香川県善通寺市にある五岳山「善通寺」。弘法大師・空海(774年〜835年)が創建した元々の「善通寺」があった“東院”の中門を抜け、“西院”に向かってみましょう。観智院と華蔵院の間にある参道を進むと石橋が現れます。古くは毎月20日だけしか通行できなかったため、“廿日橋(はつかばし)”という名称の付いた橋。
その先に見えるのが“西院”の正門となる仁王門。左右には堂々とした金剛力士像が立ち、背面には大草鞋(おおわらじ)が飾られています。御影堂(みえどう)を中心とし“誕生院”とも呼ばれる“西院”は空海が誕生した佐伯家の邸宅地にあたると伝わっています。
父・佐伯直田公(さえき あたいのたぎみ)、母・玉寄御前(たまよりごぜん)の間に生まれた空海は幼名・真魚(まお)と名付けられました。幼少の頃より優れ、後には遣唐使として現在の中国に渡ります。西安にあった青龍寺で恵果(けいか、746年〜805年)の下で、真言密教を修めました。
日本に帰国した空海が、807年(大同2年)に建立した元々の「善通寺」は、その青龍寺を見本としています。“東院”から“西院”への参道を進んだ仁王門に続く回廊の上部側面に注目下さい。空海の生涯が描かれた絵が掲げられています。じっくりと眺めながら歩んで、御影堂に向かってみましょう。
「善通寺」の山号“五岳山(ごがくさん)”は、西側に聳える香色山(こうしきざん)、筆ノ山(ふでのやま)、我拝師山(がはいしさん)、中山(なかやま)、火上山(ひあげやま)の五岳に由来しています。
“御影堂”は、1249年(建長元年)に行蓮(生没不詳、ぎょうれん)によって創建されました。現在の建物は1831年(天保2年)に建立、1936年(昭和11年)に修築されたもの。奥殿には、弘法大師・空海自作の本尊“秘仏・瞬目(めひき)大師像”が安置されています。
御守所の他に、地下には暗闇で自己を見直す、約100メートルの戒壇めぐり。空海の生誕地にて、じっくりと自分と向き合ってみてはいかがでしょうか。
御影堂の後方には、弘法大師・空海の生誕1200年記念事業の一環として、1973年(昭和48年)に建設された宝物館(ほうもつかん)。「善通寺」に伝わる寺宝を収蔵し、一部を展示・公開しています。
国の重要文化財である吉祥天立像、地蔵菩薩立像などを始めとする仏画、経典、仏具などが常設展示されています。また空海が師の恵果から授かったと伝わる、国宝・金銅錫杖頭(こんどうしゃくじょうとう)は通常、写真パネルによって紹介されています。
特別展示される場合もありますので、詳しい情報は下部関連MEMOにあります公式サイトへのリンクより御確認下さい。
戒壇めぐりと宝物館は、共通の内拝券となっているので、お得感もあります。また内拝券の表面には国宝・一字一仏法華経序品(いちじいちぶつほけきょうじょぼん)が印刷され、記念にもなるので非常にオススメです。
御影堂から宝物館への途中、右手には、弘法大師・空海が生まれた折に用いられた産湯の井戸が小堂内に残されています。さらりと自然にありますので、お見逃しの無いようにしましょう。
四国八十八ヶ所霊場の第75番札所でもある五岳山「善通寺」の“西院”には、その他、各種の施設も整っています。研修道場の遍照閣には、四国八十八ヶ所霊場を巡礼するのと同じような功徳を積める“四国八十八ヶ所お砂踏み”も常設。
また、お遍路の方や遠方からの参拝者のために、宿泊施設・宿坊いろは会館も設けられています。弘法大師・空海の生誕の地「善通寺」で、旅の疲れを癒やすのも素敵ですね。
総面積約45000平方メートルにも及ぶ広大な境内に、“東院”と“西院”の二院を配した五岳山「善通寺」。和歌山・高野山、京都・東寺と共に弘法大師・三大霊跡の一つでもある信仰の篤い地です。
その「善通寺」にあり、誕生院との名称も持つ“西院”にて、弘法大師・空海との縁を結んでみてはいかがでしょうか。
また“伽藍”と呼ばれる“東院”には、国の重要文化財の五重塔や本堂の金堂もあり、見所が豊富にあります。そちらも併せて参拝してみて下さい。
以上、弘法大師・空海の誕生した地、香川県善通寺市「善通寺」の“西院”の御紹介でした。
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