写真:ザーカー 久美子
地図を見るページ (Page) 最大の見どころといえば「アンテロープキャニオン (Antelope Canyon) 」。北米大陸に暮らす550以上の部族のうち、最も大きな部族の1つであるナバホ族の居留地 (Navajo Nation) 内の「パウエル湖ナバホ部族公園 (Lake Powell Navajo Tribal Park) 」にあり、アメリカ政府ではなく、ナバホ族が管理・運営を行っています。
「キャニオン」と聞くと、グランドキャニオンのような岩山を想像しますが、こちらは「スロットキャニオン (Slot Canyon) 」と呼ばれる、幅の狭い洞窟のような峡谷です。長い歳月をかけ、雨や風、ときどき起こる洪水により、柔らかい砂岩は削られていき、波のように美しいらせん模様を生みだしました。
道を挟んで、南北にある峡谷へは、ツアー参加者のみが見学を許されています。
ナバホ族の人々から「ツェービガニリニ (Tse’ bighanilini / 水が岩を流れ抜ける場所) 」と呼ばれているのが、南側に位置する「アッパーアンテロープキャニオン (Upper Antelope Canyon ) 」。幹線道路から、砂漠のようなオフロードの道を進むことおよそ5分。雷に打たれたがごとく、縦に亀裂の入った巨大な岩山が、旅人を待ち受けています。これが、峡谷の入口です。
内部は、まさに異世界。見上げれば、高さ約35mの岩の裂け目から白い光がこぼれ、横幅2mほどの洞窟を進むごとに、美しいらせん模様の岩肌が、波が押し寄せるようにその姿を現します。
巨大な竜が、天辺から覗きこんでいるように見える「ドラゴンアイ (Dragon Eye) 」などの見どころや、写真の撮り方をガイドさんが教えてくれます。モデルのようにポーズした姿を撮ってくれることも。そんな時は、恥ずかしがらず、思い切ってモデルを気取りましょう☆
「アッパーアンテロープキャニオン」といえば、ビーム (Beam) と呼ばれる太陽の帯が必見! 天辺の裂け目から、光の束がすうっと一直線に差しこみます。運が良ければ、5本以上の光の帯が見られることも。アニメーション映画「風の谷のナウシカ」のラストシーンを彷彿とさせる、神秘的な光景です。
太陽の帯は、春から秋の正午前後に見られる確率が高いので、その時間帯に催行されるツアーがおススメです。
一眼レフカメラをお持ちの方は、「フォトグラファーツアー」に参加してみては? プロのカメラマンがガイドとなって、撮影ポイントを案内してくれるのはもちろん、観光客が映りこまないよう、しっかりと時間と場所を確保してくれます。詳しくは、各ツアー会社にお問い合わせください。
写真:ザーカー 久美子
地図を見るアッパーアンテロープキャニオンの北側に位置するのが、ナバホ族の人々から「ハスデトワジ (Hasdestwazi / らせん模様の岩のアーチ) 」と呼ばれる「ロウワーアンテロープキャニオン (Lower Antelope Canyon ) 」。こちらは、地下にあるスロットキャニオンです。
ツアーの集合場所から、砂の道を5分ほど歩くと入口に到着します。
岩に穿たれた裂け目から、地下へと伸びる急な階段。その底は、「アッパー」よりも幅の狭い空間となっており、この先に一体何が待ち受けているのか、と冒険心をくすぐります。
「アッパー」よりも洞窟内が明るく、桃色や紫に変化する岩肌のグラデーションがより際立ちます。ときおり、粒子の細かい砂が、静寂な時を刻むように、滑らかな岩肌を滑り落ちていきます。観光客が「アッパー」よりも少なく、静かに峡谷内を観光できるのが魅力です。
こちらでも、太陽の帯を見るチャンスはありますが、帯の本数が少なく、鑑賞できる確率は低めなので、時間に余裕のある方は、ぜひ両方の峡谷を訪ねてみてください。
アンテロープキャニオンに入園する際、アメリカの国立公園や史跡めぐりにお得な年間パス「アメリカ・ザ・ビューティフル (America the Beautiful) 」は利用できませんが、入園料は一日券となっているため、同日に両峡谷を見学すると、ちょっぴりお得です。
写真:ザーカー 久美子
地図を見るアンテロープキャニオンのすぐ近くにあり、併せて立ち寄りたいのが「アンテロープポイントマリーナ (Antelop Point Marina) 」。アメリカ国内で2番目に大きな人造湖である「パウエル湖 (Lake Powell) 」の南西に位置する新しいマリーナです。
構想期間30年以上、80億円を超える巨額の費用を投じ完成した停泊施設には、観光案内所やお土産屋さん、レストランがあります。
