写真:和山 光一
地図を見る武田信玄の銅像がある甲府駅から歩いて5分のところに、「サドヤ」はあります。江戸時代から続く油屋「佐渡屋」を大正6(1917)年「サドヤ醸造場」として創業し、本格的な辛口ワインを醸造しています。昭和11(1936)年には甲府市善光寺町にサドヤ農場を開墾し、フランスよりワイン醸造用品種の苗木を植え、以来カベルネ・ソーヴィニオン種、セミヨン種を中心に自家農園産ブドウによるワインづくりを続けています。この苗木から納得のいく品質のワインが造れるようになるまで10年。1946年産のワインを「シャトーブリヤン1946」として1950年に発売されたのです。シャトーは、お城や畑、ワイナリー等を指し、ブリヤンには「輝き続けるように」の意味を込めて命名されました。
ショップに隣接したテイスティングカウンターで、「シャトーブリヤン・ミュール赤」500円と「シャトーブリヤン・ヴィンテージ赤」1000円を呑み比べてみましょう。ミュール・赤も料理に合わせやすい、近寄り安さがありますが、ヴィンテージは、カヴェルネ・ソーヴィニオンの熟成を経た香りが広がり、重厚なボディを感じます。まさしくボルドースタイルのワインです。
写真:和山 光一
地図を見る甲斐善光寺のある山の手通り(北バイパス)。酒折トンネル近くの高台に「シャトー酒折」はあります。テラスからは白根三山、鳳凰三山、甲斐駒ケ岳などが見渡せます。この「酒折」という地名は古事記にも記されている、山梨県で最も古い地名です。ヤマトタケル伝説にまつわる連歌発祥の地とされていて、エントランスに飾られているステンドグラスは、古事記の酒折宮でのヤマトタケル物語を表しています。
3Fのフロントで受付を済ませ、2Fから見学して行き、地下1Fのワインセラーを見学した後3Fに戻ります。3Fでは試飲コーナーがあり、こだわりワインからブドウの品種特性を引き出したワインまで楽しめます。特にマスカットベリーA樽熟成はシャトー酒折の醸造家井島正義さんがメイン品種として醸造するワインで、しっとりとしていて上品で美味。是非山梨名物の鶏のモツ煮込みと合わせて楽しんでみて下さい。
写真:和山 光一
地図を見る古くから、ブドウ栽培とワイン造りが行われてきた山梨県甲府盆地の北東部塩山の一角、武田信玄の菩提寺である乾徳山恵林寺の近くにあるのが「機山洋酒工業」です。もともとはその名の通り、ブランデーほか各種の蒸留酒や甘味ブドウ酒を造る工場として始めたもので、機山というのは武田信玄の号(戒名)です。
赤レンガ造りの瀟洒な和洋折衷の建物には風格があり、工場というよりは御屋敷を訪ねる感じです。豊かな旧家の佇まいを見せるアプローチには、レンガが敷き詰められ、入った右手にショップ兼テイスティングスペースの機山ワイン館があります。奥に工場があり、手前左に貯蔵庫と必要な施設がコンパクトにまとまった印象が好ましい。ショップ内は薪ストーブがおかれ、カントリー調の家具やテーブルが並び洋風レストランの趣である。
試飲はカウンターで「キザンワイン白」と「キザンワイン赤」、「キザンファミリーリザーブ」がいただけます。が、おすすめは通常は試飲では出ししていない「キザンスパークリングトラディショナルブリュット」です。日本人の食に合うことを目指して造られた甲州ブドウの泡物で、日本でも少しずつ増えてきた密閉したビン内で起きる発酵によって生じた泡を封じ込める、瓶内二次発酵のシャンパーニュ製法で造られています。口に含めばフレッシュな果実味がはじけるようで、ほのかに青リンゴの風味がひろがります。後味がスカッと爽快でドライなので、飲み飽きしません。
写真:和山 光一
地図を見る800年の歴史の重みを感じさせる武田信玄が戦勝祈願した、甲斐源氏安田義定建立の高橋山放光寺。この門前の細い道を入ったところに佇み、小さな駐車スペースと工場脇のかわいいショップがある小さい家族経営のブティックワイナリーが「五味葡萄酒」です。小さいながらも、甲州のみならず、欧州系やアジロンダック、ベリーA、ブラッククイーン、ベリーアリカント等、川上品種の黒葡萄は揃い踏みで、これらのブドウ品種を苗木の栽培から醸造まで手作りにこだわっています。
ドイツの民家風のかわいい木のぬくもりがあるショップの店内は、来客用の椅子テーブルと、カウンター、そして商品が並べられたガラスケースと普通なのですが、壁一面に水森亜土のイラストが飾られているところが少し違います。水森亜土さんと親交が深く、実際新酒のイベント時には来店し絵を描かれ、亜土さんのラベルのワインが販売されています。
試飲は無料ですが、全種類の中からお客と話しをしながら数種類選んで行うテイスティングですので、あらかじめ狙いや好みを絞って行ったほうがよいでしょう。ここのお母さんと話をしているとワインの話しで引きずられていきます。一升瓶ワインである「五味ワイン」をまとめて買って行く人もいる、知る人ぞ知るワイナリー。是非塩山に行くならルートにいれてみてください。
写真:和山 光一
地図を見る甲斐ワイナリーは、天保5(1834)年に造り酒屋を風間懐慧が創業したのが前身で、昭和61(1986)年に現在のワイナリーが設立されました。実はワイナリーの所在地である塩山の於曽は、戦国時代、甲斐国の黒川金山衆の住む郷。風間家は、天文12(1543)年に武田家より賜った御朱印状が伝わる戦国武田の治世より続く名家で、有形文化財の元酒蔵でワインを醸しています。
敷地内にあるワインカフェ古壺は築200、江戸期の土蔵を蘇らせ、甲斐ワイナリーの全銘柄がリーズナブルな価格で飲める場所です。白ワインは無料で試飲できますが、赤ワイン三種類(キュベかざまメルロー、かざまメルロー、キュベかざまバルベーラ)を飲み比べてみるのが面白いです。キュベとは自社畑100%のこと、また特に日本のワイナリーでは珍しいイタリアの地葡萄バルベーラは、色は濃くなく、美しいルビーレッドで、若々しさの中にもエレガントさがある飲んでみたい一本です。
ワイナリーが狭い地域に集積し、一度に回れる世界的にも稀な体験ができる旅が、山梨のワインツーリズムです。ワインの聖地といわれる「勝沼」以外にも山梨には、国内や海外のコンクールで認められる逸品を造りだすワイナリーが数多くあります。ここ数年で驚くほど質が高まったとされる日本ワイン。その造り手に会いにワイナリーを訪れてこだわりや情熱に触れれば、もっと味わいが楽しめます。また解説を聞きながら試飲をしつつお気に入りの一本を選べます。
ブドウ畑の近くを歩けば、山梨には武田信玄ゆかりの名所旧跡も多くあり、歴史もいっしょに巡ってみてください。
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(2024/9/17更新)
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