備前地域の古代探訪!石棺を露出させた築山古墳・須恵古代館

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備前地域の古代探訪!石棺を露出させた築山古墳・須恵古代館

備前地域の古代探訪!石棺を露出させた築山古墳・須恵古代館

更新日:2015/11/24 17:07

乾口 達司のプロフィール写真 乾口 達司 著述業/日本近代文学会・昭和文学会・日本文学協会会員

岡山の古代史といえば、全国第4位の規模を誇る造山古墳を盟主とする吉備路の古墳や古代遺跡を連想されるでしょう。しかし、岡山市の東方、かつての備前の国にふくまれる瀬戸内市にも注目すべき古墳や遺跡があります。その盟主的な古墳こそ、今回、ご紹介する築山古墳。しかも、その横には、当地から発掘された遺物を展示する博物館も設置されています。今回は築山古墳と須恵古代館所蔵の貴重な文化財をご紹介しましょう。

石室の残欠や石棺まで露出!岡山県指定史跡に登録されている築山古墳

石室の残欠や石棺まで露出!岡山県指定史跡に登録されている築山古墳

写真:乾口 達司

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長船の市街地から東方に車で10分ほどの山里にひっそり横たわるのが、築山古墳(つきやまこふん)。5世紀の後半から6世紀の前半頃に築造されたと考えられている前方後円墳で、現在、岡山県指定の史跡に登録されています。全長は115メートル。吉備路に点在する巨大古墳に比べるとその規模は大きくありませんが、嬉しいのは実際に墳丘にのぼることが出来る上、後円部には石室の残欠やそのなかに安置されていた石棺を間近で見られること。

写真はその石室の残欠と石棺を撮影した1枚。ご覧のように、むき出しの状態で残されていますが、このような状態になったのは、明治40年(1907)に発掘された際、石室を覆っていた土盛りを除去した結果であるといわれています。それだけに、なかなかお目にかかることの少ない石棺の安置された状況が良くわかり、古墳好きにはたまらない光景でしょう。

勇気を出してなかを覗こう!石棺内部の様子

勇気を出してなかを覗こう!石棺内部の様子

写真:乾口 達司

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築山古墳の石棺の形状はいわゆる「家型石棺」に分類されるタイプ。凝灰岩で造られており、現在では熊本県で出土する「阿蘇ピンク石」を原材料としていると考えられています。いつの時代にか、盗掘されたのでしょうか、石棺の一部は破壊されており、そこを通して、石棺のなかを覗くことが出来ます。

えっ!?なかには被葬者が眠っているのでは?と驚かれる方もご安心。被葬者の遺体は盗掘の際に打ち捨てられたのか、骸骨はもちろん、遺体の周囲をきらびやかに飾っていた副葬品も存在しません。しかし、そのぶん、空洞となった石棺のなかがどのような構造をしているかがはっきりとわかります。

写真はその内部を撮影したものですが、築山古墳を訪れたら、勇気を出して、石棺のなかを覗いてみましょう。

二重の周濠がめぐっていた!?墳丘の周囲

二重の周濠がめぐっていた!?墳丘の周囲

写真:乾口 達司

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写真は墳丘を下から眺めたものですが、築造当初は二段構造を持つ墳丘の縁などに埴輪が並べられていました。しかも、特筆すべきは、現在は田畑と化している墳丘の周囲を取り巻くようにして、二重の周濠が張りめぐらされていた点。

二重の周濠を持つ前方後円墳は畿内に多く見られる上、特に大王やそれに準ずる高位の人物が埋葬されていると考えられています。ということは、築山古墳の被葬者も畿内の大和王権との強い結びつきを持つ、当地・備前地方の首長クラスの人物であったことが想定出来ます。ありし日の築山古墳を思い浮かべながら、備前地方の古代史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

西日本有数の須恵器の産地!邑久古窯址群出土の須恵器

西日本有数の須恵器の産地!邑久古窯址群出土の須恵器

写真:乾口 達司

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築山古墳のすぐ脇には「須恵古代館」(すえこだいかん)と呼ばれる博物館も建てられています。須恵古代館は平成8年(1996)に開館した地元密着型の博物館。規模は小さいですが、当地に点在する古代遺跡から出土した埋蔵文化財が多数保存・展示されています。開館は土・日・祝日のみですが、入館料が無料というのは有り難いですね。

写真は館内に展示された須恵器の数々。須恵器とは、古墳時代後期以降に作られるようになった朝鮮半島伝来の土器のこと。須恵古代館が、その名のとおり、西須恵という名を持つ地区に建てられていることからもわかるように、当地からは数多くの須恵器が出土しています。当館をふくむ周辺一帯からは「邑久古窯址群」(おくこようせきぐん)と呼ばれる須恵器の窯跡が数多く発見されており、その規模は西日本有数!当館ならではの須恵器の数々をご堪能下さい。

石棺ならぬ陶棺!?桂山十二ヶ乢5号墳出土の陶棺

石棺ならぬ陶棺!?桂山十二ヶ乢5号墳出土の陶棺

写真:乾口 達司

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当館には他にも数々の文化財が展示されています。写真は当館の近くに位置する桂山十二ヶ乢古墳群(かつらやまじゅうにがたわこふんぐん)のなかの5号墳から出土した陶棺。死者を埋葬する棺といえば、石棺を思い浮かべる方も多いでしょうが、実は当時、ご覧のような陶製の棺も作られていたのです。珍しい陶棺をじっくりご覧下さい。

おわりに

築山古墳と須恵古代館の展示物を通して、当地がいかに古くから開けた地であったか、おわかりいただけたでしょうか。須恵古代館にはほかにもさまざまな埋蔵文化財が展示されており、築山古墳とセットでめぐることをお勧めします。それらを通して、当地の古代史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/05/05 訪問

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