写真:Hiroko Oji
地図を見るドイツ南西部の経済の中心地シュツットガルトからさらに列車で1時間ほど南にあるチュービンゲンは、鉄道駅から数分の所にあるネッカー川を渡ったところに見事な木組みの建物を有する美しい町です。ネッカー川に架かる橋に立つと、その素晴らしい風景に期待感が高まります。
川沿いに建ち並ぶのは、色とりどりの建物たち。三角の屋根が可愛らしく、優しいパステルカラーに彩られた家並みの風景は、川の対岸にある中州からも楽しめます。中州には背の高い美しいプラタナスの並木道が奥のほうまで続き、公園として鳥や人々の憩いの場になっています。
写真:Hiroko Oji
地図を見る河畔沿いの美しいパステルカラーの建物の中に、とんがり帽子の丸い家があります。「ヘルダーリンの塔」と言い、写真の黄色い建物がそれです。ドイツで有名な詩人であるヘルダーリンが、36年間この塔の中で暮らしていたというもの。川沿いの庭には緑の中に像や石碑があり、塔の前には舟着き場が設けられています。夏限定なのですが、学生が船頭となってシュトッハーカーという素朴な木の船を操り、ネッカー川を周遊できるようになっています。
ヘルダーリンの塔の裏手には、エバンゲーリッシュ・シュティフトという建物があります。かつての修道院であり、宗教改革後には神学校として利用されたものです。ヘルダーリンはもちろんのこと、作家ヘルマン・ヘッセや哲学者ヘーゲル、天文学者ケプラーらが学んだところであり、青春時代を過ごした彼らの顔が、今はレリーフとなって壁に残されています。ヘッセは、「車輪の下」の中で、この神学校に入るための凄まじい勉強の辛さや学生生活の厳しさを描いています。
写真:Hiroko Oji
地図を見るチュービンゲンは、町全体がどれもこれも見応えのある堂々たる木組みの建物ばかりで、特にここを見てください!なんて決めるのが難しいほどです。中には、壁絵が素晴らしい建物も交じっています。そんな町で唯一必見の場所といってもいいのが、石畳の坂を上り詰めたところに敷地を構えるホーエンチュービンゲン城からの眺望でしょうか。
城門の構えも威厳のある立派なもので、アーチをくぐって坂をさらに上ると見えてくるのが、ネッカー川沿いに建ち並ぶカラフルな木組みの建ち並ぶ風景。奥の展望台からは、煉瓦色の屋根瓦を敷き詰めた町並み、緑のシュヴァーベンの田園まで見渡す素晴らしい眺め!この眺望だけでも十分楽しめる一角です。
お城の最も古い部分は1078年のものですが、現在のような美しいルネサンス様式に改装されたのは16世紀のこと。一部を民族歴史博物館として公開されている以外は、主に大学の施設として使われています。
写真:Hiroko Oji
地図を見るお城から坂道を下っていくと、町の中心地・マルクト広場へつながります。広場に面して15世紀に建てられた市庁舎には、16世紀に増築する際、1511年製の天文時計が取り付けられました。壁絵も特徴的な市庁舎で、前の広場には中央にネプチューンの噴水が設けられ、たくさんの人々で賑わうところ。ここには毎週月・水・金曜日の午前中に市がたち、石畳の僅かに傾斜した広場を取り囲む建物がどれも素晴らしい木組みばかりで、ショップやカフェ・レストランが入っています。
広場から延びる路地沿いには、堂々とした佇まいの木組みの建物群がズラリと建ち並びます。その中で、中世を偲ばせる雰囲気を感じながら、ただただ散策して回るだけの贅沢なひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。
写真:Hiroko Oji
地図を見るマルクト広場からホルツマルクトという通りに入った所にある、赤い壁が目立つ木組みの建物がヘッケンハウアーという古書店。「車輪の下」で知られる作家・詩人のヘルマン・ヘッセが1895年から4〜5年間、見習いとして働いていたことにより、現在はヘッセに関する資料館となっています。彼に関する写真や書籍、資料はもちろんのこと、ヘッケンハウアー書店の歴史に関する資料なども展示されています。ソファに座りこんでゆっくり資料を閲覧できるので、休憩がてらに立ち寄るのもいいかもしれません。
ドイツに数ある木組みの素晴らしい町の中で、ドイツ人が最も住みたいという町の一つ、チュービンゲンをご紹介しました。この町の人口の4割近くが、学生と大学関係者であるという、若さと活気で溢れた町でもあります。鉄道駅やバスターミナルからも簡単にアクセスできるので、日帰り訪問も可能です。クリスマス時期には、マルクト広場や町の重要な教会であるシュティフト教会前の広場など、クリスマスマーケットも繰り広げられますので、他の町より期間は短いですが、ぜひ楽しんできてくださいね。
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この記事を書いたナビゲーター
Hiroko Oji
旅の計画を練り、現地でその土地ならではの経験を楽しみ、帰ってきたら写真の整理をして旅行記や記事を書くと、一つの旅で3〜4回楽しんでいます。アメリカで大自然の偉大さに圧倒され、人生観が大きく変わりました…
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