駅から海岸へと下る坂道、アーケードと併走する県道沿いに古びた温泉旅館、竜宮閣はあります。戦前に建てられたという建物は戦時中、学童疎開にも使われていた歴史ある建造物。しかし古いながらも掃除が行き届いており、清潔感があります。
変にリニューアルせず、玄関から廊下、階段と、至るところが昭和の雰囲気そのまま。
日帰り入浴は1000円と少々高めですが、客室でゆっくり休憩することができます。
ここのお風呂は少々手狭な浴槽にカルシウム・ナトリウム・塩化物温泉がだばだばと掛け流されています。歓楽温泉街として栄えていたため泉質については加水・循環濾過が普通となっていた熱海ですが、探せばこんなに良質なお湯があったのかと驚くほどに素晴らしいお湯。それもそのはず、建物の脇の路地を隔てたすぐ隣に間欠泉(熱海93号・福々温泉)が噴出しており、その新鮮なお湯がダイレクトに引かれております。
男湯女湯いずれかを貸し切りで入れますが、男湯の浴槽には浅い部分があり、寝湯としてのんびり浸かれます。湯上りはサラサラ。浴室には温泉成分がオリ物としてこびり付いて結晶化。泉質の良さを物語っています。
熱海駅から中心街へと下る坂の下の方にあるのが、この福島屋旅館。
建物正面は火事に耐えうるようモルタルが塗られていますが、中身は歴史を感じさせる木造建築です。創業は明治初期の老舗で、現在の建物は昭和19年の大火の後に再建された物です。
玄関ロビーには様々な昭和グッズが展示されており、建物を含めてまるで資料館。
また、玄関先に植えてあるアロエは女将さんが刈り取り、訪れた方に無償で配られてもいます。
玄関を入った途端にタイムスリップ。軋む板敷の床といい薄暗い白熱電球といい、昭和の風情が色濃く残っています。特に脱衣場のモザイクタイル貼りの洗面台や木枠の窓など、今ではなかなか見れなくなったものばかり。浴室内も見事なモザイクタイル貼りです。
お湯は無色透明の食塩泉で温浴効果が高く、上がってもしばらく汗が引かないくらい。
また、ここのお風呂は共同浴場として地元の方々にも開放されており、地域にも愛され続けています。
日航亭・大湯は日本銀行を創設した松方正義公の別荘跡地で、今では宿泊業務をやめ日帰り入浴専門となってしまいましたが、こちらも昭和の温泉旅館の雰囲気を満喫できる建物です。JR熱海駅から徒歩12分またはJR来宮駅から徒歩5分ほどの斜面、熱海七湯の大湯間欠泉の隣で熱海温泉の鎮守「湯前神社」向かいにあります。
広い内湯、露天、共に源泉100%掛け流し。源泉温度が92度と高いため加温も無し。 内湯と露天の間でお湯を循環させる事によって、露天が冷め過ぎないよう工夫されています。露天と言っても屋根付きの半露天ですが、季節によって海から渡る風、または山から吹き降ろす風が実に心地良い。源泉は安保泉(熱海23号泉)で、ナトリウム・カルシウム・塩化物泉。熱海特有の舐めると非常にしょっぱいお湯です。
中庭の見える畳敷きの大広間で休憩もできますが、ここは特に市街地から外れた静かな山あいにあり、湯上りについつい仮眠してしまうお客さんもいらっしゃいます。
都心からも近く良質な温泉と新鮮な海の幸に恵まれた熱海は、近年再注目されつつあります。
現在では平日でも多くの人で賑わっており、そんな観光客の増加から駅前は官民共同による再開発の真っ最中で、温泉リゾートとしての再出発をしようとしています。
反面、その影で消えて行こうとしている昭和の熱海は、無くなってしまう前に目に焼き付けておきたいところです。
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