ナバホ族の言葉で「アンテロープの泉」を意味する「ジャディートゥー (Ja’di’ Tooh) 」では、岩肌に抱かれた美しいマリーナのテラス席で、美味しい食事がいただけます。シーフード料理や、店の看板メニューである薪のオーブンで焼いたクリスピーなピザを味わいながら、突き抜けるような青空に映える、透明度の高い湖と赤い砂岩のコントラストに酔いしれてくださいね。
所要時間1時間の「アンテロープスロットキャニオン・ボートツアー (Antelop Slot Canyon Boat Tour) 」に参加して、湖面から素晴らしい景色を眺めるのもおススメです。
写真:ザーカー 久美子
地図を見る前述のパウエル湖は、コロラド川 (Colorado River) を堰き止めて作られた人造湖です。
コロラド川は、アメリカ合衆国の中心からちょっと西寄りのコロラド州にそびえるロッキー山脈を源とし、ページやグランドキャニオンの砂岩を削り、メキシコとの国境をまたぎ、カリフォルニア湾へと注ぐ、全長2320kmの河川です。北海道から沖縄までの直線距離がおよそ2600kmですから、驚きの長さです。
コロラド川の生みだした芸術作品と名高い場所、それが「ホースシューベンド (Horseshoe Bend) 」。川の流れにより、赤い砂岩がU字型に抉られた自然の造形美です。
駐車場から、Let’sトレッキング! 砂の道を歩くこと約15分。荒野のトレイルコースの果てに、断崖絶壁が現れます。手すりのない切り立った崖を恐る恐る覗きこむと、遥か彼方、およそ300m下に、コロラド川の雄大な蹄鉄(ホースシュー)を見ることができます。
サファイアとエメラルドが溶けこんだような水の中心に、大地のしずくのような岩山がどっかりと佇んでいます。油絵のような美しい光景に、言葉を忘れ、ただただ眺めてしまうことでしょう。
ときおり、ラフティングをするボートが、白いしぶきをあげて過ぎていきます。それは小指で隠れてしまうほど小さくて、改めて、ホースシューベンドの大きさを実感します。
日の出には、光を受けて岩山が赤く輝き、日没には、地平線へ沈む大きな太陽が望めます。最も美しい時間帯ですが、薄暗いので、けっして崖から落ちることのないよう注意してくださいね。
写真:ザーカー 久美子
地図を見るホースシューベンドの少し上流には、パウエル湖とコロラド川を隔てる「グレンキャニオンダム (Glen Canyon Dam) 」があります。ページは、このダムの建設に携わった労働者たちにより作られた町です。
1956年から約10年の歳月をかけて完成したダムは、高さ216m、幅475mを誇り、大事な水がめとしてはもちろん、洪水の制御、水力発電所、そして、ウォータースポーツのメッカとして、人々の暮らしに役立っています。
間近で見てみたい方は、ダムの西側にある「カール・ハイデン・ビジターセンター (Carl Hayden Visitor Center) 」が催行する見学ツアーに参加してみては? ダムの天端(天辺)を歩いたり、水力発電所や資料室を訪れるおよそ45分のツアーです。入場の際には、持ち物検査があり、カバンの持ち込みはできません。サイフやカメラなどの貴重品、ペットボトルの水のみ携帯できますのでご注意を。
「ダムを川から見上げてみたい」という方は、ぜひラフティングにチャレンジしてください。ダムやホースシューベンド、北米先住民・プエブロ族 (Pueblo) の古代岩壁画を鑑賞する水のツアーは、記憶に残る刺激的な旅になりますよ。
パウエル湖の中心にある「レインボーブリッジ国定公園(Rainbow Bridge National Monument)」には、湖からしかアクセスできない世界でも有数の巨大な岩のアーチ・レインボーブリッジ (Rainbow Bridge) があり、こちらも必見です。ページの中心街から北へ、車で20分ほどの場所にある「ワーウィープマリーナ (Wahweap Marina) 」からボートツアーが出ています。
絶景づくしの小さな町・ページで、ファインダーに収まり切れない大きな光景を、目に焼きつけてくださいね。
〈一旅一首〉
お互いの不満のダムが決壊し引かないままのサンクスギビング
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(2024/9/14更新)
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