写真:竹内 あや
地図を見る深大寺の起源は、こんなロマンティックな物語ではじまります――。
昔むかしとある村に、福満(ふくまん)という名の青年がいました。彼はこの土地の郷長の娘と恋に落ちます。ところがそれに反対した娘の両親は、ふたりの仲を引き裂こうと娘を湖水中のなかに隠してしまったのでした。
青年は、毎日悲しみにくれて湖を見つめ続けていました。そんなとき、『西遊記』にも登場し、三蔵法師として知られる玄奘三蔵の故事を思い出します。その中には、インドへ行く途中で砂の中から現れ、玄奘三蔵を助けてくれた仏教の守護神のひとり、深沙大王(じんじゃだいおう)のことが記されていました。
青年は、懸命に深沙大王に祈りを捧げました。すると、湖から大きなカメが現れ、青年を背に乗せると娘のもとへと連れていってくれたのでした――。
こうしてふたりの間に生まれたのが、満功上人(まんくうしょうにん)。のちに深大寺を開くことになる、その人です。
写真:竹内 あや
地図を見る深沙大王はもともと疫病を除き、魔事を遠ざける神ですが、1300年前の恋物語が今に伝わる深大寺は、実は縁結びの寺としても有名です。カップルのデートスポットとしても、“縁運”を高めたいと願う女子のパワースポットとしても秘かに人気を集めています。
境内には、本尊の阿弥陀如来像を祀った本堂をはじめ、厄除け元大師を安置する元三大師堂、前述の秘仏深沙大王を祀った深沙堂など、10近くのお堂が点在。参道には、趣あるそば屋や甘味処、屋台、みやげ物店が軒を連ねています。
境内は木々であふれ、春は桜、初夏は雪を覆ったような真っ白な花で覆われるナンジャモンジャ、秋は紅葉……と、季節の彩が楽しめます。広大なバラ園でも知られる、隣接の神大植物公園と合わせて散策するのもいいでしょう。
写真:竹内 あや
地図を見る深大寺そばの歴史は、江戸時代に遡ります。もともと深大寺周辺は黒ぼく土という米の生産には向かない土地で、小作人たちは米の代わりにそばを栽培し、寺へ納めていたのだとか。さらに周辺には湧き水が多く、そば作りに適した環境であったため、そばの生産が発展していったといわれています。
深大寺そばは、江戸時代に編纂された『新編武蔵風土記稿』のなかで、「極めて絶品」と称されているほど。鷹狩りの際に立ち寄った徳川第三代将軍家光がそばを口にし、その美味しさを褒めたとも、江戸後期に活躍した文化人の一人、太田蜀山が絶賛したことから有名になったとも伝えられています。
今では深大寺名物として、周辺には20軒以上ものそば屋が点在。味はもちろん、自然に囲まれた環境や古民家風のその風情ある外観も人気を呼び、週末になると多くのカップルや家族連れでにぎわっています。
写真:竹内 あや
地図を見る今では年間通して食べられるそばですが、一番おいしい季節、新そばの季節が2015年も到来! それに合わせ、毎年好評の「深大寺そばまつり」(深大寺そば組合主催)が11月28日(土)〜12月6日(日)に開催されます。
期間中は、特別に各店に「少なめ盛り」メニューが登場! 通常サイズだと大食いの人でも2、3軒が限度ですが、このときこそは1軒でも多く巡って、各店のこだわりメニューに挑戦するチャンス! 自分の好みを求めて、味比べをするのもいいかもしれません。
週末はさらにイベントも盛りだくさん! 伝説のそば種を見つける「謎解きゲーム」や物産展、そばがき体験なども開催される予定です。
1300年もの昔の恋物語が伝わる深大寺――。紅葉で彩られた参道を散策し、しっかりお参りしたあとは、思う存分に食べて、遊んで、体験!! 深大寺の新たな魅力が発見できるかもしれません。
■アクセス:深大寺へは京王線つつじヶ丘駅、調布駅からバスが運行。共に所要約15分。JR中央線吉祥寺駅、三鷹駅からは所要約25分。
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(2024/9/9更新)
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