英勝院を祀る祠堂は、トタン葺きの建物のなかに保護されています。鮮やかな彩色がほどこされた柱や彫刻は日光の東照宮を思わせます。
この祠堂の前に大きく育った椿の木があります。鎌倉市の天然記念物になっている「侘助(わびすけ)」です。12月下旬から2月初旬にかけてが見ごろです。通常の椿に比べて小ぶりで、一重咲きなのが特徴です。香りも良く、楽しめます。
香りがいいと言えば、黄色が美しい蝋梅(ロウバイ)です。甘い香りが辺りに立ち込めます。12月下旬から1月中頃にかけて咲きます。気候が温暖だと葉が落ちる前に花が咲き、黄色い羽根のような葉と星のような花とを同時に見ることができます。
草花を愛でるだけではなく、静寂を感じさせてくれる竹林のなかを歩くことができます。心も体も浄化してくれるような清らかな空気が漂います。竹林の脇には書院があります。5月には書院前の藤棚に白い藤が咲き誇り、とても優美な姿を見せてくれます。
英勝寺の境内中心に、仏殿があります。軒はぐるり、装飾された十二支の彫刻が囲んでおり、ひとつひとつ姿形と表情やしぐさがユニークです。屋根の下には建物を裳裾のように隠す、裳階(もこし)と呼ばれるひさしがついています。風雨から建物を守るほか、実際より多層に見せるので優美さを出すためにも付けられたようです。
正面の小窓を開けると、本尊の阿弥陀三尊を拝むことができます。阿弥陀如来像の蓮座に注目してください。二つに蓮が左右に割れています。これは、人々を救うために自ら阿弥陀如来が蓮から降りてこられる象徴とされています。
仏殿ほか各建物は江戸時代前期に見られる、禅宗様と和様とを自由に組み合わせた折衷様式となっており、見応えがあります。
古木や名木、季節の草花が多い境内には、野の花も見られます。鳥が落としていった種から新しく芽吹いた命も一緒に生きています。作りこまないことを良しとする自然観が感じられ、風情があります。ゆっくりとじっくりと歩きながら、自分だけのとっておきを見つけてみませんか。
紹介したほかにも、古木や草花がたくさんあります。山門脇の唐楓も鎌倉市の天然記念物です。春には薄墨桜という鎌倉では珍しい桜が咲きます。季節ごとに訪れて、変化をぜひ楽しんでください。
アクセスは、鎌倉駅西口から歩いて約15分です。途中、寿福寺の山門を見てから訪れてもいいですね。英勝寺の総門は閉鎖されていますので、通用門から境内に入り受付をしてください。
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(2025/1/18更新)
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