提供元:福田久恵(四国霊場会公認先達)
地図を見る宗派を超えて人々の信仰を集める弘法大師・空海。若き日の弘法大師は四国各地で厳しい修行を重ね、八十八ヶ所の霊場寺院を開いたとされます。
四国八十八ヶ所霊場巡りはそんなお大師様ゆかりの霊蹟を巡る旅。
阿波(発心の道場)、土佐(修行の道場)、伊予(菩提の道場)、讃岐(涅槃の道場)の全行程は1400kmにも及びます。その過程の中で心も身体も清められ、次第に自分が大自然の中で生かされていることに気づくことができるのです。四国霊場巡りは「同行二人(どうぎょうににん)」と言われるように歩き遍路、車遍路に関わらず巡拝者には弘法大師が付き添って、不思議な力で守護してくださると信じられています。
旅の目的はそれぞれです。
お大師様はわたしたち巡拝者に心の安らぎと生きる力をきっと与えてくださることでしょう。そして2014年は、四国霊場が開創されて1200年目の節目の年を迎え、各札所では特別開帳など様々な事業を予定しています。
写真は室戸にある弘法大師の霊蹟である「御厨人窟 (みくろど)」。約1200年前の平安時代、青年時代の大師が悟りを開いたとされる洞窟で、内には五所神社と呼ばれる社があります。実はこの洞窟で自身に「空海」という名前を付けたと言われています。ここから見える景色は空と海のみ。朝日を迎える絶景を洞窟から眺めてみてください。
提供元:福田久恵(四国霊場会公認先達)
地図を見る長い年月を掛けて多くの先人が足跡をしるした四国霊場。今では年間約20万人の人々が霊場を訪れています。
四国霊場は右回りに徳島、高知、愛媛、香川の順に八十八の霊場があります。交通手段が発達した現在の巡拝方法は歩き遍路は少数派となり、大多数がバスツアーや車(公共交通機関)によるものですが、一巡する期間(目安)は歩き遍路の場合は約一か月半であり、車遍路は二週間弱で巡拝することができます。ただすべてを一度に回り切る遍路はほとんどなく、週末や連休を利用して遍路に出る方法が一般的で、何か月も何年も掛けて八十八ヶ所を結願(満願)するケースが多数を占めています。
また必ず一番札所から巡拝する必要はなく、最寄りの札所から遍路を始めることで十分です。交通機関が未発達の江戸期は本州から四国に渡る港があった宇多津(七十八番札所)から巡拝を始める遍路が多かったという話もあります。
写真は四国霊場第60番札所横峰寺奥の院「星が森」。
縁起によると弘法大師が42歳厄除け星祭り修行をした際に、蔵王権現が目前に現れたとされる霊蹟です。正面に西日本最高峰の石鎚山を見る景色は心を奪われる絶景です。
それでは具体的に2014年は巡礼者に対してどのような特典があるのでしょうか?まずは納経帳に関してです。
四国霊場の場合は‘朱印帳’とは言わず「納経帳(のうきょうちょう)」と言います。
それは単なるスタンプ集めとは一線を画す目的もあり、四国遍路では各札所でお経を唱えた(写経を奉納した)しるしにいただくものという位置づけがあります。納経帳は一生のお守りであり、悩みのある時はこれを礼拝します。納経帳は一回だけでなく「重ね印」と言って、お参りする度に二回、三回と同じ納経帳にご朱印を重ねていきます。
さて巡拝時の服装に関してですが、何を揃えればいいのでしょうか?
