写真:けいたろう
地図を見る大阪の難読地名の一つ、道修町と書いて『どしょうまち』と読むこの町は、豊臣秀吉の時代から大阪の一大商業地であった船場の一つの区画の名前です。当時の日本で、薬といえば中国からの漢方薬と、オランダからの洋薬の輸入がほとんど。日本中のあらゆる商品が行き来する船場には、多くの品に混じって薬も運びこまれました。
船場に運び込まれた薬は道修町にいったん集められ、薬種中買仲間という当時の薬屋さんの団体が専門に扱い、検査・価格決定・流通を一手に担いました。
やがて時代が進み道修町は、くすりの町と呼ばれるようになり、医学薬学の繁栄と安全を祈願するために、京都の五條天神社から薬の神が勧請されました。それが、現在も道修町に鎮座する少彦名神社という小さな神社です。
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地図を見るビルが林立するオフィス街の道修町の道路奥に鎮座する少彦名(スクナヒコナ)神社は、名前にもある通り、少彦名命が主祭神として祀られています。少彦名命は、日本神話において大国主(オオクニヌシ)のパートナーであり、薬の神、医療の神とされており、薬の商人から篤く信仰されました。ちなみ少彦名命は手のひらに乗るほど小さな神様で、おとぎ話の一寸法師のモデルとなっています。
少彦名神社には少彦名命と並んで『神農(しんのう)』という古代中国の神様が祭神として祀られています。写真ではカワイイパネルになっていますが、この神農は体が半透明で内臓も外から見え、植物などの生薬を食べると、内臓に変化が現れるという超人のような人物。
実際に薬を口にし、その反応を基に『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』と呼ばれる書物を作成し、漢方の基礎を作り上げたとされる人物で、中国でも医薬と農業を司る神とされ信仰されています。
写真:けいたろう
地図を見る少彦名神社は医療に関する二柱の神を祀る神社で、健康祈願・病気平癒のご利益もあるとされており、境内には病気平癒を願う多くの絵馬が奉納されていますが、境内で特に目を引くのが『ペット祈願』と書かれた絵馬。
実はこの絵馬はペットの健康祈願用。少彦名神社の神様のご利益は、人間だけに留まらず動物の病気にも広く効果があるとされており、ペットの病気平癒を願って、日本中から多くの飼い主が訪れるスポットとなっています。
祈祷の際には、ペットと一緒に境内に入り、ペットと飼い主合同で交通安全、病気平癒、健康祈願などの各種のご祈祷が受けられ、ペット用のお守りも授与していただけます。また、お正月にはペットと一緒の初詣も可能です。
写真:けいたろう
地図を見る道修町は、すでに説明したように江戸時代には海外からの医薬品の中継地でしたが、時代が進み、明治時代ともなると、道修町に店を構える薬問屋の中から、製薬会社を立ち上げ、自らの手で薬を製造する業者が現れるようになりました。
それらの製薬会社は、塩野義製薬(シオノギ)、武田薬品工業、小林製薬、ニプロファーマなど、現在の日本の製薬会社のトップをひた走る企業の数々。それら製薬会社の本社が、東京ではなく、ここ大阪の道修町に今なお置かれています。
コテコテ大阪弁の風神さんの「風邪引いてまんねん」というセリフのCMで関西人にお馴染みの、風邪薬の『改元(かいげん)』を発売している、カイゲンファーマの本社ビルも、ここ道修町にあります。
通りを歩きながら、有名製薬会社の本社ビルを探せば、ちょっとマニアックな道修町散歩が楽しめます。
写真:けいたろう
地図を見る今回紹介した道修町のあれこれは、少彦名神社の隣にある『くすりの道修町資料館』という、無料の資料館に展示されています。
日本の薬の変遷や、かつて使用されていた製薬道具などの歴史的な資料の展示に加え、道修町の歴史やなりたちなどを映像で分かりやすく紹介しているコーナーもあるので、道修町を訪れた際には、ぜひお立ち寄りください。
いかがだったでしょうか?道修町。一見ただのオフィス街で、ハッキリ言って関西人でも、あまり知らない町ですが、魅力のある町です。ご家族、お友達だけでなく、ぜひペットも連れて、健康祈願、病気平癒祈願に訪れてみて下さい。
また、少彦名神社では、毎年11月23日に、神農祭が執り行われます。オフィス街に屋台が出現したり、笹には道修町で商売を行う製薬会社の製品がぶら下げられたりと、お祭りも少し変。
北浜、中之島など水都大阪を訪れた際に、ちょっと変わった大阪も旅行してみたい、という方にもオススメのスポットです。
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(2023/11/30更新)
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