写真:万葉 りえ
地図を見る四条通を八坂神社の方向に進んで、鴨川を渡ると、橋の左手に有名な京都南座がそびえています。右手を見ると川岸の植え込みの手前には、歌舞伎の祖・出雲阿国(いずものおくに)の像。
この辺りを「祇園」といいますが、特に観光客が多いのは四条通から南側の花見小路の付近。近年は海外からの観光客がぐっと増えて、まるで有名寺社の参道のようなにぎわいになっています。
今回ご紹介する四条通の北側にある祇園は、花見小路とは全く異なる印象を持つ通りです。華やかさではなく、しっとりした古都の風情を感じていただけ、「祇園で最も絵になる」といわれている場所なのです。
写真:万葉 りえ
地図を見るこのあたりが賑やかになったのは、1670年に鴨川の両岸に堤が築かれ芝居小屋と茶屋町が作られるようになったのが始まり。1676年の絵図ではすでに鴨川両岸に6軒の芝居小屋が描かれており、すでに一大歓楽街になっていたようです。
そんな町もたびたびの大火で、19世紀末には南北にそれぞれ1軒ずつの芝居小屋が残るだけになっていました。そのうち、北側にあった北座は1894(明治26)年の道路拡張により取り壊されてしまいます。
北座跡から北へ行くと、すぐに白川沿いの道につながります。石畳に柳がゆれる白川南通は、京都の路地裏まで知り尽くした観光の人力車の方々も勧めてくれるスポット。
春は桜舞う中をそぞろ歩きが楽しめ、白川の流れに沿っていくと巽(たつみ)橋へと至ります。
写真:万葉 りえ
地図を見る巽橋の付近で白川南通と交わるのが、新橋通になります。
町屋が続くこの通りは、多くの方にちょっとタイムスリップした気持ちを楽しんでいただけるはずです。
道に面した町屋の窓には弁柄(紅殻・べんがら)格子がはめられています。
一見同じような格子(こうし)に見えますが、実は少しずつ違っているのです。室内に光をたくさん取り入れたい呉服業は木々を細目に間をあけ、酒屋などは酒樽が当たっても壊れないように丈夫な太い木など、それぞれの商売に合わせた作りになっていました。
出入り口のそばには、駒寄(こまよせ)も健在です。駒寄とは、牛や馬をつなぐためのもの。
現在は植えられた植物が季節を表し、この町並みに彩を添えています。
写真:万葉 りえ
地図を見る町並み保存に指定されている地区は日本各地にあります。そのなかでも白川沿いと新橋通は、その保存地区の中でも特に重きをおいた「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されています。
町屋の中には外観は残しながら内部はレストランなどに変わったところもありますが、この辺りには舞妓さんのお名前が並んだ表札があるお宅もあります。ですから、有名料亭へ出入りする姿を見かけることも。
そんな芸舞妓さんたちが芸事の向上を願ってお参りするのが、巽橋のそばにある「辰巳大明神」です。神社に奉納した方々のお名前を見れば、ここが芸能人をはじめとして多くの芸事の信心を集めていることがわかるでしょう。
舞妓さんの写真撮影だけでなく、京都を舞台にしたテレビドラマでもたびたび使われるこの辺り。きっとどこかで見たことがあるはずです。
写真:万葉 りえ
地図を見る古い町並みを大事にしながらも、新橋通の辰巳大明神の近くにはこんな店もできています。
1997年より京都を拠点として、時計とアクセサリーを出している「dedegumo」。
古くからの伝統を今のデザインの中に取り込んでおり、ほかにはない魅力ある時計がたくさん展示されています。
斬新なだけでは飽きられてしまう心配がありますが、この町で職人たちが何代にもわたって伝えてきた伝統は、古いようで古くないという不思議な世界を持っています。
店内には腕時計だけでなく掛け時計などもあり、それぞれデザインが異なります。そして、近頃は時計だけでなくスマートフォンのカバーの種類も増えてきました。他では見ないような煌めきを持つのに、落ち着いた色あいが素敵な品々。
自分へのお土産に、そしてプレゼントに、ぜひ店内に入ってみてくださいね。
祇園といっても、四条通の北側は京都にちょっと詳しい人でないとあまり足を運ばない所。でも、人が少ないからこそ弁柄格子の家並を楽しみ、情緒を楽しむことができるといえるでしょう。
一人旅や、少人数でゆったりと京都の風情にひたるには、ぴったりの場所。
今度の京都旅行では、有名寺社だけではない京都にふれてみませんか。
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(2024/10/9更新)
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