写真:吉川 なお
地図を見る「東莱別荘」がある東莱地区は、朝鮮王朝時代には「東莱府」という役所が置かれたところで、古来より湯治場として知られていました。本格的に温泉地として整備されたのは日本統治時代のことで、鉄道が敷かれると多くの日本人がこの地に居を構えました。
「東莱別荘」もその頃、釜山で活躍した実業家の迫間房太郎氏の私邸として建てられました。太平洋戦争終了後、日本人に退去命令が出て屋敷が手放されると、軍政業務を管掌する政庁として使われ、朝鮮戦争後は高級料亭からレストラン&結婚式場となり、現在に至っています。
地下鉄1号線温泉場駅から閑静な住宅街を抜けたところにある邸宅は、広大な庭園を有し、その敷地の広さからも当時の裕福な暮らしぶりをうかがうことができます。
写真:吉川 なお
地図を見る石畳に導かれて邸内に入ると、やがて趣ある日本家屋が目の前に現れます。2階建ての重厚な純和風建築で、韓国にこういう建物が残っていることに驚いてしまいます。
室内に入ると、なじみのある和の造りに居心地のよさを感じることでしょう。オンドル部屋や畳の部屋など相当な数の部屋があり、少人数から団体までゆっくり食事が楽しめるよう個室が用意されています。
外国人にも人気で、2005年のAPEC開催時にブッシュ前米国大統領夫人も来店され、その時の様子を写した写真が玄関に飾られています。
各部屋からは手入れの行き届いた庭園も眺められます。樹齢200〜300年の立派な老松もあり、しっとりした和の雰囲気の中で韓国の伝統の味をいただくことができます。
写真:吉川 なお
地図を見る2011年にフランスで刊行された『ミシュラン・グリーンガイド韓国編』に選ばれた自慢の宮廷韓定食は、宮廷料理を現代風にアレンジし、郷土料理などと複合させたメニューで、港町釜山ならではの新鮮な魚介を中心にコース形式で供されます。美しく盛り付けられた料理は彩り豊かで、1品1品のクオリティも高く、最後まで目と舌で堪能できます。
王様の料理ほど多くはないですが、いくつものお皿がテーブルの上にどんどん並べられていく様は圧巻。お箸もどんどん進みます。
夜の料理のコースは30,000ウォン、40,000ウォン、50,000ウォン、70,000ウォンの4コース。お昼のランチはそれよりリーズナブルで15,000ウォン、25,000ウォン、35,000ウォンの3コース。コースは2名から注文が可能で、それぞれ提供される料理も異なるので、食べたいものがあれば事前に確認されたほうがいいでしょう。
食材本来の味を生かした上品な味付けの宮廷料理は、どなたの口にも合うこと間違いなしです。
写真:吉川 なお
地図を見る50,000ウォンのディナーコースは全部で18品。季節のサラダ、水キムチから始まって、ヘムルギョジャチェ(からし味の海鮮料理)、ヨンオマリ(野菜を鮭で巻いた料理)、クジョルパン(宮廷式のクレープ包み)、鴨の燻製、刺身盛り合わせ、アワビの刺身、2色のチヂミ、3色えび蒸しもの、シンソルロ(宮廷式の鍋料理)、揚げ椎茸のあんかけ、ウナギの蒲焼、カルビチム(骨付きカルビの煮物)、揚げ魚のあんかけ、竹筒ご飯、海鮮味噌チゲ、デザートにはフルーツと五味茶が出てきます。その日の食材でメニューは若干異なります。
定番料理として是非味わいたいのは、前菜に出てくるクジョルパンと鍋料理のシンソルロ。クジョルパンは錦糸卵、 野菜(ナムル)、肉類、海産物など8種類の具を小麦粉の薄焼きに巻いて食べる料理です。シンソルロは中央がドーナツ状に空いた鍋に魚介や肉や野菜を煮ながら食べる鍋料理で、どちらも元々は使用される器や鍋自体を指し、宮廷や貴族の歳時料理として宴の際に食べられていました。色とりどりの食材がテーブルを華やかに演出します。
品数は多いですが、1品当たりの量はそんなに多くないので、お腹をすかせておいて完食しましょう。
私たち日本人にはなかなかなじみがない宮廷料理。「東莱別荘」では、ミシュランも認める絶品料理がしっとり落ち着いた日本家屋でいただけます。
和の雰囲気の中で韓定食を味わう、ここならではの体験です。
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この記事を書いたナビゲーター
吉川 なお
台湾の台北市に住む専業主婦の吉川なおです。台湾生活はもう8年ですが、常に新しい発見のあるこの国が大好きです。在住者だからこそ知っている生情報やお薦めのレストランなど、台湾の旅がより思い出深いものになる…
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(2025/1/24更新)
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