コンクリート船って何?広島・安浦で初めて出会う衝撃の風景

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コンクリート船って何?広島・安浦で初めて出会う衝撃の風景

コンクリート船って何?広島・安浦で初めて出会う衝撃の風景

更新日:2015/11/25 14:14

SHIZUKOのプロフィール写真 SHIZUKO 舞台演出者

コンクリート船?!初めてこの言葉を聞いた人は誰でも「何?コンクリートで出来た船なんかあるわけがない!」と思うでしょう。でも、あるのです。今でもそれは2艘繋がれ海に浮かび、人々の生活を守っています。その場所は、軍港・呉にほど近い広島県の安浦漁港。輸送船という本来の役目を終え、防波堤としての新たな役割を得て、現存。かつて日本が戦争の真っただ中にいたという重い歴史を背負いながら、静かに波に揺れています。

泥舟と揶揄されたコンクリート船

泥舟と揶揄されたコンクリート船

写真:SHIZUKO

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第二次世界大戦末期、日本には、もう鉄というものはなくなってしまい、船を作ることも出来なくなっていました。その時、苦肉の策で考え出されたのが『コンクリート船』です。

コンクリートで出来たものが水に浮かぶはずがない!と誰しもが思ったことは想像に難くないでしょう。しかし、日本の造船技術は当時から現在までも世界最高水準。見事に作り上げられた自力航行が出来るコンクリート船は、合計4艘。鉄の船に比べ強度が低いと思われていたのですが、実際は、機雷に触れても、鉄製の船にぶつかられても、船体のダメージは軽微。とても頑丈な舩だったとの資料が残っています。

防波堤として、第二の役目を生きる武智丸

防波堤として、第二の役目を生きる武智丸

写真:SHIZUKO

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70年近い年月、海水や海風にさらされてきたコンクリート船ですが、まだまだしっかりとした強度を保っています。それは、この船を作る時にかけられた膨大な手間と時間のおかげです。

コンクリートの強度は、コンクリートの密度で決まります。戦時下、男性は戦争に取られていて、実際の造船作業では、女性や子どもたちが多く関わりました。彼女たちに課せられたのが、コンクリートの密度を上げるため、型枠に流し込んだコンクリートを、ひたすら叩き絞めるという重労働。その丁寧で地道な作業のおかげで、コンクリート船は見事に就航し、輸送船として活躍。その後、朽ち落ちることなく現存できています。今では骨格だけになってしまった船ですが、丸窓や、機関室であっただろう場所や船倉が、そんな歴史を静かに物語っています。

コンクリート船・武智丸が守る安浦漁港

コンクリート船・武智丸が守る安浦漁港

写真:SHIZUKO

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安浦漁港から防波堤である武智丸を見れば、船体に『水の守り神武智丸』と書かれています。コンクリート船・武智丸が安浦港の防波堤となったのには理由があります。度重なる台風で安浦の人々は、漁港に防波堤を作るよう行政に要求していましたが、地盤が弱く、防波堤の建設は無理という判断がなされていました。そんな時に不要となったコンクリート船の再利用を思いついたというわけです。地盤が弱くても、巨大なコンクリート船なら、そのままそこに設置するだけで防波堤になる!という発想。武智丸のおかげで、安浦漁港は穏やかな漁港となり、広島名産・牡蠣の養殖などで豊かな暮らしが出来るようになりました。

安浦での食事は…

安浦での食事は…

写真:SHIZUKO

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ほとんどお店がない静かな安浦の町ですが、一軒、お勧めのうどん店があります。『やまき醤油蔵・お食事処やまき』。瀬戸内海名産の醤油会社が経営するうどん屋さん。

醤油樽が展示されている天井の高い店内は、開放感抜群。でも、だしは繊細。薄色の透明なうどんだしの上品なことと言ったら。ホント、最高です。

大和ミュージアムで知る日本の姿

大和ミュージアムで知る日本の姿

写真:SHIZUKO

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コンクリート船・武智丸を見る旅は、広島県の呉市を中心にしたエリア。安浦漁港はJR安浦駅から、徒歩25分。ゆっくり安浦を堪能しても2時間あれば充分。となれば、メジャーな場所に行って、もう少しお勉強。呉駅が最寄りの『呉市海事歴史科学館・大和ミュージアム』へ。悲運の『戦艦大和』を中心としたミュージアムです。

博物館としては異例の大人気を博する大和ミュージアム。その理由は、人類が持つ技術の素晴らしさと危うさを通し、真に平和を願う姿勢が多くの人に受け入れられているゆえでしょう。丁寧な展示をゆっくり見るには1日かかりますが、まずは、日本の造船技術の素晴らしさを実感するだけでも、行く価値のある場所です。

自分の目で確かめる

コンクリート船のある安浦漁港は、観光地ではありません。コンクリート船を見る以外に、特別なものもありません。でも、日本が戦争末期、どんな状態であったかを実感できる歴史遺産・コンクリート船が、町の人々を守る防波堤として現存しているという事実は衝撃的。いくら文字で読んで資料を見ても、納得いかないもの。現地に行き、自分の目で確かめると、平和で静かな漁港と歴史のギャップが語り掛けてくるものは多い。ぜひ、一度お出かけいただきたい場所です。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/04/01−2015/04/02 訪問

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