写真:Hiroko Oji
地図を見るシチリア島南東部のイオニア海に面した古代都市シラクーサ(Siracusa)は、2005年に世界遺産に登録されています。大きな橋を挟んで、新市街のある本土側と、旧市街の広がるオルティージャ島(Isolotto di Ortigia)の二つの地域に分かれていて、どちらにも観光スポットが密集しています。かの有名な天才数学者アルキメデスを生み出した町であり、太宰治の小説「走るメロス」の舞台となった町としても知られています。
古代ロマンの舞台・発掘地域があるのはネアポリ考古学公園。新市街のあるシチリア本島にあります。ネアポリ考古学公園の入り口を入って行くと、右側に広がるのが天国の石切り場と呼ばれる一帯。紀元前5世紀の都市拡大の頃には、ここから多くの石が切り出されました。石切り場の一番深いところは、高さが45メートルあり、緑と岩の崖が続く壮大な風景が広がります。
写真:Hiroko Oji
地図を見る天国の石切り場の中に、ひときわ人気のあるポイントがあります。高さ36メートルの細長い耳の形をした洞窟への入り口で、「ディオニュシオスの耳」と呼ばれているところです。この名前は1603年、放浪画家のカラヴァッジョが名付けたもので、奥にはカーブした洞窟が続きます。奥行き65メートルあり、勇気を出して中に入っていくと、振り返った所からの入口の光がとても美しい光景です。また、音響効果が素晴らしく良く、洞窟の奥でのひそひそ話でも入り口まで聞こえてしまうほど!ぜひ、現地で確かめてみてください。
写真:Hiroko Oji
地図を見る考古学公園の中で、広大な面積を占めるギリシア劇場は、シチリア島に現存する中で、というよりヨーロッパで最大の規模を誇ります。紀元前5世紀初期の建造で、建築家ダモコポスが設計したと言われており、紀元前3世紀、ヒエロン2世の時代に拡大改築されました。8つの階段通路により9つのセクションに分かれた67列の座席は、その数15000人もの観客を収容できる規模となりました。かつては観客席は階級別座席となっていたようです。今でも現役で利用されており、毎年5月から6月にかけて、古代劇が上演され、世界中の人が観劇を楽しみに集まってきます。
写真:Hiroko Oji
地図を見るこれもシチリア最大で、横140メートル、縦119メートルある円形闘技場は、紀元前1世紀頃、半分は岩をくりぬき、残りは切石を積んで造られた楕円形のアンフィ・テアトル。今では緑とお花で覆われたのどかな風景の憩える場です。剣闘士の登場口となった通路や、手摺りの角石には、観覧席の所有者の名を刻んだ石碑も残っています。3〜4世紀の帝政時代、剣闘士たちが血を流して闘いを挑んだ場であったなんて思えないほど、今では和やかな空気に包まれており、ふと現代にいることを忘れてしまいそうな不思議な錯覚を覚えてしまいます。
写真:Hiroko Oji
地図を見るギリシア劇場を見下ろす高台に広がるのは、ヒエロン2世により築かれた巨大な祭壇と墳墓の密集地帯。横幅が198メートル、奥行きが23メートル近くあり、現在残っているのは岩から掘り抜かれた基壇の部分のみ。元々、基壇の上には建物があり、前の中庭は円柱で囲まれていたようです。岩肌に洞窟のように彫り込まれた遺構は、ニンフェオの洞窟(Grotta di Ninfeo)。ほとんどが紀元前13〜7世紀のもので、見ているだけで古の世界へと導かれる巨大な石に囲まれた世界です。
シラクーサは、16世紀と17世紀の二度、壊滅的な地震に襲われた後、第二次世界大戦では空爆で激しく町が破壊された所です。元々は今回ご紹介した遺跡群のある地区が観光の中心地となっていたのですが、戦後荒廃していた旧市街のあるオルティージャ島では、1990年代後半から再開発が行なわれるようになりました。さらに2005年に世界遺産に登録されると、古代遺跡の町からリゾート地へと一変し、オルティージャ島にも人が集まるようになってきました。どちらも観光スポットの多い所ですので、古代遺跡巡りの後は、オルティージャ島へ足を延ばして、リゾート気分もたっぷり味わってくださいね。
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(2023/12/1更新)
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