誰も知らない有馬温泉(神戸市)、秘密の回廊めぐり

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誰も知らない有馬温泉(神戸市)、秘密の回廊めぐり

誰も知らない有馬温泉(神戸市)、秘密の回廊めぐり

更新日:2016/01/11 21:36

ナツキのプロフィール写真 ナツキ きのこの文化研究家、博物学者

いにしえより都人に愛された有馬のいで湯は、神戸・大阪からほんの1時間でたどれる秘湯。
それを秘湯たらしめているのが急峻な六甲山脈。とりわけ、この有馬温泉郷をやさしく包み込む落葉山にはじまり、灰形山、湯槽谷山の有馬三山です。
散歩がてら妙見堂(落葉山)まで、あるいはちょっと背伸びして人跡まれな湯の郷を見下ろす自然の回廊をめぐり、一味違う有馬温泉の旅へいざ、まいりましょう。

有馬温泉太閤橋からねね橋まで

有馬温泉太閤橋からねね橋まで

写真:ナツキ

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有馬は、奈良時代、行基によって薬効著しいいで湯として温泉寺が築かれて以来、貴人たちの愛でる秘湯の地。鎌倉時代に仁西上人が薬師如来の12神将になぞらえて12の宿坊を開いたことで、広く世に知られるようになりました。

近世には、太閤秀吉がことのほか気に入り、千利休をひきつれてこの地をしばしば訪れ、大茶会を開いたことからさらなる繁栄をもたらしましたので、秀吉と有馬は切っても切れない関係となりました。

神鉄有馬温泉駅を出てすぐのところにある大きな橋が太閤橋。この赤い大橋を渡らずに有馬川に沿ってすぐのところに湯けむり公園があり、秀吉像と河童像が鎮座します。

まずは、秘密の回廊めぐりに先立ち、そんな秘湯の恩人に挨拶を済ませてからさらに有馬川を上り、みやげもの店をのぞき、温泉地のメインストリート・太閤通の観光総合案内所前まで歩きましょう。

写真左の河童が守りをする落ち込みの向こうには回れるので、記念写真はこちらで。右にみえるのが太閤さん。

有馬温泉・新七不思議のひとつに数えたい妙見堂

有馬温泉・新七不思議のひとつに数えたい妙見堂

写真:ナツキ

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秘密の回廊めぐりのスタートは、有馬温泉を見下ろす落葉山(標高533m)にある妙見寺。
取りつきは有馬観光総合案内所真向かいの目立たない参道ですが、注意していないと通り過ぎてしまいそう。

無事探し当てて登り始めると、山頂までの参道には西国三十三ケ寺のすべての石仏がずらりと並び、ミニ霊場巡りがたのしめます。

この小道は人が立ち入ることが少なかったため、珍しい種類の紅葉や立派な松もたくさん残っていますので、温泉めぐりのついでに妙見堂までの小一時間、きのこや山野草をゆっくり、のんびり、安全に、たのしむことができますのでおすすめです。

南北朝時代から戦国時代までは、寺の境内になっている所に落葉山城 (別名 有馬城)があったと伝えられ、この山城の跡地に妙見寺が建立されたのは1906(明治39)年。
廃仏毀釈で廃寺になった真言宗の寺院・金杖山金剛寺のご本尊・北辰妙見大菩薩尊像が祀られています。

ここから一望する有馬から北摂の地の風景は抜群ですが、もっと楽しいのは、境内の鬼子母神像を祀るお堂にはご神体でしょうか、大きなウミガメのはく製が無造作にドンと置かれてあること。
また、妙見堂そのものが堂の1階部分が失われ屋根がそのまま基部になったような不思議な建て方で、本堂前の両柱にしがみついている獅子の像を見ているとますます謎は深まるばかりです。

有馬温泉の新七不思議と思しき妙見堂。ぜひ、湯あがりの身体を冷やしがてらのぞいてくださいませ。

有馬三山は有馬温泉を深々と包み込む山並み

有馬三山は有馬温泉を深々と包み込む山並み

写真:ナツキ

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行基上人が湯船を作るための木を切り出したという言い伝えから名付けられた標高801mの湯槽谷山(ゆぶねだにやま)。

茶会の際に茶頭を務めた千利休が風炉の灰を盛るとき、この山の形を参考にしたことから名付けられた標高619mの灰形山(はいがたやま)。

1人の翁が投げたナギの枝葉を追って有馬へとたどり着いた仁西上人がようやくその葉を見つけた場所だといわれているのが前述の妙見堂のある落葉山(標高531m)。
これらを総称して有馬三山といい、秘密の回廊の半分を占めています。
この自然の要害が都市近郊の有馬温泉を21世紀の今日まで秘湯たらしめてきたのです。

妙見堂裏にある落葉山三角点から上は、急こう配のやせ尾根道が続き、本格的な山歩きとなります。温泉浴衣、草履姿の人はここから引き返しましょう。

有馬三山ならぬ有馬六山巡りは、まさに秘境の山旅

有馬三山ならぬ有馬六山巡りは、まさに秘境の山旅

写真:ナツキ

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落葉山で十分休憩をとり息を整えたら、これから先が有馬温泉の知られざる回廊めぐりの旅。
一気に六甲山頂に近い湯槽谷山まで高度を稼ぎ、三山詣でを済ませましょう。

体力に余裕のある方は、更に一筋西の尾根になる高尾山(739m)を経て水無山(656m)鬼ケ島(580m)をめぐり、有馬六山を踏破し水無川へと駆け下りましょう。

天気さえよければ、子供連れでも楽しめ、けわしく老いた六甲山塊の魅力あふれる手つかずの自然がたのしめます。

ただし体力に自信のない方は、決して無理をせずに元来た道を辿ってくださいませ。有馬温泉からカウントしても全行程5時間ほどの半日コース(有馬三山だけなら往復で3時間)ですが、さすがに急こう配のやせ尾根の道(写真)が延々と続きます。

見事な松山の残る有馬六山の終着地点は水無川

見事な松山の残る有馬六山の終着地点は水無川

写真:ナツキ

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湯槽谷山からの三山は、今では営林署職員や電力会社の人たちだけが通う高低の激しい尾根道を散々登り降りし、遠くに水音が聞こえてきたら終着点です。
湯槽谷山と高尾山の間の水無滝あたりが水源ですので、しばしば涸れることから水無川と呼ばれています。

この山容は、かっても今もマツタケ山だと思われるほどの見事な松山で、しかも場所柄、訪ねる人も稀れで、松林のキノコや植物の観察にはもってこいのところです。

河原へ降り立つと、そこから住宅地を抜けて20分ほどで神鉄の有馬口駅へ出ます。有馬温泉へは一駅ですので、本格的な秘湯の湯を楽しみましょう。

有馬温泉から阪神間へ出るには、観光総合案内所のとなりのターミナルから出ているバスが便利です。

おわりに

由緒ある秘湯には、必ずその土地の記憶が刻まれています。温泉の旅は、グルメやおみやげ物に走りがちですが、ちょっと脇見をしてみるとオヤオヤと思われることがたくさんあります。
そんな不思議な旅の印象を記憶にとどめると旅は一層面白く楽しくなります。今回ご紹介する山旅は全部でなくともそれぞれの事情に応じて無理をせずに有馬温泉のへその部分にふれることができると思いますので、ぜひトライしてくださいませ。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/12/13 訪問

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