写真:麦吉 ぼに
地図を見る長さ約90m、高さ40mの「雄橋」は、スイスの「プレビシュ」、アメリカ合衆国の「ロックブリッジ」と並ぶ「世界三大天然橋」。学術的にも貴重な存在で、国の天然記念物に指定されています。
きれいに弧を描く橋脚は、太古の昔鍾乳洞だったものが、浸食によって落盤を起こし、アーチ状に残ったものと言われています。
そしてこの橋、なんと昭和の始め頃まで生活道路として使われていました。橋背の道は、東城から庄原へ通じる旧街道で、人だけでなく馬や馬車も通ったとか。今ではわずかに獣道が残っているそうですが、欄干も何もない石橋の上からの景色は、いったいどんなものでしょう。
上流側から「雄橋」の下をくぐって振り返り、橋を見てぎょっとする人が少なくありません。巨大な石橋の中央部の岩が、猛々しい顔に見えるからです。
伝承民話では、2匹の鬼が帝釈川で橋を架け競い、勝った方の橋が「雄橋」だと言われており、中央の顔は鬼だと言われています。
巨大な橋の真ん中に鬼面。見つめているうちに「ゴゴゴ・・」と動き出しそうな威圧感があり、ダイダラボッチのように、夜になったら立ち上がるのではと思ってしまいます。
ところでこの顔、鬼にも見えますが、陽の射し加減次第で「吠え猿」にも見えませんか?新緑の頃は、周囲をおおう木々が猿の毛のよう。巨大な岩猿(天然キングコング?)の写真が撮れます。
写真:麦吉 ぼに
地図を見る「雄橋」は、帝釈川の谷を中心に広がる「帝釈国定公園」の中にあります。公園内には他にも絶景が多く、「白雲洞」もその一つ。
奥行約200mの洞窟内には、石筍や鍾乳石が自然の造形美を形作っています。ウサギの形の鍾乳石やスフィンクス型の鍾乳石もあって楽しめます。
「白雲洞」から「雄橋」までは約1km、のんびり歩いて20分位。トレッキングが苦手な人は、レンタサイクルで回る手もあります。
「雄橋」の下流には「神竜湖」があります。「神竜湖」は、深い谷をせき止めた人造湖。印象的な赤い橋がいくつも架かり、橋を渡りながら自然の中を歩くトレッキングルートが人気です。帝釈峡は、初夏には新緑、秋には紅葉狩りウォークが楽しめます。
遊覧船(1周40分程度)に乗って「神竜湖」を水上から楽しむのもおすすめ。特に紅葉の季節、赤く染まる山々と断崖を見ながらのクルーズは最高です。
有吉広島観光大使が、「おしい!」と言った広島県。イイ所は多いのに、なぜかイマイチ知られない。
「雄橋」は『世界三大天然橋』なのに、鬼が顔を出して(?)待ってるのに、この絶景を見ないのは、まったく「おしい!」です。
帝釈峡のある庄原地区は雪が降るので、厳冬期はトレッキングに向かない日もありますが、早春から晩秋までこの渓谷は、季節ごとの自然を染み入るほど味わわせてくれます。
ぜひ一度、深い谷にそびえ立つ「雄橋」を見に来て下さい。
この記事を書いたナビゲーター
麦吉 ぼに
路上観察と散歩が好きで、趣味はご朱印集めのライターです。足で歩いた情報をお届けしたいと思います。
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