19世紀後半から20世紀初頭、極東随一のインターナショナルな都市「上海」。
特に外灘(ワイタン)地区は西洋列強の租借地(外国人居留地)として発展し、石造りの領事館や銀行、新聞社が黄浦江の岸辺に建ち並ぶ景色の美しさは東洋のパリと称されたほど。
今でもその趣は変わることなく、高級ブランドショップや五つ星のホテル、銀行として目にすることができます。
昼間であれば、外灘・黄浦江沿いの遊歩道から。夕暮れから夜であれば、対岸の浦東新区(プゥドンシンク)の建物から眺める景色は最高。
円形ドームが特徴の現上海浦東発展銀行(旧香港上海銀行ビル・1923年築)から現和平飯店北楼/フェアモント ピース ホテル(旧サッスーンハウス・1929年築)までの並びは出色。
旧サッスーンハウスはホテルのため、中に入って往時の雰囲気を堪能することもできます。
滞在期間に余裕がある方はぜひ、時間帯と場所を変えて眺めてみてください。印象ががらっと変わります。
複数のショッピングセンターや百貨店が建ち並ぶ「徐家匯」駅近くにそびえるゴシック様式の大聖堂が「徐家匯天主教堂」。
1910年築の本教会はイエズス会が中国で初めて建設した西洋式の聖堂であり、塔の高さは約60mにも及ぶ巨大な建造物は上海一の高さと美しさを誇っていました。
文化大革命時に鐘樓やステンドグラス等が破壊されたものの、その後、上海市文物保護単位に認定され、修復・保存されています。
建物が東向きのため、見頃は午前中。建物の修復は2014年春には完了する予定でしたが、現在も修復工事中。敷地内に入ることはできないので要注意(2015年10月23日現在)。
ソビエト革命を体現したロシア・アヴァンギャルドのデザインから古典的な帝政様式に回帰した装飾的で権威的なスターリン様式の貴重なソビエト時代の建物をなんと上海で見ることができます。
1955年にソビエトの資金援助により「中ソ友好記念館」として建築され、今も「上海展覧中心」という名称で展示場・展覧会場として使われています。
観光客向けに開放してはいませんが、展示会等が開かれていれば入場(有料)できます。
クリスマスケーキのような塔の先端にある星のマークや建物前に建つプロレタリアアートの大きな像が印象的。
南京西路の繁華街である「静安寺」界隈を歩いていると遠目からも分かります。
「上海展覧中心」のほど近く・延安中路と陕西南路交差点の南西にある建物が「衡山馬勒別墅飯店」というホテル。
まるで童話の世界から抜け出たお城ようなデザインです。
海運と造船事業により上海で屈指の富豪となったエリック・マーラー氏が娘が夢で見た風景を再現し、1936年築の邸宅です。
4つの尖塔と中国の瑠璃瓦が特徴的な外観はもちろん、豪華客船のような重厚で複雑な室内空間は一見の価値あり。
1989年に上海市第一陣の優秀近代建築、市級文物保護単位と認定されました。
宿泊しなくても1階のカフェを利用すれば中を見る事ができます。
「豫園」とは上海市内を流れる黄浦江の西岸・繁華街にほど近い安仁街にある明代の庭園。
四川布政使役人であった潘允端が父のために贈った庭園で18年もの歳月を費やして作庭されました。
造園を手がけたのは明代の作庭家として名高い張南陽。奇岩と水、陰影が織りなす素晴らしい庭園で、1982年に全国重点文物保護単位に認定されました。
園内で唯一、古今の建物を一緒に見ることができるスポットがあります。それは「湖心亭」。
建物の西側に立てば、「湖心亭」の後ろに最新の高層ビル「上海中心大厦(650m)」を見る事ができます。
上海の今昔を映し出す景色として記念撮影させてはいかがでしょうか。
日本で見聞きする中国のイメージは怖い、危ない、臭い≠ニいうものが大半です。しかし、現地を訪れてみれば、東京や大阪の区部と空気も喧騒もあまり変わりません。
街の各所に立つ公安(警察)や武装警察の人たちも親切に道案内等してくれます。
一見、無愛想に見えますが、こちらからにっこり笑いかけると笑顔で答えてくれますし、「謝謝(ありがとう)」と伝えば、拙い英語や日本語で返してくれます。
偏見と先入観を持たずに接することと、あくまでも訪問者である節度を守って旅を楽しまれることをお願いいたします。
また、一部の都市で感じられる日本人に対するギスギスとした空気は全くありません。しかし、旧日本軍が行った二度における上海事変等の出来事もきちんと理解した上で訪問することが旅人としての矜持ではないかと思います。
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(2024/12/13更新)
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