写真:Naoyuki 金井
地図を見る延喜式に記載のある東京都西多摩郡の阿豆佐味天神社総本宮から勧請されて江戸時代初めに創建されたのが、ここ立川市の阿豆佐味天神社です。
阿豆佐味天神社という割には、祭神は二柱で天神社は境内社になっています。これは、“天神”が菅原道真のことではなく、「天の神(あまつかみ)」と云う意味の、少々ややこしい社名だからです。それ故に間違えて合格祈願に来る方もいたようで、そのため境内社に天神様を祀っているという噂もチラホラです。
立川市の鎮守らしく本殿は立川市最古の建築物である市有形文化財で厄除け・縁結び・学問・五穀豊穣・交通安全等々、オールマイティ神社に相応しい風格を滲ませています。
写真:Naoyuki 金井
地図を見る境内社の一つに『立川水天宮』があります。
由緒は不詳ですが、立川と冠しているので、おそらく元々立川にあったものを阿豆佐味天神社境内に遷座したのではないかと考えられます。
祭神は、天御中主大神・安徳天皇・建礼門院・二位ノ尼の四柱で、安徳天皇・建礼門院・二位ノ尼は親子三代。安徳天皇と祖母の二位ノ尼(清盛の妻)は壇ノ浦の戦いで入水し、母の建礼門院(清盛の娘)は生き延びて出家しました。そして壇ノ浦の戦いで落ち延びた平家の官女が、平家の霊を慰めるために祠を建てたことが水天宮の始まりで、意外に悲しい由緒を持っています。
こうしたことから水の神天御中主大神と合わせて水天宮は、水と子供の守り神なのです。
写真:Naoyuki 金井
地図を見る水と子供を守護するとした由来から水天宮は、水難除け、漁業、海運、水商売、安産、子授け、子育てにご利益があるといわれています。
初詣や安産祈願のほか、七五三にもファミリーが大勢参拝しており、子どもの成長の祈願と御礼にご祈祷されているのです。
その水天宮の社殿の前には、『豊之泉』があり、手水の縁には“張り子の犬”が鎮座しています。これはもともと犬の出産が軽いことに因んでおり、妊婦さんは5か月目に入った戌の日に安産祈願を受けて、腹巻を巻くと良いと云われているご利益です。
悪い物を追い払う力があると云われる張り子の犬が、縁起物として授与されており人気なのです。
写真:Naoyuki 金井
地図を見るその水天宮の隣には、聞きなれない境内社『蚕影神社』があります。祭神の金色姫命は、蚕に禍をなすネズミを駆除する猫の守り神といわれる養蚕の神です。
かつてこのあたりの立川市砂川地区は、非常に養蚕の盛んな地域で、蚕の天敵であるネズミを駆除する猫がとても大切にされていたそうです。そして金色姫命の伝説に基づいて起こったのが“蚕影山信仰”で、この信仰により1860年に養蚕の守り神として常陸国豊浦湊から勧請されたのです。
その猫を大切にする気持ちを表すために、蚕影神社の前には『ただいま猫』と呼ばれる石像が建立されていますので、優しく撫でて労わってあげてください。
写真:Naoyuki 金井
地図を見るこうした猫神社とも云われる蚕影神社に一人の男性がお参りに訪れました。ジャズファンならご存知のピアニストでエッセイストの山下洋輔氏です。
山下氏はある日、愛猫が行方不明になり毎日探したのですが見つからないため、最後は神頼みとばかり祈願したところ、翌日愛猫が帰って来たのです。単なる偶然と思った山下氏ですが、それが2度つづいたことから、これはご利益だとエッセイに書いたところ、噂が広まり《ただいま猫》と共に『猫返し神社』と呼ばれるようになったのです。
境内には、あのアバンギャルドな山下氏とは思えない奉納演奏《越天楽》の曲が流れ、猫の無事を祈る切なる絵馬が掲げられています。
来年の初詣にはペットの分も祈願して良い年を迎えてみてはいかがでしょうか。きっとペット共々良い年を迎えられるかもしれませんね。
ただし、犬とネコに関係する神社ではありますが、境内にペットを連れて入ることはできませんのでご注意ください。
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(2024/9/17更新)
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