写真:肥後 球磨門
地図を見る人吉球磨の玄関口は九州自動車道の人吉IC、列車だとJR九州肥薩線の人吉駅で、人吉駅では人吉城をイメージした「からくり時計」が出迎えてくれます。開始時刻になると、太鼓の音とともに、からくり時計が作動し、殿様が城下見物を行うという物語が始まります。城の一階部分からは日本遺産に選出された「人吉球磨のストーリー」を構成する一つ、熊本県指定無形文化財の「臼太鼓踊り」に扮した人形達が登場し、民謡「球磨の六調子」にのせて踊ります。
臼太鼓の音に誘われて殿様が庄屋に扮して城下町に繰り出します。人吉温泉と球磨焼酎を楽しんで城に帰った殿様は、城下を見ながら「天晴れ」と、その日の出来事を想うのです。約3分間展開される「人吉駅前からくり時計」の物語は、人吉球磨の伝統を知る一つとしておススメです。
写真:肥後 球磨門
地図を見る人吉駅から徒歩3分で到着する青井阿蘇神社は1200年の歴史があり、平成20年(2008年)に国宝に指定されました。多くの寺院や史跡、⽂化財を今も残す⼈吉球磨、その中でも⻘井阿蘇神社はこの地方の総鎮守として領主相良氏と民衆の信仰を集めた神社なのです。
写真にあるのは青井阿蘇神社のシンボルである楼門で、この門について司馬遼太郎は「街道を行く」の中で、「人吉の町で驚いたのは、青井神社の桃山風の楼門だった。(中略)京都あたりに残っている桃山風の建造物よりもさらに桃山ぶりのエッセンスを感じさせる」と絶賛しています。茅葺きの楼⾨をはじめ華麗に飾られた彫刻など桃⼭時代⾵の豪壮な建築様式は日本遺産にふさわしい建造物です。
写真:肥後 球磨門
地図を見る人吉駅から徒歩20分ほどにある人吉城址。人吉球磨地方を700年あまり統治した相良⽒の居城で、建物はありませんが国指定の文化財に指定されています。わずか2万石余りの小さい国でしたが、今に残る見事な石垣が当時の繁栄を偲ばれ、日本遺産を構成する文化財となっています。二の丸からは球磨川や人吉市街を一望でき、春には桜、秋には紅葉が楽しめ、城址近くにある人吉城歴史館では、相良氏と人吉球磨地方の歴史を学ぶことが出来ます。
写真:肥後 球磨門
地図を見る人吉球磨地方には鎌倉時代に創建されたと伝えられる三十三箇所の観音堂や観音像が点在し、それらを巡る「相良三十三観音めぐり」が伝統文化として残っていて、日本遺産を構成する一つとなっています。
「相良三十三観音めぐり」は、春と秋の彼岸に、全ての観音堂が一斉に開帳され、各地から多くの巡礼者や観光客が訪れます。またこの期間は地元の方々の、お茶やお菓子などを来訪者に振舞う「お接待」が今なお続いていて、心あたたまるおもてなしを受けることが出来ます。
三十三観音の全てを参拝できるのは春と秋のお彼岸だけですが、写真にある「新宮寺六観音」のように一年を通して参拝できる場所もあります。観音様の慈悲に満ちた眼差しに心を癒されてみてはいかがでしょうか。
写真:肥後 球磨門
地図を見る人吉駅から東へ車でおよそ30分走ると、相良氏が最初に土着したと伝えられる球磨郡多良木町に到着します。その多良木町の黒肥地(こくひじ)にあるのが1295年に創建されたといわれる相良家の菩提寺「青蓮寺(しょうれんじ)」です。外観は素朴ですが、高さ約13mの熊本県内最大の茅葺屋根を持つ阿弥陀堂は、鎌倉時代の荘厳さを残していて、この前にたたずんでいると心が洗われるように感じます。
いかがでしたか。
日本遺産「人吉球磨のストーリー」は、今回紹介したほかにも、球磨川下りや美人の湯といわれる人吉温泉、じゃんけんのルーツと伝えられる球磨拳など41の有形・無形文化財で構成されています。
日本遺産の見学の後は、相良の殿様のように人吉温泉を楽しみ球磨焼酎を飲んで「天晴れ」と一日を締めくくるのはいかがでしょうか。
この記事を書いたナビゲーター
肥後 球磨門
福岡県生まれですが、大分県別府市に長く住み10年前に熊本に移り住んできました。ドライブがとても好きで、熊本は九州内の著名な観光地のどこへ行くのも車で2時間くらいの好立地なので家族はいますが、一人旅を続…
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