写真:もんT
地図を見るJRの天王寺駅あるいは近鉄の大阪阿部野橋駅を出ると、目の前にはそびえ立つアベノハルカス。しかしその足元には、まだ再開発前の大阪の空気が残ります。
駅からの歩道橋は、あべのハルカスに直結していますが、ちょっと寄り道して駅から南へ延びる大通り「あべの筋」を歩道橋から見下ろしてみましょう。
写真のように路面電車の軌道と停留所が、ちょっと窮屈そうに大通りの中心よりも左寄りに見えます。阪堺電車上町(うえまち)線の天王寺駅前停留所です。
実は再開発前は、この路面電車の軌道が道路の中心でした。再開発に伴って、道路が大きく西側に拡幅されたんですね…。現在、道路の拡幅にあわせて、上町線の軌道も移設する工事が進行中。2017年1月に線路が切り替わる予定です。昔の名残を記録に収めたい方はお早めに…。
写真:もんT
地図を見る上町線は、天王寺駅前停留所から、お隣の住吉区にある住吉公園駅までの全長4.6kmの路線。あべの筋や旧熊野街道の一部で路面軌道を走行するほかは、専用軌道を軽快に走ります。ほとんどの電車は住吉停留所で阪堺線に乗り入れ、住之江区の我孫子道や、その先、堺市の浜寺公園へと向かいます。
電車は、旧型のレトロな電車から、低床式の新型トラムまで、カラフルで変化に富んでいます。見ているだけでも楽しめますが、ここまで来たからには、ぜひとも乗車して、路面電車の走りを体感してみましょう!
さて電車の乗り場ですが、現在のところ天王寺駅前停留所へは、地上から入ることができません…。乗り場へは地下街から、地下道を通って行きましょう。地上からは、行けそうで行けないので、ご注意を!
運賃は、阪堺線も含めて、全線210円の均一料金。下車するときに、運賃箱にお金をいれます。一日に何回も乗り降りする場合は、一日乗車券「てくてくきっぷ」600円がお得♪車内にて運転士さんから購入できます。スクラッチカードのようになっていて、利用する年月日の欄を削ってから使用します。
写真:もんT
地図を見る天王寺駅前を出発すると、二つ目の松虫から、電車は専用軌道に入ります。
専用軌道ではフルノッチで走るのですが、それでも時速40km程度…。急がずマイペースで阿倍野区を南下し、閑静な住宅街を抜けていきます。
四つ目の北畠(きたばたけ)からは、再び路面軌道に。ここから住吉区の帝塚山(てづかやま)3丁目までの区間、歴史ある旧熊野街道の上を、電車はゆっくりと走ります。
その先、最後はまた専用軌道に入ります。9番目の停留所である住吉で、恵美須町方面からの阪堺線と交差。近くには、住吉大社や住吉公園などの緑豊かな観光スポットが広がります。
上町線の終点住吉公園停留所は、この一つ先なのですが、ほぼすべての列車が阪堺線へと乗り入れ…。住吉公園行きの電車は、ほとんどありません??
さて終着駅へは、どうしたら行けるのでしょうか…?
写真:もんT
地図を見る実は、上町線の終点住吉公園行きは、1日にわずか平日は5本、休日は4本しかありません!しかも、それらの電車はすべて朝7〜8時台…。住吉〜住吉公園の200mの区間は、昼間も夜間も全く電車が走らず、都会の中の超閑散区間なんです。
そんな住吉公園停留所は、南海本線住吉大社駅に隣接。路面電車にしては立派なホームも有しており、終着駅としての風格を漂わせています。それなのに日本一終電が早い駅…。都会の中の秘境駅ですね。
残念ながら、住吉〜住吉公園の200mの区間は、2016年の1月30日をもって廃止されます。わずか200mの廃線ではありますが、100年以上にわたって続いてきた路面電車が走る風景が、まもなく消えてゆこうとしています。
住吉公園までは、天王寺停留所から20分弱の旅…。大阪を訪れた際にはぜひ、ちょっと早起きして、この消え行く街の風景を見に行って!
住吉公園行きの終電は、天王寺駅前が平日8:04、休日8:06発です。
大阪の町を100年以上にわたって走り続けてきた路面電車。町から街へと変貌を遂げていく中でも、昔と変わらぬリズムで走ります。
今回は、阪堺電車の上町線を紹介しましたが、恵美須町から堺市の浜寺公園までを結ぶ阪堺線も、魅力的。1日乗車券を使って、こちらの路線にも足を伸ばしてみるのもおススメです。
変わり行く大阪の今の姿、そして路面電車が走る街の風景を、皆さんぜひ見に行ってください。
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この記事を書いたナビゲーター
もんT
鉄道に乗り、美しい風景を撮り、名所旧跡あるいはおいしいものを尋ね歩く旅をご案内します。特に鉄道+徒歩のスタイルにこだわって、だれもが楽しめる小旅行を提案してまいります。鉄道が好きな人、写真撮影が好きな…
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