衣装を整えることで巡拝の心構えが引き締まることと思いますが、最低限揃えたいものは、白衣(上着)、輪袈裟、数珠、金剛杖です。白衣は周囲に「お遍路さんである」ことを気づかせる意味もあり、ひょっとして道中で思わぬ地元のお接待に遭遇するかも知れません。「お接待」は地元の方々のおもてなしであり、地元の人はお遍路さんとお大師様を重ねて見ているのです。お接待をする側は「お大師様のお蔭をいただく」という意味がありますので、お接待をされる側は拒否せずにお受けすることが大事です。金剛杖はその杖自体をお大師様の分身としますので、たとえ車遍路であっても持つことが大事です。またお接待を受けた場合は、そのお礼としてご自身の「納め札」をお渡しすることも忘れないようにしましょう。
写真は55番札所南光坊のご納経です。
右上にあるスタンプ(緑色)が開創記念スタンプです。このスタンプは札所ごとにデザインが異なります。記念スタンプの授与期間は2013年12月15日〜2015年05月31日までです。(ご朱印が三つ重ねてあるのは、この札所を三度お参りしたという証しです)
納経受付(午前7時〜午後5時まで)
納経帳:300円(1回)
納経軸:500円(1回)
白衣印:200円(1回)
納経軸、納経帳にご宝印をいただくとそれぞれに御影(おみえ・おすがた)を頂戴できます。それは各札所のご本尊様が写っているもので、今回はこの御影(写真左側)のほかに特別に「霊場開創記念御影(写真中央)」が授与されます。
「記念御影」は過去、明石大橋開通記念やしまなみ海道開通記念時にも頂戴することができましたが、今回はそれに続くものです。また別途、彩色御影(写真右側)もあり1体200円で受けることができます。御影については満願した際に掛け軸に表装する人や市販の御影帳を購入する人などそれぞれが自分流に保管できます。
四国遍路の信条
遍路とは四国にある八十八の札所を拠点に四国全体を巡礼する行為です。また遍路は心の変革を求める行為でもありますが、難しく考える必要はありません。ただ単にお寺を巡っていくうちに、おのずと心の変革がされていくとも言われています。
しかし霊場を巡拝するという行為は、一時的にせよ聖域へ足を踏み入れる行為であり、様々な作法や決まり事があります。
巡拝前にあらかじめガイドブックなどで、心がけや行動に込めた意義を理解して遍路に出ましょう。そうすることで自身の遍路がより一層深められるのではないでしょうか。
今回の開創記念事業のひとつに札所本尊のご開帳があります。札所によっては何百年ぶりに開帳される仏様もありますので、ぜひ開帳期間中のお参りをお勧めします。なお開帳期間は札所によって異なりますので注意が必要です。期間に関しては関連メモ(下記参照)にある「四国八十八ヶ所霊場会公式ホームページ」をご確認ください。
四国霊場の札所には本尊を祀る「本堂」と弘法大師を祀る「大師堂」があります。巡礼者はその両方にお参りすることになります。それぞれの札所の霊験あらたかな仏様(お大師様)とご縁を結び、ご自身の願いを御仏に受け取っていただきましょう。
写真は四国霊場第55番札所南光坊の大師堂。大師堂は普段は扉が閉ざされていますが、期間中は開帳され、厨子の中にいらっしゃるお大師様のお姿を見ることができます。(*本尊の写真撮影は禁止されている札所が多いので、撮影前に必ず確認しましょう)
いかがでしたか?
四国遍路には行きたいけれど時間がないとか、遠方だからなかなか行けないなんていう言葉をよく耳にします。しかし実際にお四国を巡拝しているお遍路さんが口にする言葉は「来て良かった」。
発心(ほっしん)という言葉があります。発心とは「四国遍路に行ってみようかな〜」と考えることを指し、考えるだけですでに発心が始まっているのです。阿波の霊場は「発心の道場」と言います。行くことを迷うのは当然ですが、とにかく第一歩を進めてみることから始めましょう。
下記、関連メモ掲載の「あしあと1200プロジェクト」動画は霊場開創1200年を記念して四国霊場会がプロモーションビデオを作製したものです。最初は細かった祈りの道が時代とともに次第に大きくなって行く様子を足あとで表現しています。ぜひご覧ください。
この絶好の機会に霊験あらたかな札所のご本尊、お大師様とご縁を結び、自分を見つめ直す遍路旅に出てみましょう。
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