かずら橋の架かる祖谷渓谷を遡り、四国で第2位の高峰「剣山」まであと僅かで到着するという所の、「名頃」という集落に入ると、人影が急に増えたなと思う場所があります。
よく見ると、それは「かかし」たちが、畑で農作業をしている風景です。
「かかしの里」と呼ばれるこの場所は、「かかし」を作っている、綾野さんの暮らす地でもあります。
「かかし」を作っている綾野さんは、都会からUターンされこの地で暮らしています。最初は農作物を食べに来る鳥などを追い払うため、「かかし」作りを始めたそうです。本物の人のようで、見た人が驚くのも楽しく、また、過疎化の進む地域で、少しでも賑やかさを作り出そうと、どんどんと作るようになったとのことです。
「案山子(かかし)」と言えば、単純な造形に、顔は「へのへのもへじ」というのを想像しますが、綾野さんの作るのは、どれも表情豊かで、様々な動作もあって、本物の人と見間違える、とてもよくできた人形です。
たくさんの「かかし」の中には、知り合いの誰かに似ているというのが見つかるかもしれません。
昔たくさんの人たちが暮らしていた時のように、「かかし」たちはいろんな姿を見せています。バス停で待つ姿や、懐かしいリヤカーを引く姿、軒下で語り合う姿など、まるで本当の人が暮らしているように再現されています。
芸能人の方が、テレビ番組のロケなどで訪れた時に、自分に似た「かかし」を作って置いて帰ることもよくあって、テレビで見たことあるような姿の「かかし」も座っています。
また外国人旅行者の方もよく訪れ、たくさん写真を撮って帰られます。
「かかし」制作者の綾野さんは、陶芸もされていて、自宅で作品を焼かれています。「かかし」が店番をする前には、カップやお茶碗、箸置きなどの作品が販売されています。また、布で手づくりされた「みのむし」キーホルダーもあります。
とっても静かな秘境の地で、「かかし」たちとの暮らしから作られる品々は、旅の思い出にとっておきのものとなると思います。
「かかしの里」は、祖谷の最も奥の場所にありますが、その手前には「落合集落」という、山の斜面の集落に江戸時代からの古い民家がたくさん残り、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている所があります。この「落合集落」には、東洋文化研究者アレックス・カー氏のプロデュースにより改修整備された、茅葺きの古民家宿泊施設が8棟あります。
関連メモで紹介している「桃源郷祖谷の山里」で管理されていて、外観は昔ながらの茅葺き、しかし、中は床暖房に、最新式のキッチン、お風呂やトイレはとても快適というものです。
祖谷の秘境感を味わうには最適の宿泊施設と思います。
過疎化で人口が大幅に減少していく村で、人の数を上回る「かかし」たちが賑やかさをつくり出しているという、少し寂しい物語が背景にあったりしますが、表情豊かな「かかし」は、訪れる人に癒しを与えてくれます。
大勢の人々が暮らした昔は蘇らないかもしれないけれど、「かかし」たちが新たな暮らし風景を創り出している様子は、とても印象に残るものと思います。
外国人観光客にも人気のスポットとなっている「かかしの里」、是非訪れてみてください。
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(2025/1/18更新)
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