底冷えのする冬の京都で食べたい!超絶品鍋5選

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底冷えのする冬の京都で食べたい!超絶品鍋5選

底冷えのする冬の京都で食べたい!超絶品鍋5選

更新日:2016/01/22 17:52

二宮 うららのプロフィール写真 二宮 うらら ライター、エディター

しんしんと足元から冷え込む冬の京都。一年中が観光シーズンの京都でも、この季節は観光客の足もやや鈍りがちだ。しかし、京都には冬ならではのおいしいもんがいっぱい。そして寒い時期にぜひ食べたいのがあったか鍋物。京都ならではの選り抜きの鍋料理を紹介する。

創業約330年の老舗「大市」のまる鍋は“あったまるんだから〜”

創業約330年の老舗「大市」のまる鍋は“あったまるんだから〜”

写真:二宮 うらら

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“まる”とは京都ですっぽんのこと。ここ、大市は志賀直哉の「暗夜行路」、川端康成の「古都」など、数々の小説や随筆に登場するすっぽん専門店。

創業は江戸・元禄年間。創業当時からの場所で、昔の趣のままの町屋造りの建物で営業し続け、建物の外側には刀傷も残っている。低い軒をくぐれば古風な土間が広がる。まる鍋は、その奥の中庭を取り囲むように配された個室でいただくことになる。

料理はまる鍋コースのみ。先付けの「すっぽん肉のしぐれ煮」に続いて登場するまる鍋は、ぐらぐらと煮えたぎるすっぽんスープとすっぽんの骨付き肉が入っただけの極めてシンプルなもの。
写真を見ていただくとおわかりだと思うが、他の具材は一切入らない。通人は、最初にすっぽんスープと日本酒を半々に割って飲むそうだ。

1600℃にもなるコークスの炎でいっきに炊き上げるまる鍋は、すっぽんの脂やゼラチンを溶かしこみ、濃厚かつさらっとした味わい。味付けは日本酒、醤油、そして最後に加える生姜のみだという。

最初の鍋と同じものがもう一度出て、締めはすっぽんの上品な旨味をたっぷり含んだスープで仕上げる雑炊。これがまた絶品!
いつまでも余韻に残る深い味わいに、多くの著名人をひきつけてきた理由が納得できる。

まる鍋を食べた後は、体が芯からほかほかに。さすが滋養強壮の素、京都のもっとも冷えこむ時期にこそ食べたい鍋だ。

老舗蕎麦屋「晦庵 河道屋」の野菜たっぷり鍋『芳香炉』

老舗蕎麦屋「晦庵 河道屋」の野菜たっぷり鍋『芳香炉』

写真:二宮 うらら

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中国の火鍋を思わせる独特の鍋で、ゆば、飛龍頭(ひりょうず)、真蒸(しんじょう)鶏肉、ねぎ、ほうれん草、京菊菜、しいたけなどを煮て食べる。上品で深い出汁の味わいが口の中に広がり、どんどんと箸がすすむ。
これが京都の蕎麦の老舗「晦庵 河道屋(みそかあん かわみちや)」の名物鍋『芳香炉(ほうこうろ)』である。

創業はすっぽん料理の「大市」と同じで、こちらも江戸・元禄年間。『芳香炉』は先々代店主、植田貢氏が考えた鍋だそうだ。知人より満州から持ち帰った鍋をもらい、その鍋を使うためにこの料理を考案したのだとか。
料理名も鍋の名前『火鍋子(ホーコーズ)』からとって『芳香炉(ほうこうろ)』とした。昔は鍋の下に炭を入れて煮ていたが、今はガス台を使用。そのガス台も鍋の形状に合わせたユニークな形になっている。

出汁は代々守られてきた河道屋独自のもの。ぷるぷるとした食感の真蒸、魚のすり身をベースに、ギンナンやキクラゲを入れた飛龍頭など、厳選された食材の仕入先は、メニュー誕生当時と変わっていないという。写真では真蒸や飛龍頭が目立つが、それらの具材の下には緑豊かな野菜がたっぷり隠れているので、掘り起こしながら食べる。

現・店主、植田健さんによれば
「これは、ほんまは野菜の鍋なんです。京都に映画やドラマのロケで来る方は、外食が続くと、うちにこれを食べにきはります。ねぎは洛北の鷹ヶ峯にある契約農家から取り寄せています。冬場は特に太くなりおいしくなるんです。菊菜は「おたふく」と呼ばれる京菊菜。これも冬が旬です。今は年中野菜が確保できるので、この鍋も一年じゅうお出ししていますが、昔は野菜がおいしくなる冬にしか出してませんでした」と。

京野菜の旬である冬にこそ食べたい『芳香炉』。具材の味がしみ出した豊かな味わいの出汁でいただく、そばとうどんで締めとなる。

白味噌仕立ての出汁でいただく「畑かく」のぼたん鍋

白味噌仕立ての出汁でいただく「畑かく」のぼたん鍋

写真:二宮 うらら

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真っ白な脂身と鮮やかな赤身の対比が美しい猪肉。京都では、この猪肉をぼたんの花に見立て、猪肉の鍋を「ぼたん鍋」と呼ぶ。なんとも風雅なことである。

