「大阪国立文楽劇場」で勇者も妖怪も!江戸時代から続くミュージカル、それが文楽

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「大阪国立文楽劇場」で勇者も妖怪も!江戸時代から続くミュージカル、それが文楽

「大阪国立文楽劇場」で勇者も妖怪も!江戸時代から続くミュージカル、それが文楽

更新日:2016/07/27 15:42

万葉 りえのプロフィール写真 万葉 りえ アマチュア写真家

勇者に妖怪…それが現代の流行りだと思ったら大間違い。日本人は数百年も前からとっくにそれらを楽しんでいたのです。演目だって、ホラーに恋愛、コメディから殺人事件まで何でもあるし、演じるのが人形というだけで、文楽は現代でいえばミュージカルなのです!

劇場内には無料の展示室があり、文楽を優しく学べるうえに実際に人形なども扱えてもっと身近にしてくれます。文楽公演期間中は気軽に展示室へ遊びにいきませんか。

大阪の人気スポットのそば、無料で入れる展示室が初心者にも心強い

大阪の人気スポットのそば、無料で入れる展示室が初心者にも心強い

写真:万葉 りえ

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「伝統芸能」というと、その言葉だけで難しく感じてしまう方も多いのではないでしょうか。知っていました? 文楽は、小学生や海外からの方だって楽しめるようになっているんです。

国立文楽劇場があるのは大阪の日本橋。そうです。大阪に旅行に来た人が行ってみたいと思う、あのテレビなどでよく見る戎橋(えびすばし)の近く。そして、劇場前の大きな通りの向こうは食べ歩きを楽しみたい大阪の台所・黒門市場が待っています。

そんなうれしい場所にある国立文楽劇場の1階に、文楽について紹介している展示室があります。展示室のテーマは公演によって変わりますが、さわったり、動かしたりできる展示品もあるので、夏休みの子供向けの公演の時など大賑わい。初めて文楽を見る方にとっても公演前に展示室を見学しておくと、その後で見る公演がもっと楽しめるはず。
文楽の公演期間中はチケットがなくてもここは見学でき、しかも文楽応援団というボランティアの方々の説明付きというのもおすすめの理由です。

どんな世界も音で表現。文楽の三味線は最強の音色

どんな世界も音で表現。文楽の三味線は最強の音色

写真:万葉 りえ

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文楽は「人形浄瑠璃」とも呼ばれ、太夫の語り(義太夫節・義太夫)と三味線と人形とで作り上げる世界です。

浄瑠璃作者として有名な近松門左衛門がたくさんの作品を残しましたが…実際に起きた心中事件を題材にしたものなど、現代ならワイドショーで連日放送しそうだし、親子の情愛を描いたものはテレビドラマにぴったり。はたまた中国へ渡って活躍するサクセスストーリーの主人公は、たとえればゲームの中の勇者!
「えっ、人々の関心って、昔と変わってない!?」・・ということなんですね。

しかも舞台で繰り広げられるのは近松作のような古典だけではありません。現代作家の作品や海外作家のものが、普段私たちが話している現代の言葉で演じられることもあるのです。また、オペラで有名な「蝶々夫人」ではドレス姿の人形がラブシーンも。

そんな文楽劇場の展示室には普通より大きな三味線が置かれています。これが文楽で使われている三味線。一般的な三味線も並べられているので、絃の太さやバチの大きさなどの違いを間近で見ることが出来るようになっています。
つくりの違いは音にも影響します。説明をうかがっておくと、あとで公演を見るときにも三味線の音が違ってくるはず。様々な世界を三味線がどのように表してくれるのか、こうご期待!

見えないものが見えてしまう、人形遣いの技にビックリ

見えないものが見えてしまう、人形遣いの技にビックリ

写真:万葉 りえ

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舞台に立つのは人形たち。
主だった登場人物は、人形一体を三人の人形遣いが操ります。三人の動きがぴたりとそろわないと、人形には命が吹きこまれません。しかも、主役級の人形になるとかなりの重さです。

そんな重い人形を、使いなれない私たちが扱うのは難しすぎますよね。展示室には一人で扱える人形が置かれていて、実際に動かすことが出来るようになっています。簡単そうに思えるのに、実際に手にすると・・・人形に前を向かせることさえコツがいるんです。

夏休みなどは、この人形たちを動かしてみようと興味津々の子供たちが並びます。また、記念撮影をされている方も珍しくありません。人形を手に、あなたも記念撮影をしてみませんか。ただし、人形の顔が違う方向を向かないように気をつけて(笑)。

舞台では、刀をもって立ち回りをする動きの速い場面でも、あたかも人が演じているように自然に動いていきます。また、一人の女が縫物をしている場面では、人形の右手には糸のついた針などありません。しかし、左手で布をおさえながら右手が針を動かして縫い進んでいく様子は、本当に着物を仕立てているかのよう。見えないものまで見せてくれる。しかも一人ではなく三人で作っていくというレベルの高さは、実際に人形を動かしてみるとさらに実感できるはずです。

人形遣いが扱うのは、人だけではありません。演目によって妖怪など様々なものが登場。これらのものがどんな動きをするのかも楽しんでくださいね。

声優も、ナレーションも、大夫は全てを語る

声優も、ナレーションも、大夫は全てを語る

写真:万葉 りえ

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舞台で演じるのは人形たちですから、もちろん言葉は発しません。
高貴な身分の公達も、下働きの老婆も、そして幼いわらべまで、登場人物のセリフから、物語の展開、そして時には歌まで、全て表現するのが義太夫を語る大夫(たゆう)です。

展示室には、大夫が舞台で使う見台も置かれています。これに床本(シナリオのようなもの)を乗せて長い物語を語っていくのです。時には一時間以上語ることもある舞台で大夫がどのように座っているのかや、重石のようなものをどのように使うのかなど、展示室で「なるほど!」と思うことがあるはずです。

しかし、「義太夫なんて聞いてもわからないから無理!」という思いがまだ残っているかもしれませんね。大丈夫。舞台の上には大夫が語る義太夫が文字となって同時表示されます。テレビの字幕と同じですが、少し前の日本人が使っていた言葉なので現代でも通じる言葉がたくさんあるのです。それでも心配なら、音声ガイドだって用意されています。解説を加えながら、さりげなく物語の進行をサポートしてくれます。

おわりに

文楽は、2003年にユネスコの「世界無形遺産」に選ばれています。
「伝統芸能」というと敷居が高いと思ってしまうかもしれませんが、文楽は、歌舞伎と並んで江戸時代の庶民の娯楽だったもの。難しくはなさそうでしょ。

興味が出たら、現代の青年、文楽の技芸員を主役にした小説(注)を読んでみるのもおすすめです。本屋大賞をとった作家が描き出す、恋や芸の上達に悩む現代の青年の姿は文楽をもっと身近に感じさせてくれるはず。

気楽に、気楽に、まずは一幕からでも楽しんでみませんか。

(注) 三浦しをん 著 「仏果を得ず」

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掲載内容は執筆時点のものです。

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