写真:沢木 慎太郎
地図を見る築地市場(東京)や錦市場(京都)、黒門市場(大阪)など、全国に巨大な市場はたくさんありますが、民営の卸売市場で素人さんもセリに参加できるのが、「大阪木津卸売市場」(通称・木津市場)のおもしろさ。
“食い倒れのまち”大阪の台所として、約300年の歴史を持ち、民間の巨大卸売市場として独立を保ち続けた独自の気風と心意気が、他の市場と比べて断然に違います。お客さんを心から楽しませ、喜ばせようという気持ちが大阪独自の風土と混ざりあい、大阪人ならではのアツいパフォーマンスが感じられるのが、木津市場のたまらない魅力です。
そんな木津市場で、すべての買い物客の心をわしづかみにしてしまうのが、こちらイケメンのお兄さん(カネセ商店)。巧みな話術とともに、次々と目の前に出される新鮮な魚の数々。その手つきは、まるでマジシャンのように鮮やか!この次はどんなものが出てくるのか、お兄さんを崇拝したように見つめる子どもの目がとても素直。マグロの巨大な頭や、背骨なども出てきて、お客さんを沸かせます。
お金を払って笑うだけでなく、今晩のおかずも安くゲット。木津市場のセリ売りはとても楽しく、 その魅力は“よしもとライブ” 以上です。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る続いての芸人さん(?)は、通称“木津のアイドル”たちが集まる「粂徳」(くめとく)の方々。ふぐ・鮮魚を専門に取り扱うお店ですが、この日は、下関産の大フグが入荷したとあって、お店も大判振る舞い!4万円以上もする天然の巨大フグを、なんとセリに。
一瞬のうちに、目つきが変わるセリ体験者。しかし、それよりも真剣なのがお店の方々。いくら大阪人のサービス精神が旺盛といえども、4万円の超巨大フグを、千円で落とすわけにはいきません。生活がかかっているので、笑ってなんかいられない。
出刃包丁を握る板前さんの、空をにらむ必死の形相もたまらない。真剣勝負ゆえに、笑いが込みあげてくる。これぞ、“木津市場ライブ”のだいご味です。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るさて、おいしい食材はないかと場内を歩いていると、なんと正面から歩いてくるのは、まったくのポーカーフェイスでやって来る昔懐かしい「チンドン屋」(ちんどん通信社東西屋)さん!
おそらく平成生まれの方はご存知ないかと思いますが、太鼓やクラリネット、サックスなどを持ち、奇抜な仮想で街を巡る方々で、江戸末期にまでルーツをさかのぼる広告代理店の専門スタッフと言ったらいいでしょうか。
街頭テレビや街頭紙芝居と同様に、21世紀には完全に絶滅したはずだと思っていたのに…。ひょっこりと当たり前のように顔を出す彼らのひょうきんな顔が、あまりにもおもしろすぎ!こうした意外な芸人級の人たちに出会えるのも、木津市場ならではのパフォーマンス。
この日は、特別のイベントのため、その盛り上げ役として出陣!さて、その特別イベントとは…
写真:沢木 慎太郎
地図を見るこちらが、その特別イベントで、何やらとても、めでたい雰囲気!この美しい女性は、木津市場からほど近い今宮戎神社の福娘さん。清楚な衣装と金の烏帽子が印象的です。
福娘さんがなぜ木津市場にいるかというと、これは今から大鯛を今宮戎神社にまで奉納するため。つまり、「献鯛式」に参列するために木津市場に来られました。
商売繁盛の神様“えべっさん”として親しまれている今宮戎神社ですが、七福神の一柱「えびす」さまは釣り竿と、鯛を抱えています。実は、えびすさまの鯛を奉納しているのが木津市場。毎年1月9日、今宮戎神社の宵宮になると、全国から木津市場に集まった鯛の中から、福娘さんが一番立派な雌雄一対の大鯛を選び、これを奉納。当日は市場から奉納行列が行われます。
これは江戸時代から伝わる行事。宵宮の木津市場内では、餅付きや鏡開き、チンドン屋さんの演奏などが特別に行われ、とても華やかで楽しい!今宮戎神社の福娘になるためには芸能界並みの狭き門をくぐらなければならず、まさに“大阪のミスユニバース”。そんな素敵な福娘さんを間近に見られるなんて、すごい感激!「献鯛式」は年に一度の行事ですが、機会があればぜひご参加ください。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る木津ライブに参加し、大阪人たちのパフォーマンスを楽しみたい方は、木津市場の「朝市」に参加すること。毎月第2土曜日と最終土曜日の午前9:00から午後12:00まで開催しているイベントで、卸売市場ならではの新鮮素材を使ったグルメは絶品です。当日は安い食材を手に入れることができ、素人さんもセリに参加できる“セリ体験”のイベント(事前に予約が必要。木津市場のホームページからネットで受け付け)が大好評。
「朝市」では、卸売市場ならではの新鮮素材を使ったグルメを堪能でき、食べ歩きを楽しむことができます。木津市場は、200店舗近い卸売関係者が入居。広い敷地内には野菜や果物、魚介類や精肉などが所狭しと並び、見ているだけでもおもしろい。
中には珍しい食品も見つけることができます。こちらの「稲本食糧品店」さんは、選りすぐりの食材を集めているお店。普通のスーパーではまず見かけない品を多く取りそろえています。
たとえば、写真の女性が手にしているのはスペインワイン。コクがあって、たいへんまろやか。スペイン固有のブドウは種類も豊富で、品質も確か。こんなおいしいワインを手に入れるなんて。卸売市場ならではの目利きが素晴らしい!干しシイタケや黒米、雑穀米、そして珍しい数々の調味料までプロが扱う品が手に入れることができます。
何よりも楽しいのは、木津市場の人たちとのふれあい。そして、買い物に訪れるお客さんの“おいしい笑顔”が、木津ライブを盛り上げる最高のパフォーマンスです。そのお店の人に会いたくて、また訪ねたくなる。これが、大阪ならではの卸売市場での楽しみ方。木津市場は、大阪・難波の道頓堀や大型商業施設「なんばパークス」にも近いので、大阪観光の際は少し足を延ばし、生粋の大阪人のおもてなしを体験されてはいかがでしょうか?
大阪の魅力は大阪城やUSJだけではありません。地元の人たちが愛着を持っている場所にこそ、大阪の本当の素晴らしさがひそんでいます。大阪に観光で来られたら、地元民が足しげく通う木津市場を楽しまれてはいかがでしょうか?
なお、木津市場の詳しい見どころや、周辺の観光スポットについては別途、記事にまとめていますので、ご興味のある方はリンクからのぞいてみて下さい。
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