊り込みで作り上げていましたが、小さな作品についてはこちらで制作していたそうです。

海の近くでありながらも、周囲は田園風景が広がり、遠くには山の稜線がくっきりと見えます。きっと伊八も、この豊かな里山の景色を眺めていたことでしょう。

鴨川を離れ、彫刻師の島村丈右門貞亮に弟子入りした伊八ですが、江戸では本格的な修行を積まなかったようです。このことがやがて、自分のスタイルを生み出すことにつながり、再び鴨川へ戻って創作活動に励みます。

次は金乗院に向かい、若かりし頃の作品を見てみましょう。

ユーモラスな彫刻が目を引く「金乗院・大日堂」

ユーモラスな彫刻が目を引く「金乗院・大日堂」

写真:カノオミツヒサ

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「伊八生誕地」から徒歩5分、金乗院に到着です。このお寺の大日堂に、伊八が28歳の頃に手がけた2つの作品があります。

1つ目は、大日堂の正面にある「向拝の龍」。宝珠を手に持ち、眼光は鋭く、威風堂々とした姿で参拝者を見下ろしています。

2つ目は、堂内の「酒仙の図」(写真)。縦1.02m、横3.59mの欄間には、七人の酒仙が宴を催している場面が描かれています。陽気に歌い踊る姿が、とても楽しそうですね。鶴や亀もやってきて、めでたい雰囲気が伝わってきます。そして、足元には曲線が美しい、伊八独特の波。厚さ20cmほどの板で作ったとは思えないくらい、細やかで、生き生きとした世界が凝縮されています。驚くほど立体的な彫刻は、まさに“飛び出す欄間”!じっくりと鑑賞していきましょう。

さて、次は車で20分ほど走り、「大山不動尊」へ参りましょう。

空と海から2体の龍!「大山不動尊」

空と海から2体の龍!「大山不動尊」

写真:カノオミツヒサ

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「金乗院」を出て、長狭街道に入り、一路西へ進みます。長狭平野と呼ばれるこのあたりは、地元のお米「長狭米」の産地。いくつもの田んぼが続き、そのなかには東京から1番近い棚田「大山千枚田」もあります。

長狭街道から脇に入り、山道を登ると「大山不動尊」に到着です。ここには52歳の伊八が制作した「飛龍、地龍」があります。

不動堂の正面を飾る、2体の龍は迫力満点!海から現れた地龍によって波が引き裂かれ、その一部は空へ上って、恵みの雨を呼ぶ雲となっています。雲の間からは、軽やかに羽をはばたかせて舞い降りてくる飛龍の姿。息をのむほどドラマチックで、まるでファンタジー映画のワンシーンを観ているようです。
龍のシャープなまなざしは、見る者の心を捉えて離しません。尖った爪やリアルな鱗など、細部まで熟練の技が冴え渡る彫刻を、ご覧になってみてください。

龍たちと同じ方向に目を向けると、田んぼが続く長狭平野をはじめ、鴨川の市街地や太平洋まで見渡せる絶景が広がります。2体の龍はこれからも、鴨川の人々を見守っていくことでしょう。

せっかく鴨川に来たのだから、お土産が欲しくなりますよね。続いては、「波の伊八」にちなんだ商品をご紹介します。

買って帰ろう!伊八のお土産

買って帰ろう!伊八のお土産

写真:カノオミツヒサ

鴨川では、「波の伊八」にちなんだお土産が販売されています。そのなかから、2つの商品をご紹介しましょう。

まずは石渡製菓の「伊八せんべい」(写真)。龍に乗った「伊八ちゃん」をはじめ、鏡忍寺の「舞う恵比寿」や、西福寺の「波に龍」・「七福神」など、鴨川市内にある伊八の彫刻がイラストされています。先述した金乗院の酒仙も描かれていますね。お菓子で手軽に、伊八の作品を目にできるユニークな商品です。なお、売上げの一部は、波の伊八作品等の保全活動へ寄付されます。

また、260年以上の歴史を持つ亀田酒造から販売されているのは、日本酒「波の伊八」。長狭米を100%使用した、純米吟醸酒です。爽やかな飲み口で、心地良い風味のなかに、長狭米が育つ田んぼの風景が蘇ってくるようです。旅の思い出を語りながら、楽しく飲むのにピッタリのお酒ですよ。「酒仙の図」と同じく、陽気なひとときを過ごしましょう。

おわりに

鴨川を拠点に活躍した、知る人ぞ知る彫刻師「波の伊八」。限られた空間を逆に利用した立体的な彫刻は、当時の人間にとっても、驚異的なものであったに違いありません。

特に、千葉県いすみ市の行元寺にある「波と宝珠」は、葛飾北斎の浮世絵「神奈川沖浪裏」のモデルになったともいわれており、この浮世絵は後にゴッホやピカソなどにも影響を与えました。鴨川で立った伊八の波は、なんと世界に届いているのです。

是非、波の出発点である鴨川で、伊八の作品を巡ってみて下さい。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/09/23−2015/09/24 訪問

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