廃校といえばボロボロな木造校舎をイメージしてしまうこともあるかもしれませんが、ここやまびこ荘は、昭和51年に営業を開始した後平成23年にリニューアルオープンがなされ、高齢者や車椅子の方にとっても快適な宿泊施設に生まれ変わりました。
しかし明治40年に建築されたという木造校舎の基本的構造を残しているため、学校のもつノスタルジックな雰囲気も十分に残されているので、利用者にはとても嬉しい心遣いとなっています。
ここやまびこ荘へは、西伊豆の海岸線を走る国道136号線から仁科川沿いを走る県道59号線に入って約9kmほど山道を行くと到着します。周りは民家や神社などの山間集落の風景が広がりますがお店などは一切ないので、必要なものがある場合は59号線に入る前にどこかで買い物を済ませておくことは必須です。
校内は飲食物の持ち込み自由で、しかも宿泊者共用で使える冷蔵庫や電子レンジもあるので自己管理のもとで上手に利用してみてください。
段差があるところにはスロープがついていてバリアフリー対応な校内。一方で、宿泊する部屋の前には「2の1」などのクラス札が掲げてあるなど、遊び心も抜かりありません。
そこから一歩部屋の中へ入ってみれば、高い天井とグラウンドが見渡せる大きな窓が爽やかな開放感を持って迎えてくれ、さらに室内は驚くほど清潔に保たれています。
お部屋にはテレビやエアコン、リモコン式の電灯があり、更に冬場にはコタツとガスヒーターも用意されているので、学校でコタツに入るという面白いシチュエーションを堪能できます。そこで「さぁお茶でも」となるのですが、やまびこ荘では「自分のことは自分でやる」という校則があるのでお茶や布団の用意などは自分たちで行いますが、そんなところもここでは楽しく思えてくるから不思議です。
なお、部屋にはやまびこ荘の校則や詳細が書かれた懐かしの「れんらくちょう」もあるので、必ず読んでおくようにしましょう。
やまびこ荘は集落の中でも少し小高い場所にあるのでグラウンドからは集落や山々の様子が綺麗に見渡せます。
そんなグラウンドの一隅には屋根付きのバーベキュー施設があるので宿泊は素泊まりにして、夕食は仲間と童心に返って学校キャンプさながらのバーベキューなんていうのもいいですね。
そんなバーベキューの設備も整っている楽しい学校なので、夏などの長期休みの時期には学校のサマーキャンプや合宿などにも多く使われ、その際にはやまびこ荘の裏手にある神社とそこからちょっと登ったところにある小さな墓地でよく肝試しが行われるのだとか。
さらにお盆の時期には地元の有志の方々が主催の盆踊りがグラウンドで催され、もちろん宿泊者も参加することができるので、肝試しとあわせてお盆の時期にも最高の思い出を作りに行ってみてはいかがでしょうか。
ちなみにバーベキュー施設は要予約なので、利用したい場合は事前に必ず予約をしておきましょう。バーベキュー施設を利用する際には、鉄板と網、そして販売品の薪はやまびこ荘で揃うので、その他の食材をはじめとした必要物資は自分たちで揃えておくようにしましょう。館内に冷蔵庫があるので食材の保管場所はバッチリです。
やまびこ荘の温泉は温泉好きの間では知られた温泉で、ツーリングの途中で日帰り入浴していくお客さんも多く見られます。
温泉は内湯のみですが一度に大人が4・5人は入れそうな重厚な檜風呂と、その横には一人入ったら一杯一杯くらいの岩風呂があります。この温泉は豊富な湯量に裏打ちされた完全な源泉掛け流しで、泉質は肌に良い硫酸塩泉。掛け流しのため常にお風呂はひたひたに湯がはってあり一度入ればザブーンと贅沢なオーバーフローが楽しめます。
お湯の温度は39度のぬる湯なので6〜10月頃までは加温なしの源泉で一度入ったら出られないくらい気持ち良く入浴ができます。冬場は加温ありですが、横の岩風呂にはぬる湯の源泉がちゃんとはられているので檜風呂の方で少し温まりすぎたなという時には岩風呂の方に移ったりすればそれもまた非常に気持ちの良い入浴タイムになります。
そんな好評の温泉のある浴場はなんと元職員室。さすがに職員室の面影はありませんがかつて先生たちが働いていた場所でゆったり温泉に浸かれるというのも不思議で楽しい感覚です。
そして温泉の後といえばやっぱりコーヒー牛乳、ということで浴場の手前にある休憩所では「伊豆おおきモーモーミルク」と大きく書かれた地場産の牛乳とコーヒー牛乳が購入できる自販機が備え付けてあるので、是非とも入浴後に一杯飲まれることをオススメします。まろやかで濃厚なコーヒー牛乳が、さらに学校と温泉という要素と相まって体に染み渡りますよ。
やまびこ荘には宿泊棟の横に温泉プールもあり、そのプールをはさんで給食室のある建物が並んでいます。夕食は5時半からで、ちょうどその五分前くらいにおそらく放送委員の生徒による給食室にご飯の用意ができたという旨の校内放送が流れるので、その心憎い演出と懐かしさにおもわず顔がほころんでしまいます。
給食室での夕食は、優しく愛想の良い給食のおばちゃんが作ってくれた家庭的な料理を味わうことができます。それも納得、給食のおばちゃんはやまびこ荘のある大沢里集落に住んでいる方で、夕食に使われる食材も集落内でとれた野菜などを使っているとのこと。その季節に合わせた料理をしっかり出してもらえるので、冬場は大きな具材がごろごろ入った海鮮鍋をいただくことができます。
楽しい夕食を終えたら「自分のことは自分でやる」の校則に則って食器類の片付けは自分たちで行うようにしましょうね。
ちなみにお酒を飲みたい場合は、給食室の中にアルコールの自販機があるのでそこで購入して飲むようになっています。学校での飲酒、是非体験してみてください。
やまびこ荘では浴衣は部屋に用意してありますがバスタオルや歯ブラシなどは置いていないのでしっかり持参しましょう。一応ハンドタオルは100円で購入することができます。
あと温泉プールの利用にあたっては、源泉がそのままドバドバと流れ込んでいるため夏季のような暑い時期にはのぼせてしまうこともあるようなので注意しましょう。少し肌寒いくらいの季節の方がちょうどよく、プール合宿などでの利用も多く行われます。
温泉、プール、バーベキューと必要十分な設備が整ったやまびこ荘に訪れてみれば、昔の懐かしい気持ちがよみがえってついつい童心に返って楽しんでしまうに違いありません。気心の知れた友人たちやカップル、もちろんお一人ででも、是非一度訪れてみてはいかがでしょうか?
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(2023/12/6更新)
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