愛すべきローカル・ロード千国街道!信州の「塩の道」を歩く

| 長野県

| 旅の専門家がお届けする観光情報

愛すべきローカル・ロード千国街道!信州の「塩の道」を歩く

愛すべきローカル・ロード千国街道!信州の「塩の道」を歩く

更新日:2016/03/04 14:35

和山 光一のプロフィール写真 和山 光一 ブロガー

古来より日本の塩は海塩であり、沿岸部で採れた塩は人と牛馬によって、はるか内陸まで運び届けられました。戦国時代、上杉謙信が武田信玄に塩を送った「敵に塩を送る」という『義塩』の故事も、この道に由来します。
越後の糸魚川から信州松本まで約三十里(約120km)を結んだ千国街道は、信州の「塩の道」。街道筋の小谷村には塩の道がよく保存されています。往時にタイムスリップしてハイキングなどいかがでしょう。

どこかに自分に似た顔の観音様が見つかるかも?「前山百体観音」

どこかに自分に似た顔の観音様が見つかるかも?「前山百体観音」

写真:和山 光一

地図を見る

スタート地点は、スキーで有名な栂池高原近くの松沢口です。そこから3分ほどの千国街道沿いの親の原に、西国、秩父、坂東の百番霊場に合わせた「前山百体観音」が、白馬三山を望んで木々に包まれながら立ち並んでいます。江戸時代、伊那高遠の石工の作といわれ、西国三十三ヵ所、坂東三十三ヵ所、秩父三十四ヵ所を合わせ百として一度に観音札所巡りができるように彫られた、ありがたいものなのです。

千国コースでは、昔の風情をたっぷり偲ばせてくれる石仏たちの姿にふれることができます。コース半ばの建長寺の門前から千国諏訪神社へ抜ける道沿いには、西国三十三番観音が並び、後半の三夜坂の二十三夜塔は、土地の女子たちが二十三夜の月待ちの素朴な宴をした場所で、二十三夜様が祀られています。

人と牛が一つ屋根の下で泊まることができた「牛方宿」

人と牛が一つ屋根の下で泊まることができた「牛方宿」

写真:和山 光一

地図を見る

前山百体観音から歩くこと15分程で、沓掛地区にある「牛方宿」に到着します。 牛方は、牛の背に約60Kgの塩俵2俵を積み、一人で数頭を追いながら旅していました。牛方宿は、物資を運んだ牛方と牛が一緒に寝泊まりした独特の旅籠で、間口五間半、奥行き8間ほどの茅葺きの民家です。牛は土間、牛方は牛の姿が見える二階にと、一つ屋根の下に寝泊りして旅の疲れを癒したとのです。冬は歩荷も泊まったといいます。越後から、山を越えた牛たちの休憩地だったのです。

かつては糸魚川から松本まで物資を運んだ千国街道沿いには、何軒もの牛方宿があったとのことですが、明治二十年頃、新しい国道ができると街道はその役目を終え、牛方宿もいつしか姿を消してしまいました。現在では、小谷村栂池高原の沓掛に位置するこの牛方宿のみが現存し、18世紀末から19世紀初頭に建てられた建物で、昔の塩の道を物語る貴重な証となっているのです。

今も昔も変わりないのは牛の声だけ

今も昔も変わりないのは牛の声だけ

写真:和山 光一

地図を見る

牛方宿と千国番所跡の間にあるのが、急な坂が続く親坂です。つづら折りの急坂である親坂あたりは坂道で難所だったところであり、重荷を背負った牛が足を滑らせないように、ゴツゴツと敷かれた石畳が残っています。

道沿いにある牛や牛方が咽を潤した冷水が湧き出る「弘法の清水」は、涸れることのない湧き清水です。高い位置にある石船が人間用、低いほうは牛の水飲み場です。

その先には、牛を休ませた「牛つなぎ石」が苔むして残っています。牛の手綱を結ぶ穴をくりぬいた巨石で、塩の運搬に牛が使われていた名残りです。他にも雨ににぬれると、ことさら石の色が赤く変わる「錦岩」があり、見所満載のこのあたりを歩くのはとても楽しいです。

千国の庄資料館を兼ねそなえた「千国番所跡」

千国の庄資料館を兼ねそなえた「千国番所跡」

写真:和山 光一

地図を見る

千国街道の千国は今の小谷村で、姫川上流のかつての千国の庄と呼ばれた千国地区にあるのが「千国番所跡」です。江戸時代に松本藩の口留番所として明治の初めまでこの地に君臨し、藩公認の北塩(太平洋側からの南塩は禁製品)の運上塩(通行税)の徴収、塩などの荷物や人改めの監視場所として機能をはたしてきました。19世紀中頃に建てられた造り酒屋の豪荘な蔵を移築した資料館に、千国番所が復元されています。

ちょうどこのあたりが中継地点で、さらに4KM先の終着点「小谷村郷土館」を目指していきます。途中には「春の塩の道祭り」で、選ばれたカップルが昔ながらの結婚式を挙げるという「諏訪神社」の杉並木の下を千国街道が通っています。千国街道沿いに立ち、静けさに包まれた諏訪神社は、天長5年(828)の創建と伝えられる古社で、毎年9月中旬の例祭「ささらすり」という、派手な肌じゅばんにひよっとこ面でおどけて踊るユニークな祭りで知られています。

ヒスイ浪漫あふれる三峡にひっそりと名湯の隠れ里「姫川温泉」

ヒスイ浪漫あふれる三峡にひっそりと名湯の隠れ里「姫川温泉」

写真:和山 光一

地図を見る

疲れた体を癒すのは温泉です。幸い小谷は温泉の宝庫であり、姫川沿いには8つの温泉があります。その中で一番奥の新潟県と長野県の県境に位置し、姫川沿いの豊かな自然に囲まれた温泉地「姫川温泉」にあるのが「ホテル國富 翠泉閣」です。

翠泉閣は、湯量が豊富で一分間に1500リットルの温泉が湧き出る源泉掛け流しの温泉です。泉質はナトリウムー炭酸水素塩泉でメタケイ酸が豊富で肌に潤いを与え「美肌の湯」と呼ばれています。若干鉄臭がある純粋なお湯に浸かれば心にぬくもりが満ちていきます。

里山を望み旅人の想いにふれてたどる歴史の道

現在小谷村内には、旧街道跡が残っており、歴史観光・トレッキングコースとして、8本のモデルコースが整備されていて、それぞれ魅力あふれたコースです。その中でも昔の街道の面影が色濃くただよう千国越えコースは、栂池高原の松沢口から小谷村郷土館までの全長約6Km、高低差300m。塩の道を体感するのに、格好のハイキングコースは、例年5月開催の「塩の道祭り」でも歩く人気コースです。

モデルコースの中でも最も整備されていてそのため歩きやすく、今回紹介した、かつて牛と牛方が一緒に寝泊まりした「牛方宿」などの史跡や、「千国番所跡/千国の庄史料館」など、往時の文化、歴史に触れられるポイントが多いため、塩の道の入門には最適のコースなのです。昔の風情をたっぷり偲ばせてくれる石仏たちの姿や民族にふれ、自然が豊かな「塩の道」を楽しく旅してください。

春は雪解け4月から、冬は降雪の11月までが塩の道の散策期間です。多くは山間の道ですので、山道を歩きやすいシューズでおでかけ下さい。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/06/16 訪問

- PR -

条件を指定して検索

LINEトラベルjpで一緒に働きませんか?

- PR -

旅行ナビゲーター(在宅ライター)募集中!
この記事に関するお問い合わせ

- PR -