世界的にも貴重で重要なコレクションを誇るローマ国立博物館(Museo Nazionale Romano)。国営でローマ美術を公開する博物館はローマの顔でもあり、古代ローマを知るなら外せない観光ポイントです。現在は下記の通り、テーマ別に市内の4ヶ所の施設に分館されています。
*ローマ国立博物館 - ディオクレティアヌスの浴場跡
(Museo Nazionale Romano - Terme di Diocleziano)
場所:ローマ・テルミ二駅徒歩すぐ
*ローマ国立博物館 - マッシモ宮
(Museo Nazionale Romano - Palazzo Massimo alle Terme)
場所:ローマ・テルミ二駅徒歩すぐ
*ローマ国立博物館 - アルテンプス宮
(Museo Nazionale Romano - Palazzo Altemps)
場所:市内中心部。ナヴォーナ広場から徒歩すぐ
*ローマ国立博物館 - クリプタ・バルビ
(Museo Nazionale Romano - Crypta Balbi)
場所:市内中心部。ヴェネツィア広場から徒歩すぐ
本日ご紹介するローマ国立博物館の新館マッシモ宮はコレクションの充実度が素晴らしく、文句なしにこの4施設の中でも群を抜いています。マッシモ宮には名の知れた所蔵品も多く、展示物も彫像からフレスコ画、モザイク、貨幣類、ミイラまでと幅も広い為、初めて古代ローマ、ローマ美術に触れる人でも気軽に楽しめます。
博物館の立地や設備、ビギナーさんの展示物への理解のし易さなどを併せて総合的に判断すると、マッシモ宮は4ヶ所の中で一番お勧めの施設です。また、ローマ国立博物館の入場券はお得な共通券となっており、7ユーロで4施設にそれぞれ1回ずつ入場出来ます。共通券は3日間有効です。
写真:19世紀後半に建てられたネオルネッサンス建築様式のパラッツオ全体がローマ国立博物館に充てられている。写真左奥の方向にローマ・テルミ二駅がある。
マッシモ宮は地下1階〜3階までの計四フロア―が展示コーナーとなっています。
非常に幅広いコレクションの年代は共和政後期から古代末期(紀元前2世紀〜5世紀)までのもので、古典美術が一堂に会する博物館としてはイタリア国内では最大規模です。
それでは幾つか展示物をご紹介しましょう。
博物館の2階部分で公開されている大理石の石棺の一つに、大変迫力のある古代の傑作と呼ばれる石棺があります。石棺は、1931年にローマのポルトナッチョという地区より発見された為、”ポルトナッチョの石棺(il cosiddetto Sarcofago di Portonaccio)”と名付けられています。(写真参照)
石棺は180年頃(日本の年代区分で例えるなら弥生時代)に作られたもので、高さは小柄な女性程もある大きく立派な棺です。
表面の大理石をノミで丁寧に彫って模様が作ってあるのですが、何か人々が喧嘩をしている様にも見えませんか?これは、ローマ人(ローマ兵)とゲルマン人との戦いを主題にして彫ったものです。”古代”と言えども非常に端整に彫られており、今日の私達が見てもその技術度の高さには感嘆せざるを得ません。
この棺に入れられた方は、この戦さを立派に指揮して戦ったのかもしれません。ローマ帝国のマルクス・アウレリウス皇帝(五賢帝の一人)に仕えた将軍のお墓ではないかと推測されています。
同じく2階のフロアーには、主に”円盤投げ”、”眠れるヘルメス・アフロディーテ”などの彫像やレリーフなどの数多くの重要な作品が並びます。(写真参照)
マッシモ宮はコレクションの一つ一つのクオリティーが高い博物館です。
博物館自体は4フロアー(約35展示室)に渡り決して大きくはありませんが、長めの見学時間が必要と考えておいた方が良いでしょう。
最上階の3階の第2室には、博物館で最も美しいフレスコ画と言われる”リヴィア家のフレスコ画(Villa di Livia ad Gallinas Albas)”が展示されています。
このフレスコ画は、後に初代ローマ帝国皇帝アウグストゥス帝の妃となるリヴィアが紀元前30〜25年の間に建てたフラミニア街道沿いの別荘を飾っていた壁画で、ブルーの背景を前に、たわわに実る果樹や草花、小鳥などが美しく描かれています。描かれている草花は同じ季節には決して咲かないもの同士も混在しています。
生物学的にはリアリティーがあるものとは言えませんが、自然を生き生きとした表現はとても魅力的です。栗、ザクロ、ナツメヤシ、カモミール、月桂樹、アヤメ、バラ、野生のスミレ、ポピーなど様々な植物が描かれている壁画です。緑がいっぱいでリラックス出来そうな素敵なお部屋ですね!
同じく3階部分には、ローマの中心部を流れるテヴェレ川の護岸工事(1879年〜)の際にその存在が明るみとなった、”ファルネジーナ荘の壁画”が展示されています。
ファルネジーナ荘のトリクリニウム(横臥食卓のある古代ローマの貴族の家の食堂)、寝室、廊下、その他の共有部分などをそれぞれ組み立て直して広い面積で公開しています。
中には、男女のエロティックなシーンを主題にした壁画がある寝室(寝室D)もあります。この様な描写の中の男性は、いずれも褐色の肌を持ち、鍛え上げられた上半身は裸です。一方、女性は発色の良い綺麗な色の衣服を体の一部(下半身など)に纏っています。これらの親密な関係のカップルは、愛の喜びや人生の愉しみを表現しています。
再現された各部屋の中を覗いていると、古代のミステリアスな時空の中に引き込まれてしまいそうです。
イタリアでは2014年7月以降、文化財・文化活動と観光省などが「文化遺産はみんなで享受しよう!」をモットーに次々と改革を打ち出しています。
特にローマでは、国営、市営の両方のレベルの施設の入場についての規定が改正され、ローマ国立博物館のマッシモ宮は毎月第一日曜日は入場料が完全無料となっています。
* 館内でその期間に特別展が行われている場合は特別展見学料が必要です。
ローマ国立博物館のマッシモ宮は、ローマに興味がある方なら本当に何度訪れても面白い、古代ローマが”ぎゅっ”と詰まった博物館です!
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(2024/12/12更新)
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