息をのむ荘厳美!サンクトペテルブルグの聖堂

息をのむ荘厳美!サンクトペテルブルグの聖堂

更新日:2018/02/21 00:10

帝政ロシアの時代を彷彿とさせる美しい街並みでも知られるロシアの旧都、サンクトペテルブルグ。数ある歴史的な建物の中でも「カザン聖堂」「血の上の聖主教会」「イサク聖堂」は、ロシア屈指の教会建築として多くの人が訪れる人気の観光スポットです。
今回は、世界遺産「サンクトペテルブルグ歴史地区と関連建造物群」にも登録された、息をのむほどに美しいこれら3つの聖堂をご紹介します。

美しい賛美歌が響き渡る「カザン聖堂」

美しい賛美歌が響き渡る「カザン聖堂」
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カザン聖堂(Каза́нский кафедра́льный собо́р) は、サンクトペテルブルグにおけるロシア正教の中心。サンクトペテルブルグのメインストリート、ネフスキー大通りに面しています。

両翼に広がる柱が印象的な概観は、どこかで見たような、と思われる方も多いかもしれません。
そうです。実はこれ、ローマ、ヴァチカンの聖ピエトロ寺院を模したもの。19世紀初め、聖堂の建設を命じた皇帝パーヴェル1世の希望により、このようなデザインになったのだそう。

聖堂の名前は、「カザンの聖母」と呼ばれる聖母子を描いたイコンを祀ることに由来します。
「カザンの聖母」はロシアの守護神、霊験あらたかな像として多くの信仰を集めています。主祭壇のすぐ左にあり、この像に礼拝するために、いつもたくさんの人が列をつくって並んでいます。

聖堂ではほぼ毎日ミサが行われていて、その様子は誰でも見学することができます。
司教の低い、それでいて歌うような祈りの声と、まるで天使のような聖歌隊の歌声が交互に響き合い、堂内は荘厳な雰囲気に包まれます。

小さな子どもから10代、20代、そして年配の方まで、さまざまな世代の人が礼拝に訪れ、敬虔な祈りを捧げています。
ロシアの人びとの信仰にふれることのできるスポットです。

聖堂を拝観するなら、ミサを見学できる午前中がおすすめ。
ちょっと早めにホテルを出て、ロシア正教の美しい音楽に触れるのも、旅のすてきな思い出になるでしょう。

ロシア皇帝遭難の地に建つ「血の上の救世主教会」

ロシア皇帝遭難の地に建つ「血の上の救世主教会」
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血の上の救世主教会(Храм Спаса на Крови)は、カザン聖堂にほど近い、 グリボーエドフ運河沿いにあります。1881年、当時のロシア皇帝アレクサンドル2世がこの場所で爆弾テロに遭い、暗殺されました。聖堂は皇帝の死を悼み、事件現場の上に建てられたため、こう呼ばれています。

外観はモスクワの赤の広場に建つワシリー寺院に似た、ロシアの伝統的な教会様式。
ただし、ワシリー寺院は16世紀の建物、一方こちらは20世紀の初め、当時のロシアの最高技術を駆使して建設されました。

中央の尖頭の高さは94m、外壁はヨーロッパ各地から取り寄せた様々な色の石やモザイク画で飾られ、まるでおとぎの国のお城のよう。いかにもロシア的な外観にわくわくします。

堂内の精密なモザイク画は必見

堂内の精密なモザイク画は必見
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教会の内部は、多数のイコンや絵画、装飾文様で埋めつくされています。
一見、壁画のように見えますが、これらはすべてモザイク画。下絵は当時の一流画家たちによるもので、その総面積は7000平方メートル以上もあるのだとか。

鮮やかなブルーの地に微妙な陰影をつけて、写実的にあらわされた見事なモザイク画。規模の大きさ、色の鮮やかさ、そして精緻を極めたその技術にはただただ驚嘆するばかりです。ロシア装飾建築の最高傑作とも称されるのも納得です。

