天孫降臨の地・高千穂。とはいっても、範囲は広くかなり漠然としていますよね。実際、高千穂のどの場所に降り立ったのか…。古事記には『筑紫の日向の高千穂の久士布流多気(くしふるたき)に天降りましき』と記載があります。その場所の主な説は鹿児島県霧島の高千穂峰と宮崎県西臼杵郡高千穂町。そして高千穂町でも二上山などいくつかの候補地があります。その内のひとつが槵觸(くしふる)神社があるこの山の峰。
一歩足を踏み入れると木々に覆われ、神聖な空気が漂うのに心地よい。まるで神様がうたた寝している…そんな印象を受ける境内です。
この槵觸神社の境内には遊歩道があり、登って行くと辿り着くのは『高天原遥拝所』。その昔、降臨した神々が高天原を懐かしみ遥拝した場所だと伝えられています。
槵觸神社は元は「くしふる峰」をご神体とし、社殿はありませんでした。元禄7年(1694年)に初めて社殿が造営され、併せて遷宮。
遷宮以来のご祭神は
瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)
天児屋根命(あめのこやねのみこと)
天太玉命(あめのふとだまのみこと)
経津主命(ふなつぬしのみこと)
武甕槌命(たけみかづちのみこと)
このうち天児屋根命と天太玉命は、瓊瓊杵尊の天孫降臨に侍従した神。また経津主命と武甕槌命は、出雲の国譲りに活躍した神です。祀られている神々はいずれも、この地が天孫降臨に係わりがあることを想像させる顔ぶれ。この山の峰を崇めていたことも、降臨の地だったからなのかも知れません。
本殿や拝殿は正面から見るととてもシンプルな印象を受けます。しかし目を引くのは龍などの見事な彫刻の数々。きれいな屋根の曲線など、見れば見るほど調和のとれた美しい建造物です。
槵觸神社へのアクセス
高千穂バスセンター〜車もしくは徒歩、約0.7km
槵觸神社の参道の中ごろから200mほどの場所、神代川のほとりに「天真名井(あまのまない)」があります。
瓊瓊杵尊が天孫降臨したとき、この地には良い水がありませんでした。そこで天村雲命(あめのむらくものみこと)が高天原に戻り、水源の種を持ち帰ります。それがこのご神水「天真名井」。
春の高千穂神社・秋の槵觸神社のお祭りでは「御旅所」として、神輿が安置され神楽が奉納されます。この水源がとても神聖な場所だという証ではないでしょうか。
天真名井があるのは、樹齢1300年といわれるけやきの根元。今もこんこんと水が湧き出しています。耳をすましていると時折「ゴボゴボッ」という水の湧き出る音が…。その水はけやきの根がはっきりと見えるほど、澄み渡っています。
この水は地下水となり、その流れ出る先はここより1.5kmほど南西。高千穂峡の玉垂(たまたる)の滝だと言われています。
天真名井の裏に、木々に囲まれた石の祠があります。これは「神代川妙見」で水神様。この高千穂地方では妙見信仰と水神信仰が一緒になり、ここも例外ではありません。
ひっそりとしていますが、何かものすごくパワーを蓄えているような…。自然と目が行き、思わず手を合わせてしまう空間です。
※妙見信仰…妙見菩薩に対する信仰。妙見菩薩は北極星を神格化した菩薩で、善悪や心理を見極める目を持っている、とされています。
天真名井へのアクセス
高千穂バスセンター〜車、もしくは徒歩約0.5km
槵觸神社境内〜徒歩、約0.2km
神話のふるさと、高千穂。
槵觸神社や天真名井を訪れると、ほんの少し神話を身近に感じることができます。それは今もなお神話の「足跡」として、神聖な空気を留めているからではないでしょうか。
ぜひ槵觸神社や天真名井で、神話を肌で感じてください。
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