写真:森 のこ
地図を見る碌山美術館の開館は、1958年。およそ30万人の寄付と支援により開館へとこぎつけた美術館で、実際の建設作業にも多くの安曇野市民が協力したそう。現在でも地元の中学生が美術館敷地内の清掃を日々行うなど、地元密着の美術館として知られています。
館内には、安曇野で生まれ育った碌山が、わずか30歳の若さでこの世を去るまでに残した彫刻作品や絵画作品と、碌山と交流の深かった高村光太郎、戸張孤雁等の作品の数々が展示されています。
写真:森 のこ
地図を見る芸術の道へ進んだ当初は画家を目指していた碌山ですが、25歳の時、かの有名なロダンの「考える人」の彫刻に衝撃を受け、彫刻家への転身を決意。後にロダン本人とも交流を持ち、一時は弟子としてロダン本人から教えを受けていた時代もあります。
ここで碌山の彫刻作品を一つ紹介しましょう。写真は、農夫をモデルにして創られた『労働者』の彫刻像です。1909年に第3回文展(現在の日展)にて発表したものの、出展後に碌山自身が作品の手足を切り落としてようやく完成を見たという逸話が残る作品で、現在は敷地内の屋外に、緑に囲まれて展示されています。間近に見れば、彫刻のために人体解剖学の研究まで手がけた碌山の、鋭く正確な観察眼によって作り込まれた筋肉やその躍動感に圧倒される作品です。
他の収蔵作品としては、重要文化財に指定された『女』や『北條虎吉像』等、数はさほど多くないものの、傑作と言われる碌山作品が揃っています。他の作品郡はすべて建物内に展示され、撮影は不可となっているので、実際に目にして焼き付けてきてください。
写真:森 のこ
地図を見る碌山美術館内には4つの展示棟が設けられており、代表的な建物は、碌山の彫刻作品を展示している「碌山館」。西欧風の教会をイメージしたレンガ造りの建物で、日本にガウディを紹介したことで知られる建築家・今井兼次氏の手による設計です。
外壁にはツタが這う趣のある建物で、季節ごとに表情を変えるのもまた魅力の一つ。2009年には国の登録有形文化財にも選定されており、この建物を見るために訪れる価値があると言っても過言ではありません。
写真:森 のこ
地図を見る敷地内でもう一つ、特徴的な建物の一つが「グズベリーハウス」。ミュージアムショップとして利用されているログハウス風の建物で、地元の中学生や高校生、教員等のボランティアにより建てられたものです。
建物は細部までこだわりが見られ、例えばドアノブが天使やヤモリの形をしていたり、ドアノッカーがキツツキの形をしていたりと、注意して見ないと見過ごしてしまいそうなかわいい仕掛けがたくさん。訪れた際は、ぜひじっくりと見学してみてください。
碌山美術館へのアクセスは、最寄駅であるJR大糸線・穂高駅から歩いて7分ほど。駅から美術館まで、専用の遊歩道が整備されているので、道順通りに進めば迷うこともありません。100台以上を収容する無料の大型駐車場もありますので、車でのアクセスも便利です。
安曇野ならではの自然豊かな美術館に、ぜひ足を運んでみてください。
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この記事を書いたナビゲーター
森 のこ
おいしい食べ物ときれいな景色を求めて、おもに国内を思いつくままに旅しています。気づけば旅した地域は41都道府県(まだ行けていないのは富山・福井・鳥取・徳島・高知・鹿児島の6県です)。数々の旅を通して、…
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