もう一つ、見落としてはいけないのが、堂内の運河寄りの一段低くなった部分。
ここはアレクサンドル2世が爆弾を投げつけられた場所。聖堂建設のきっかけとなった事件現場の歩道の敷石と鉄製の手すりが、当時のままの形で再生保存されています。床面が低いのは、この部分がもとの歩道の高さのためなんですね。

巨費を投じて作られ、ロシア工芸技術の最高傑作ともいわれる教会ですが、あらゆる宗教が否定されたソ連時代には、倉庫として使われたり、交通に障害になるとして爆破計画もあったのだとか。聖堂の一角には、現在のように公開されるまでの修復過程を紹介する展示スペースもあります。

教会の前は、みやげ屋の露天が並んでとてもにぎやか。大道芸人やピロシキの屋台などが出ていることもあります。隣は広大な公園、ミハイロフスキー庭園なので、見学の後はピロシキを買って美しい公園で一休み、なんていうのもいいかもしれません。

超豪華!ピョートル大帝創建の「イサク聖堂」

超豪華!ピョートル大帝創建の「イサク聖堂」
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イサク聖堂(Исаакиевский собор)は17世紀の創建。サンクトペテルブルグの街を築いたピョートル大帝が、自身の誕生日の聖人、聖イサクに捧げるために聖堂を建てたのが始まりです。現在の建物は4代目、19世紀前半に40年の歳月をかけて建設したもので、その規模、豪華さともにヨーロッパでも屈指の大聖堂として知られています。

大理石や花崗岩をふんだんに使った壮大な建物を支えるのは、48本の巨大な柱。柱はなんと継ぎ目のない1枚岩から作られていて、直径1.8m、高さ17m、重さなんと114トンもあるのだそう。

しかし、サンクトペテルブルグはもともと湿地の上に建てられた街。軟弱な地盤の上に大理石や花崗岩をふんだんに使った建物を建てるには、まず大がかりな基礎工事が必要でした。
すでにあった1万本以上の杭に加えて、さらに1万本を超える杭を新たに打ち込み、その上に石の土台を築いています。この土台作りのためだけに5年もかかったのだとか。

この堅固な土台のおかげで、建造から150年以上もたった現在でも建物のくるいはまったくないとのこと。すばらしい技術ですね。

聖堂の内部は精巧なモザイクや大理石、青い天藍石や緑の孔雀石で飾られています。もはや言葉を失ってしまうほどの圧倒的な豪華さです。
晴れた日には中央の丸天井の窓から陽の光が差し込み、内部は明るく照らされます。色彩豊かな聖画や金箔の装飾、色とりどりの大理石が明るく輝いて、地上のものとは思われないほどの美しい光景を目にすることができるでしょう。

サンクトペテルブルグ市内を一望できるクーポラからの眺め

サンクトペテルブルグ市内を一望できるクーポラからの眺め
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イサク聖堂は丸屋根の部分(クーポラ)に上ることができます。クーポラは金箔貼り、その周囲をめぐる高さ約60mの回廊から、市内を360度ぐるりと見渡すことができます。

写真は宮殿広場とエルミタージュ美術館の方向です。すぐそばを流れるネヴァ川、金色に輝く旧海軍省の尖塔、ペテルブルグ発祥の地であるうさぎ島に建つ、ペトロパヴロフスク聖堂の鐘楼まで見えます。
高層ビルのないサンクトペテルブルグでは、イサク聖堂のクーポラは市内唯一の展望台。ぜひ上ってみることをおすすめします。

おわりに

今回ご紹介したイサク聖堂と血の上の救世主教会は、現在は博物館として管理されていますが、 カザン聖堂は宗教施設。信者の女性は必ずスカーフやフードで髪を隠しています。観光客にも強制されるものではありませんが、もしスカーフなどを持っていれば、髪を隠すといいでしょう。

どの聖堂にも小さな売店があって、イコンの複製やペンダントクロスなどを売っています。ロシア特産の琥珀製のクロスもあり、値段も手頃なので記念に購入するのもおすすめです。

日本ではあまりなじみのないロシア正教会の聖堂。カトリックやプロテスタントの教会とはまた違う雰囲気をぜひ体験してみて下さい。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/08/04 訪問

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