写真:澁澤 りべか
地図を見る古代ローマ帝国の最後の首都でもあったラヴェンナは、ボローニャから列車で1時間半ほどのところにある小さな町。そして2年に1度、モザイクの国際フェスティバルが開催されるモザイクの聖地です。
この町で最も有名なモザイク壁画が、サン・ヴィターレ聖堂にある「ビザンツ皇帝ユスティニアヌスとその廷臣たち」(写真左下部)。
6世紀に積極的に帝国の版図を拡大し、トルコ・イスタンブールにあるアヤ・ソフィア聖堂を建立したことでも知られる皇帝の肖像です。
この壁画と向かい合う壁には皇妃テオドーラと侍女たちのモザイクがあり、ちょうど夫婦が見つめあうような演出がされています。
背景部分はガラスの間に金箔を挟んだものが使われていて、ラヴェンナの教会の多くは内部がこのように光り輝いています。
市内の教会をめぐり、たくさんの美しいモザイクを見ていると「いったいどうやって作られているのだろう・・・」「もっと間近で見てみたい・・・」と思うはず!
そこで実際に作ってみることをおすすめします。
モザイクの聖地と呼ばれるラヴェンナには、至るところにモザイク工房があり、モザイク・アーティスト(モザイチスタ)たちが活躍しています。彼らは古典モザイクの模倣作品だけでなく、完全なオリジナル作品も制作しており、現代アートの作家として名を馳せています。
またローマ遺跡の古代モザイクを修復することもあります。
写真:澁澤 りべか
地図を見るギリシャ・ローマ時代には天然の大理石を使ったモザイクが神殿や貴族の邸宅を飾っていました。壁だけでなく、床一面がモザイクでおおわれていることもあります。
西ローマ帝国滅亡後のビザンツ時代に入ると、色ガラスや金箔を使った華麗なものが増え、主に教会の壁を飾るようになります。
ラヴェンナで見られるモザイクの多くが「ズマルト」と呼ばれるガラスのモザイクです。
モザイク制作は大理石や色ガラス板を小さく割って「テッセラ」と呼ばれる破片をつくるところから始まります。旅行者が簡易体験をする場合はすでに割ってあるテッセラを使います。
次に木枠にセメントを塗り、そこに下絵を転写してセメントが乾かないうちにテッセラを押し込んでいきます。
写真はユスティニアヌス帝の肖像を再現しているところです。
15センチ角程度の小さな作品なら1時間ほどで完成。
その気になれば本格的な職人修行ができる工房もあります。
今回取材したのはサンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂の向かいにあるモザイク工房「KOKO MOSAICO」(ココ・モザイコ)です。
親日家のアーティスト夫婦が営むこの工房は日本人の受講生(1週間で2作品を制作するコースが人気)も多く、また連日、世界中から観光客がモザイク制作体験にやってきます。
制作したモザイクは当然持って帰れます。本場でのモザイク制作は、見るだけの観光と違い、より印象深い旅になること間違いなしです。
古代やビザンツ時代のモザイク職人の気持ちを知ってから再び教会に行くと、壁を覆うモザイクの素晴らしさがしみじみと感じられます。
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(2024/3/29更新)
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