数奇屋造りの部屋に通されると、猪肉でぼたんの大輪が咲かせ、その周りに白ねぎ、ごぼのささがき、生麩などを盛り付けた大皿が登場する。鍋には白味噌仕立ての出汁が張られていて、それを囲炉裏の炭火で煮ながらいただく。

この「ぼたん鍋」を考案したのが御所の「御猟場」(ごりょうば)にある宿の息子として生まれた「畑かく」の先々代。大正7年に「畑かく」を創業した際、山家料理の猪鍋を京都の町の人に親しんでもらうため、盛り付けや味にこだわり「ぼたん鍋」と命名した。

猪は、晩秋から初冬にかけて丹波・篠山地域で狩猟する3〜4歳の猪の肉をストックして使用。
「京都の北部から兵庫県の丹波・篠山、そして中国地方の山々は“ししライン”と呼ばれるほど、おいしい猪が捕れるところです。この時期の猪は、ドングリや椎の実、栗などの木の実を中心に食べているので、最もおいしいんです。特に白い脂身に、甘みと芳醇なコクがある。猪肉は、脂身に価値があるもんなんで・・・」と店主の新造一夫氏。
冬が深まってから狩猟される猪は、雑食となっているので臭みが出て、味が落ちるそうだ。

最後は餅とご飯を入れて雑炊に。例年11月中旬〜3月中旬まで「ぼたん鍋」コースを提供。懐かしさが感じられる炭の香りとともに、炉端でいただく本物のぼたん鍋の味を楽しもう。「猪はちょっと苦手」という人も、きっと好きになるはずだ。

秘伝の紙鍋で煮る「きんなべ」の鴨鍋コース

秘伝の紙鍋で煮る「きんなべ」の鴨鍋コース

写真:二宮 うらら

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京都の鍋ものといえばかしわ(鶏肉)を使った水炊きが有名だが、冬なら鴨鍋にも挑戦したい。脂ののった合鴨を、あっさりとした薄味の出汁でゆっくり煮ていただく。合鴨は、骨も一緒に叩きこみミンチ状にしたつくねと、ロースが味わえる。
京都ならではの食材、九条ねぎや湯葉、豆腐も鴨独特のコクのある深い味をまとい、さらに美味さが増す。好みで自家製のポン酢や山椒をかけて食べ進む。

「きんなべ」という店名は、明治時代に開業した初代が、純金の鍋を使っていたことに由来する。戦時中、鍋を供出したことから、今度は紙製の鍋を思いついた。ただの土鍋ではおもしろくない。そんな遊び心から生まれた発想なのだという。

純粋な和紙を使った鍋で、直接火にあたると燃えるが、網の上にのせ、スープを張って火にかけると不思議と燃えない。ただし、強い火力はNG。火加減は中居さんにおまかせしたい。
「肉や野菜から出るアクや余計な脂を、紙が吸い取ってくれるので、スープは最後まですっきりした味わいを保ちます。また、火力の調整がしやすいので、野菜がシャキッとした状態で食べられるのが特徴です」と女将さん。

鴨鍋コースの期間は例年10月初旬から3月末頃まで。紙鍋でゆるりと炊く鴨鍋を、味わってみてはいかが。

南禅寺「順正」の湯豆腐は、ふんわりなめらか。

南禅寺「順正」の湯豆腐は、ふんわりなめらか。

写真:二宮 うらら

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利尻昆布が沈む湯のなかで、ゆらゆらとたゆたう豆腐。それを静かにすくいとって、特製たれにくぐらせ、口のなかへ。外は熱々、なかはふわりと温かい湯どうふは、大豆本来の甘みを秘めた滋味深い味わい。冷えた身体も、ほんのり温めてくれる。

そう、京都といえば湯どうふ。良質な軟水に恵まれた南禅寺や嵐山界隈には湯どうふの名店が多い。南禅寺門前の茶屋料理として生まれた湯どうふを味わう店として、人気が高いのが「順正」である。

1200坪もある敷地には、国の有形文化財に登録されている「順正書院」が建ち、東山を借景にした日本庭園が広がっている。「順正書院」は江戸時代の蘭学医、新宮涼庭が天保年間に開設した医学学問所で、その佇まいが実に美しい。そんな京都らしい風景を愛でながら、名物の湯どうふが味わえるのだ。
鍋からは湯気とともに、ほのかな柚子の香りが立ち上り、ほっこりとした時間が流れる。

ところで京都の湯どうふに使われる豆腐は、木綿豆腐だということをご存知だろうか。火を入れる前は木綿豆腐本来の固さがあるのに、湯のなかで温めると、ふっくらとなり絹ごし豆腐のようななめらかな舌ざわりになるのだという。

湯どうふコースには、でんがく、天ぷら、炊き合わせ、ごま豆腐、香の物、ご飯が付く。

寒さが愛おしくなる京都の鍋料理

一度は食べてみたい京都で愛される絶品鍋、いかがだっただろうか?
京都の冬はおいしいもんがいっぱい。そんななかでも、暖をとりながらいただく鍋料理は格別。
ぐつぐつ煮える鍋で、身も心もほっこり温まること間違いなし!
京都らしい風雅なしつらえも、味わいのひとつとなるだろう。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/02/15−2015/02/20 訪問

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