写真:風祭 哲哉
地図を見る通潤橋は、水源に乏しい周辺の農地へ水を送るため、江戸時代に肥後の石工職人により当時の最高水準の技術を駆使して架けられた通水橋です。橋の上部には3本の石管が通っていて、ここから灌漑用の水が放水されるのですが、現在ではその豪快な放水シーンが人気を呼び、多くの観光客が訪れるようになりました。
この通潤橋の「一瞬の絶景」を楽しむためには放水シーンが必須。そのため、まずはこの放水スケジュールを確認することが何よりも大事です。
年間の放水スケジュールが山都町観光協会のHPにありますので、ぜひそれを確認してから訪問の計画を立ててください。ちなみに2015年は、農作業による放水停止期間と冬期を除く土・日・祝やお盆などの午後1時から15〜20分程度の時間で行われています。また10月後半から11月いっぱいは毎日放水が予定されています。
ただし、通潤橋の放水はすべて農業用水が使われていますので、農業用水として影響が出る場合には放水予定日であっても放水を取りやめることがありますのでご注意ください。
また、以前は予約放水として個人が有料で申込むと、計画時間以外でも放水を行っていましたが、これは2105年4月1日より廃止されましたので、現在ではこの計画放水が唯一の放水の場面となります。
さて、放水スケジュールをチェックしたら実際に通潤橋へ。通潤橋観光の起点は「道の駅 通潤橋」。
ここは九州自動車道「御船I.C」から東へ約35km、山都町の中心部(旧矢部町中心部)を抜けてすぐ、少し坂道を登った先にあります。本数は少ないながらも熊本から路線バスも運行されていて、通潤橋前まで約1時間30分となっています。
道の駅に降り立つと、もう通潤橋は目の前に見えていて、遊歩道を歩いて2,3分ほどで橋のたもとまで行くことができますが、せっかくですので今回はこの道の駅を起点にした、40〜50分ほどの散策コースをご案内します。ゆっくり周囲を散策しながら、ご自身でベストポジションを探して絶景の瞬間を迎えていただきたいので、遅くとも放水時間の1時間前までには着いておくことをおススメします。
まずは道の駅から通潤橋建設の立役者であった地元の総庄屋、布田保之助像の前を通り、通潤橋までの前まで進みます。そのまま通潤橋の左岸にある階段を上り、通潤橋の上まで登りましょう。通潤橋は橋長は78メートル、高さは20メートルほどあり、下から見るとその上を歩くのはさぞかし怖いように思われますが、幅員も6.3メートルほどあり、大きな車でも余裕で通れるほどの広さですので、高所恐怖症の方でも問題なく歩いて渡ることができます。(写真)
写真:風祭 哲哉
地図を見る通潤橋を渡り終わると、小さな資料館と売店がありますので、その前を通って先に進み、水神橋と五老橋という2つの橋を渡ります。途中、五老ヶ滝の滝壺行きの道へと進み、急な坂道を谷底の方に下っていくと、やがて高さ約50メートルの五老ヶ滝が目の前に現れます。
この滝を流れる水は、先ほど通潤橋の下を流れていた五老ヶ滝川。通潤橋のわずか200メートルほど下流は、このような目もくらむ高さの滝になっていたのです。
五老ヶ滝から先は、通潤橋まで2つのコースがあります。ひとつは降りてきた道を戻って、五老が滝を中空から左に見ながら吊り橋を渡って対岸に出る道。これが今回お勧めする手軽なコースですが、もう一つ、滝壺からそのまま谷底をしばらく下流に向かって歩き、仙者ヶ淵というところを通って河鹿橋を渡り孫滝を見て坂を上ってくるコースもあります。こちらは通潤橋から1周90分の経路となり、やや健脚向きです。
写真:風祭 哲哉
地図を見る五老ヶ滝吊り橋を渡った先は林に囲まれた上り道となり、やがてのどかな棚田の風景とともに再び通潤橋が現れます。このあたりは白糸台地の棚田景観と呼ばれ、通潤橋とともに国の重要文化的景観として選定されていますが、棚田の道から見える通潤橋は、先ほど道の駅から見たものとは180度反対の姿となります。
道端には花畑もあり、厳つい感じの通潤橋と花々とのコラボレーションも意外と似合っています。
ここから再び通潤橋の高さまで棚田の道を上ると、さっきと同じ通潤橋の上に出て、ぐるっと一周してきたことになります。
写真:風祭 哲哉
地図を見る写真:風祭 哲哉
地図を見る放水の時間が近くなってくると、係りの方がやってきて、橋の中央部にある放水口で放水準備が始まります。
放水シーンをどこから見るかは個々の嗜好に分かれますが、放水管は道の駅側に2本、五老ヶ滝側は1本となっていますので、迫力ある姿を見るために道の駅側で放水を待つ人がほとんどです。
道の駅側と言っても、橋の正面、左側(左岸)、右側(右岸)、さらに橋の上から、と様々な角度からのポジションがありますが、放水時間は約15分から20分ありますので、意外と長く、放水中にポジション移動も可能です。
おすすめは正面→左岸→橋の上→(できれば)右岸。橋の上までは問題なく行けるかと思いますが、右岸に降りるには少し時間が忙しいかもしれません。(写真は左岸側より)
通潤橋の最大の魅力は迫力ある放水シーン。この「一瞬の絶景」が欠かせない観光ポイントであることは間違いありません。ただご覧いただいたように、通潤橋とその周辺には放水以外でも魅力的な見どころがたくさんあるのです。
通潤橋を訪れる際は、ぜひゆっくりと周辺も観光していただきたいと思います。放水シーンに合わせてやってきて、その場で写真で撮って帰ってしまうだけでは、なんとももったいないですからね。
この記事の関連MEMO
この記事を書いたナビゲーター
風祭 哲哉
北海道大学文学部国語国文学科卒「日本に恋する伝道師」として、ブログ、SNS、旅行ガイド、雑誌などのメディアを通じて日本の素晴らしさを伝えている。また日本の旅先を題材として「ちょっと悲しくて、ちょっと妖…
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索