写真:鮎川 キオラ
地図を見る国内第2位の面積を誇る霞ヶ浦。その流域面積は、茨城県の総面積の約3分の1を占めます。どこまでも続きそうな地平線を眺めていると、湖であることを忘れてしまいそうなほど広大です。地図のない時代には、どうやって湖だと認識していたのでしょうね。この霞ヶ浦の豊かな水は、漁場だけでなく首都圏の生活用水や農業用水など貴重な水源としても利用されています。
海のような広い湖上の沖に浮かぶ白い船こそ、霞ヶ浦が誇る文化遺産「帆引き船(ほひきせん)」です。
写真:鮎川 キオラ
地図を見る風を受けて帆を開く帆引き船は、風が動力。風が吹かなくては運行できません。また、風が強すぎても安定した走行が難しくなります。その為、運行する時期と時間が限定されています。7月下旬から11月下旬までの日曜の午後のみ期間限定で操業しています。
沖に出なければ、帆引き船を間近で見ることができません。ボート(漁船)に乗って沖まで向かい、沖に停泊している帆引き船の周りを遊覧します。沖まで片道5分ほど、全行程30〜40分ほどの遊覧船の旅となります。ボートも停泊している時は、それなりに揺れるのですが、走り出してしまえば、風をきって、水しぶきをあげ、爽快に湖上を走るので船酔いの心配はありません。ちょっとしたジェットコースターより迫力があります。
写真:鮎川 キオラ
地図を見るボートが、観光帆引き船に近づくと、大人3〜4人がかりで白い帆を青空に掲げます。日に焼けた漁師たちが、かけ声を合せながら大きな帆を張る姿には、哀愁のようなものを感じます。
その昔、ワカサギやシラウオなど豊かな漁場だった霞ヶ浦ですが、個人の漁業は発達していなく、大人数で行う地引網漁などが中心でした。その為、魚が取れてもその大半が網主の懐に入り、漁師の取り分は微々たるものだったそうです。そこで、帆引き船漁法の発明者である折本良平(おりもとりょうへい)は、霞ケ浦を眺めながら「この湖にこぎ出して、自由自在に魚を捕りたい」との夢を抱いていました。その「夢」を夢で終わらせなかった事が彼が偉人と呼ばれる所以。
明治13年(1880年)、良平は、風力と下から引っ張る重力とのバランスをとり青空にはばたく凧のように水圧と湖の風を利用してバランスを取りながら走る帆引き船を思いつきました。その後約100年間、霞ケ浦漁の花形として利用されてきました。彼のおかげで、2,3人ほどで行う漁業が発展し、捕れた魚がそっくり漁師の収入となり、魚の宝庫だった霞ヶ浦によって安定した生計を立てられるようになったのです。
写真:鮎川 キオラ
地図を見る空高く掲げられた白い帆は、湖上からの風を集めてパッと青空に広がります。この美しい風景には、ロマンを感じずにはいられません。
写真:鮎川 キオラ
地図を見る帆引き船へ実際に乗船するのではなく、その周りを乗ってきたボートで5、6周まわり遊覧します。その為、色々な角度から優雅な姿を眺められます。また、季節によってもその風景が変わるのも魅力のひとつ。
青空と白い帆のコントラストが美しい夏、湖上に沈む夕日を浴びて白い帆がセピア色に輝く晩秋。運が良ければ、湖上に浮かぶ富士山とのコラボレーションに遭遇できることもあります。富士山を望む確率が高いのは、涼しくなり空気が澄む10月以降となります。いつでも見ることのできる風景ではなく、期間限定で、日曜日の午後のみと決まっているので、予定を立ててぜひお出かけください。
【観光帆引き網船】
運行期間:7月下旬から11月下旬の毎週日曜(8月は月1回のみの運行)
※2013年は、7月21日(日)から11月24日(日)まで。
場所:歩崎公園自由広場(かすみがうら市坂地内)
時間:集合13:00-13:30 出航14:00
※11月は夕日鑑賞として集合15:00-15:30 出航16:00となります。
料金:大人2,000円 子供1,000円 未就学児無料
問合せ:029-897-1111(かすみがうら市役所内観光協会)
※参加当日は、029-840-9850(歩崎公園ビジターセンター)
※操業日の2日前となる金曜日までに事前予約することをお勧めします。ほぼ乗船できるそうですが、大口の団体客などの予約がある場合は、予約優先となります。
※運行予定など詳細は、メモ欄の「かすみがうら市観光協会」サイト内の「イベントカレンダー」をご確認ください。
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(2024/10/10更新)
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