銭湯の脱衣場跡で食事!?とんかつの名店 東京・まい泉青山本店「西洋館」

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銭湯の脱衣場跡で食事!?とんかつの名店 東京・まい泉青山本店「西洋館」

銭湯の脱衣場跡で食事!?とんかつの名店 東京・まい泉青山本店「西洋館」

更新日:2015/12/16 08:28

毎川 直也のプロフィール写真 毎川 直也 風呂デューサー

東京都の銭湯の数は1965年には2,641軒ありました。2013年には706軒に減少しています。
地域のシンボルである銭湯が消えていくのは悲しいことです。しかし銭湯という建物をリノベーションし、その文化や歴史を遺していくことはできます。
「とんかつまい泉青山本店」は、1983年に銭湯の脱衣場を改装したレストラン「西洋館」をオープンしました。随所に見られる銭湯の名残を見ていきます。

世界に誇るとんかつの老舗

世界に誇るとんかつの老舗

提供元:井筒まい泉株式会社

http://mai-sen.com/地図を見る

表参道から少し脇道にはいったところで、とんかつまい泉青山本店は店を構えています。
館内では本格的な、でもどこか懐かしさを感じるとんかつが地元のかたから支持を集め、いまでは多くの外国人観光客が訪れる、グローバルなとんかつ屋に成長しました。
とんかつの味ももちろん楽しんでいただきたいのですが、今回は西洋館に点在する銭湯の名残に注目します。

西洋館の入口は銭湯の玄関を再利用

西洋館の入口は銭湯の玄関を再利用

写真:毎川 直也

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店内に入りカウンター席を抜けて進んでいくと、このような入り口が現れます。左右に出入口が二つ、片方が出口でもういっぽうが入口というわけではありません。
実はここ、銭湯の玄関にあたる部分です。両サイドのくぼんでいる部分には靴をいれる「下足箱」、それぞれ男湯、女湯への脱衣場へつながっていたであろう「二つの出入口」、その上部にあるすのこ状の部分には「男湯」「女湯」という表示が出ていたのだと推測できます。

一目見てがここが銭湯だとわかるかたは通!レストラン「西洋館」

一目見てがここが銭湯だとわかるかたは通!レストラン「西洋館」

写真:毎川 直也

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西洋館にはいってみましょう。外の光がたっぷりと取り込まれ、立派な木の梁が輝いています。一見素敵な雰囲気の、天井の高いレストランですね。ここはもともと銭湯の脱衣場だ、といってもピンと来ないかもしれません。
銭湯として営業していたときは時計の下あたりから一直線に男女を仕切る壁があり、写真左手の仕切り奥は浴室でした。また光を取り入れている窓の位置、柱にかかる時計あたりも、「銭湯だった」と認識してから見るとしっくりくるのではないでしょうか。

見上げて感じる銭湯の名残

見上げて感じる銭湯の名残

写真:毎川 直也

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ここで注目してほしいのは天井に施された四角い装飾です。これは「格天井(ごうてんじょう)」といい、東京大空襲で焼け野原となった東京に銭湯が作られ始めたとき、寺社仏閣の建築様式を取り入れた銭湯が大変繁盛し、多くの銭湯がまねたのだそう。その時に寺社建築のひとつとして導入されたのがこの天井です。
天井と壁面の接している部分にも注目してください。格天井の網目にあたる部分が、壁面に接するところでS字にカーブしているのがおわかりいただけると思います。これは「折上格天井(おりあげごうてんじょう)」といいます。木材を使って柔らかなカーブをつくることは大変な技術が必要とされ、現代では貴重な装飾です。

男は誰もが座ってみたい、銭湯の象徴の名残もあり

男は誰もが座ってみたい、銭湯の象徴の名残もあり

写真:毎川 直也

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この出入口はもともと男湯、女湯の脱衣場につながるものです。それを区切るように壁面があり、人が一人収まる空間になっている…総じて考えると、ここは入浴料金を受け取っていた場所、「番台」があったと推測できます。昔は出入口のところに背の高いフロントのようなものがあり、そこに店主が座って急病人の発見や盗みの防止をおこなっていました。

銭湯にとって番台は営業開始前に必ず人が入る場所。自然と館内の電気のスイッチが集中します。いまでもこの壁には照明のスイッチがついており、当時の電気配線をそのまま活用していると私は推測しています。
出入口を二つに分けてしまう壁ですから、レストランに改装したときに壊して、別の場所に新しく電気配線を設置してもおかしくはありません。この壁を残すと決めたことが、西洋館をただのレストランではなく、銭湯の名残を含めていまの「西洋館」として存在している所以です。

あえて残したから生まれた「西洋館」

とんかつまい泉青山本店は、レストランでありながら銭湯の建築様式をあえてそのまま残しています。単純にリノベーションということであれば古い設備を新しくし、使い勝手のいいように直します。自分たちの都合にあわせて「レストラン」にしてしまうのではなく、もとあったものをそのまま活用し、地域の場所として銭湯の脱衣場を意図的に残しているのです。

ぜひとんかつを食べながら、風呂屋の雰囲気を感じてみてください。それを感じてこそ「とんかつまい泉青山本店、西洋館での食事」です。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2015/11/13 訪問

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