写真:Lady Masala
地図を見るSt Bartholomew-the-Great(聖バーソロミュー・ザ・グレート教会)は、1123年にヘンリー1世の宮廷に仕えた吟遊詩人で、後に司祭となったラヒアによって建てられたといわれる、ロンドンに現存する最も古い教会です。
この教会の建立には、興味深い伝説が残されています。
ローマに巡礼した際、高熱に倒れたラヒアは「この病が癒されたなら、ロンドンに貧しい人々のための病院を建てる」との誓いを立てました。
病から回復した彼の夢に現れたのは、十二使徒の一人である聖バーソロミューだったといいます。そして、「スミスフィールドの地を選びなさい」との啓示を与えたのでした。
ロンドンに戻ったラヒアは誓いを守り、スミスフィールドに病院と修道院を建てました。
ヘンリー8世による宗教改革の後、修道院は解散され、建物の大半は取り壊されてしまいましたが、その一部が英国国教会の教区教会として現在まで受け継がれています。
病院は、St Bartholomew’s Hospital、通称 Barts(バーツ)とよばれ、NHS(ナショナル・ヘルス・サービス)の病院として運営されています。「シャーロック・ホームズ」シリーズ最初の作品「緋色の研究」のなかで、ホームズがワトソンと出会った場所と言えば、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
写真:Lady Masala
地図を見る近代的な建物に囲まれる細長いテューダー様式の門。うっかりしていると見落としてしまいそうなこの門は、テューダー朝に建てられたものです。
リバティ百貨店などにみられる、テューダー・リバイバル様式は19世紀以降に流行したものですが、ここ聖バーソロミュー・ザ・グレート教会の門は、ロンドンに現存する数少ないテューダー様式のひとつ。
12世紀に建立され、ヘンリー8世の時代には破壊されるという悲劇に見舞われましたが、その後、増改築が繰り返されたという教会には、テューダー様式のほかにも様々な建築様式が混在しています。
そのなかで最も注目したいのは、教会を支えるアーチ。教会建築では、先が尖ったゴシック様式が一般的ですが、ここ聖バーソロミュー・ザ・グレート教会には、それ以前に建てられたことを示すロマネスク(ノルマン)様式の丸いアーチが残っています。一部にはゴシック様式も用いられ、それらが上手に調和している姿には、歴史の重みを感じずにはいられません。
写真:Lady Masala
地図を見るラヒアも眠る聖バーソロミュー・ザ・グレート教会は、病気の回復を祈願する場所でもあるのだとか。家族や親しい友人の病が癒されるようにと、ろうそくやお花を手向ける人も訪れるといいます。
また、この教会は数多くの映画のロケーションとなったことでも知られています。ケビン・コスナー主演「ロビン・フッド(1991年)」、ヒュー・グラント主演「フォー・ウェディング(1994年)」、ロバート・ダウニー・Jr 主演「シャーロック・ホームズ(2009年)」など、名画の数々が目白押し。
この教会を訪れる前にそれらの映画を観賞されると、感慨もいっそう深まるのではないでしょうか。
ロンドン市民にもあまり知られていないという聖バーソロミュー・ザ・グレート教会。観光客の姿も多くないため、人混みを避けてゆったりと歩きたいという方にはお勧めの場所です。
教会内で写真を撮るためには、入場料の他に1ポンドの撮影料が必要ですが、その分、落ち着いてカメラを構えることができます。
日常の喧騒を離れ、この歴史ある教会で、静かな時を過ごしてみてはいかがでしょうか。
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(2023/11/29更新)
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