死なないための家!?東京・三鷹天命反転住宅でショートステイ

死なないための家!?東京・三鷹天命反転住宅でショートステイ

更新日:2016/02/02 16:57

都心に近いオアシスのような東京都三鷹市。その一画に建築家・美術家の荒川修作氏とパートナーで詩人のマドリン・ギンズ氏が設計した摩訶不思議な「三鷹天命反転住宅」があります。普通の住宅街に突如現れる積み木のような形のカラフルな外観は、前を通れば思わず立ち止まってしまう地元では有名な観光スポット。中に入れば、まるで異世界に迷い込んだよう!?今回は皆さんの天命が反転するかもしれないこの住宅をご紹介します。

三鷹天命反転住宅 In Memory of Helen Keller

三鷹天命反転住宅 In Memory of Helen Keller
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世界初の「死なないための住宅」と謳われるこの住宅の正式名称は「三鷹天命反転住宅 In Memory of Helen Keller」といいます。

なぜ「死なないため」そして「ヘレンケラーのために」なのかというと、この住宅が、人間ひとりひとりの個性、年齢、障害等によるさまざまな身体の能力の違いを越えて、それぞれに合った使用が可能であるということ、家の機能によって五感を鍛えることで、不可能が可能になるかもしれない、つまり天命の反転=(死なない)が起こりうる可能性がある、というコンセプトにあります。

そして視覚と聴覚に障害がありながら、身体を通じて物事を知り、世界とつながった「奇跡の人」ヘレン・ケラーはまさに「天命反転」を実現した存在であり、この住宅が彼女をモデルに制作されたことから、In Memory of Helen Kellerとなりました。

この集合住宅は全部で9戸、うち2戸が一般の人々の為にショートステイ・ルームとして提供されています。滞在費は一部屋あたり1日10,800円、施設利用料26,000円で、最低利用日数は7日からとなっています。(※シーズンによって価格が変動する場合あり)

不定期で開催される見学会

不定期で開催される見学会

提供元:ABRF,Inc.(ARAKAWA+GINS Tokyo Office)

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1週間以上滞在するなんて難しいけれど、どうしても中を見てみたい・・そんな方に朗報です!
三鷹天命反転住宅では、「たてもの見学会」と表して不定期で見学会を開催しています。

選べる4つのコースは「学芸担当者による建物見学会」「建築する身体の見学会」「ファミリー見学会」「カラーインスタレーション-色にまみれる」となっており、それぞれの目的に合わせて選択することができます。

どのコースも部屋の大きさからすると長すぎるくらいの十分な見学時間が設けられています。それは短い時間では、建物及び部屋の良さや本質に気付くことができないからだそうです。見学者は、部屋を自在に動き回り、自分なりの様々な解釈や可能性を見出す工夫がされています。

初めに見学会に参加して、もっとその奥深さを知りたくなったらショートステイしてみるというのもおすすめです。
開催日程につきましては、MEMO欄の三鷹天命反転住宅のHPでご確認下さい。

気配コーディネーティングの部屋

気配コーディネーティングの部屋
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滞在もしくは見学できるお部屋には「気配コーディネーティングの部屋」と「極限で似るものの部屋」があります。
写真は、「気配コーディネーティングの部屋」で、中央の窪みにキッチンを配し、まるで囲炉裏を囲むようにしてに凸凹のリビングルームとそれぞれ形の異なるドアのない部屋が配置されています。

一歩部屋に踏み入れて最も目を引くのはその奇想天外な配色で、各部屋全てにおいて、どの地点からでも一度に6色以上の色が見えるようになっており、これは人間の視覚が6色以上を目にすると脳がバランスをとって心地よく感じられることに基づいた設計だそうです。

他にも、例えば球体の部屋は床まで丸みを帯び、普通に歩くこともままならず、「なぜ?なんのために?どうやってこの部屋で過すのか?」と次々に疑問が湧いてきます。

この型にはまった様式美ではない不思議な内部構造が、訪れる人の身体とそして心をおおいに揺さぶり、人間の持つ新たな可能性に気づかせてくれるといいます。

柵のない屋上から三鷹市を臨む

柵のない屋上から三鷹市を臨む
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「学芸担当による建物見学会」の見学ツアー参加の際に、天気などの諸条件が揃えば屋上に案内してもらえる場合があります。

屋上は柵らしい柵はほとんどなく、心もとない手すりがあるのみ。その為、視界を遮られることなく素晴らしい眺めを楽しむことができます。調布の深大寺の森や国際基督教大学の敷地など、あちらこちらに緑が顔を覗かせ、多くの自然に囲まれた地域であることが伺えます。
そしてまた改めて、この住宅が普通の住宅街に、いとも当たり前であるかのように建っている事実に気づかされます。

勇気があれば、上から建物の下をそっと覗きこんで見るのも一興です。まるで何かの装置のような複雑な構造に圧倒されることでしょう。

※屋上は管理人立会い時のみ案内可能な日あり。通常は立入り出来ませんのでご注意ください。

オリジナルグッズ

オリジナルグッズ
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見学の最後には、荒川修作+マドリン・ギンズの東京事務所(ABRF、Inc.)に立ち寄り、パンフレットが配られます。
実際に部屋がどのように使用されているのかを最後に見ることで、実感できる部分も多く、大変興味深い部屋です。

事務所には、天命反転住宅オリジナルグッズの販売も行なわれています。Reversible Destiny のロゴがオシャレなTシャツやトートバックをお土産にいかがでしょうか?

住宅から程近い大沢ベーカリーでは、日によって住宅を模した天命反転パンが登場することがあります。訪れた際には是非立ち寄って見て下さい。

おわりに

荒川修作氏とマドリン・ギンズ氏が設計した施設には、岐阜県養老町の「養老天命反転地」というテーマパークや岡山県の奈義町現代美術館にある「遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体」などの体験型の美術作品もあります。

泊まれる芸術作品、究極のアートな部屋で、私たちがどのような世界に生きているのか?そもそも自分とは一体何者なのか?じっくり己と向かい合ってみてはいかがでしょうか。
完成以来、世界十数カ国から宿泊希望者が訪れているというのも頷けるこの建築の妙を是非体感してみて下さい。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/01/09 訪問

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