写真:沢木 慎太郎
地図を見るタイの北部に位置するチェンマイ。古き良き時代の日本を思い出すような、ノスタルジックな街並みが魅力的です。この街の情緒が最も感じられるのは夜。たとえば、こちらの「ワット・パン・タオ」。観光客にはほとんど知られていない旧市街にあるお寺です。
陽が沈むと、深い夜の闇を抱えた竹藪を背景に、チェンマイ独自の行灯が揺らめき、あたりは幻想的な雰囲気に。神秘的な行灯の明かりは、まるでタイの仏の魂が揺れているよう。
昼間は眠っていた仏が静かに目を開き、チェンマイの夜が始まります。この街の魅力は、実は闇の深さ。平安時代の闇の世界を彷ふつさせます。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るこちらは、さきほどのパン・タオ寺院からほど近い場所にある巨大寺院「ワット・チェディ・ルアン」。地震で半壊した巨大な仏塔が、漆黒の闇の中に浮かんでいます。
蛇や象などの聖地は装飾がほどこされた寺院は、柔らかなオレンジ色にライトアップ。かすかに愁いの表情を浮かべ、今でも亡き王を偲んでいるよう。
チェンマイは、13世紀後半にランナー王朝の初代メンラーイ王が築いた都です。ミャンマーやラオスとの国境に近いチェンマイは、さまざまな山岳民族と融合した独自の「ランナー文化」を持ち、その美しさは“北方のバラ”と称されるほど。寺院が多く、バンコクやアユタヤとは違った独特な建築様式を見ることができます。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るこちらの寺院は、チェンマイの旧市街を象徴するターペ―門の近くにある「ワット・パン・オン」。ここも観光客がほとんど訪れない穴場の寺院です。深々とした闇を吸い込む大きな銅鑼。幾重にも織りなす金色の仏塔がわずかばかりに輝き、仏さまは静かな微笑を浮かべています。
ターペ―門周辺は日曜日になると、露店が一斉に並ぶサンデー・ナイト・バザールが行われますが、「ワット・パン・オン」のまわりでは飲食店の屋台が軒を連ね、このお寺は超穴場のグルメスポット。北タイの独自の文化に触れながら、絶品の料理を味わうのも素敵です。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るチェンマイ市街を見下ろす山頂に建つ黄金の寺院「ワット・プラタート・ドイ・ステープ」。昼間は多くの観光客でにぎわうチェンマイ随一の寺院ですが、夜になればひっそり静か。どこからともなく読経の低い声が流れ、心に深く染み入ります。
満月が空高くのぼり、闇夜にきらめく黄金の寺院は、天と語りあっているかのよう。曇りのない金色の光はあまりにも美しく、地上でのことは何もかも忘れ、いつまでも見あげていたくなります。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る最後に、タイ北部の街で、仏と暮らす人々をご紹介。ターペー門周辺のサンデー・ナイト・バザールでは、ご覧のような大道芸人の方たちが得意の音楽や歌を披露し、旅人たちを楽しませてくれます。
チェンマイの本当の魅力は、地元の人たちのあたたかさ。旅の中で忘れがたい人たちに出会い、その人に会いにまた訪ねたくなる。タイの仏は、優しい人々の表情の中に宿っています。
いかがだったでしょうか?
チェンマイは、首都バンコクに次ぐ2番目の都市とされますが、人口30万人ほどの静かな街。ビアバーでにぎわう夜の歓楽街ロイコ―通りも、深夜12時前には店が閉まり、チェンマイの聖なる夜が始まります。
どこか遠く懐かしい香りがするチェンマイ。闇が闇として存在するタイ北部の街は、もののけ、妖怪たちが暮らしているような気配すらします。古都ならではの情緒が漂うタイの京都へと、都会の喧騒を離れ、日常を忘れ、タイの仏たちに会いに出かけませんか?
なお、チェンマイでの楽しみ方については別途、記事にまとめていますので、ご興味のある方はリンクからのぞいてみて下さい。
この記事の関連MEMO
この記事を書いたナビゲーター
沢木 慎太郎
恋愛小説「星の流れに 風のなかに 宇宙の掌に」(※澤 慎一の名前で制作)が電子書籍化され、作家デビューしました。紀行小説「深夜恋愛特急」も、私のひそかなブーム。
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