写真:澁澤 りべか
地図を見る「マノハラホテル」はボロブドゥール史跡公園内にある唯一のホテルです。つまり入場ゲートの内側に建っているので、宿泊客は公園の開園・閉園時間に関係なくボロブドゥールをいつでも何度でも観光することができます。
晴れた日のボロブドゥール観光はかなり過酷です。各回廊のレリーフをじっくり鑑賞し、いくつもの階段を上がり、頂上からの眺めを堪能する間、容赦なく照りつける太陽に体力を奪われます。
マノハラホテルならボロブドゥールの目と鼻の先にあるので、疲れたら部屋に戻って休憩できますし、朝焼け、昼間、夕暮れ時とボロブドゥールの様々な表情が楽しめます。さらに博物館の見学や、エレファントライドの体験、お土産購入など、時間を気にせず公園内の施設を隅々まで楽しめるのです!
ちなみに「マノハラ」とは、お釈迦さまが前世で、ある国の王子(スダナ王子)だったときに恋に落ちた姫です。半鳥半女の天女でした。
ボロブドゥールの第一回廊上段レリーフは有名なお釈迦さまの生涯の物語ですが、同じ壁の下段にはこの「スダナ王子とマノハラ姫の物語」が描かれています。
写真:澁澤 りべか
地図を見るこのホテルは客室以外ほとんど壁がなく柱と屋根だけ。風の香りや日の光をいつでも感じられる、自然と一体化したジャワ建築が南国気分を盛り上げます。
ホテル内を探検してみると図書室があったり、ネコに遭遇したり、見慣れない植物が生えていたり、何かと面白いものを発見できます。また宿泊客は「オーディオヴィジュアルルーム」でボロブドゥールに関するレクチャービデオを無料で見ることができます(日本語あり)。
朝食バイキングのレストランでは、座席の場所によってはボロブドゥールを見ることができます。少し早めに行って良い席をゲットしてください。
写真:澁澤 りべか
地図を見るもともとボロブドゥール遺跡の発掘、調査を行う研究者のための宿泊所だったものをホテルに改装したので、豪華なリゾートホテルという感じではありません。客室棟は平屋のコッテージ風。室内はこじんまりとしていて、とても清潔感があります。
各部屋の窓から裏の庭に出られ、イスも置かれています。庭には草の中を飛び跳ねるバッタ、それを追いかける子ネコ、菩提樹の木からハラリと落ちるハート型の葉っぱ…。炎天下の遺跡散策での疲れも癒されます。
写真:澁澤 りべか
地図を見る一般のツアーではサンライズを見るにしても、史跡公園の開園時間以降でないとボロブドゥールに近づけません。しかしマノハラホテルの宿泊者は、日の出の前の朝4時半にフロントに集合!懐中電灯とサロン(寺院参拝に必須の腰に巻く布)を貸してもらい、まだ真っ暗な中を宿泊者専用通路を歩いてボロブドゥールへ。懐中電灯はそのままお持ち帰りOK。
遺跡に上がり頂上で暁の光を待ちます。眼下には霧の立ちこめる黎明のジャングル。ゆっくりと白んでいく東の空。黒々と浮かび上がるストゥーパ。やがて自分も遺跡も朝焼けのオレンジ色に包まれます。刻一刻と表情を変えていく神秘的な光景は、感動的な素晴らしさです。
ホテル内のレストランでは伝統的なインドネシア料理が食べられ、価格もお手ごろ。またホテルの外へ出て少し歩けば、地元の人でにぎわう市場やスーパー、パダン料理の食堂などもあります。
閉園後にはこの仏教の聖地に、イスラム教の祈りの時を告げるアザーンが鳴り響き少し驚くかもしれません。
夜が更けると降ってきそうな満点の星空を静寂のなかで独り占めできます。
そしてマノハラホテルにはチチャと呼ばれる灰色の小さなヤモリが出没。特に日が落ちてからは柱や天井にとまっていて、「チチチチッ」と鳴いています。ただし客室にはほとんどいませんのでご安心を。
「マノハラホテル」はサンライズ鑑賞に便利なだけでなく、ボロブドゥールのレリーフや建築をじっくり見たい方、遺跡の見える庭でゆっくりくつろぎたいにもおすすめのホテルです。
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この記事を書いたナビゲーター
澁澤 りべか
歴史の舞台を旅しながら、日本で世界各国の歴史、文化、宗教、習慣などを教えています。これまで、のべ30カ国90件ほどの世界遺産を訪問しました。年に数回、歴史を五感で楽しんでもらうイベントを開催しています…
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