リンゴットは、当初フィアットの自動車工場として1916年に建設が開始まり、1923年に操業が開始されました。敷地面積は40万平米で、イタリア人建築家ジャコモ・マッテ・トゥルッコによって設計された地上5階建ての工場建築は、当時世界最大の工場とされました。
現在も建築の規模は、当時のまま残されており、近代化によって産業が拡大していった時代の力強さを現在に伝える巨大なものです。
1982年に工場が閉鎖され、その後の建築の活用案を募る設計競技によって、やはりイタリア人建築家であるレンゾ・ピアノの案が選ばれました。レンゾ・ピアノは、関西国際空港の設計者でもあるので、名前は知らなくても彼の建築に触れたことがある方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。
この螺旋状のスロープは、自動車工場時代に完成した車を出荷するために使われていたものです。現在は、上下階の行き来など、来館者が自分の足で歩くことの出来る場所となっています。
なかなか体感することのないスケールは、自動車工場であったというこの建物の特性を外観の巨大さ以上に伝えてくれているものです。
商業施設として使用されている部分は、工場時代のスケールの大きさを残しすぎると使いにくくなってしまうので、一番特徴的なところをしっかりと残して見せ、主として使用する部分に手を加えたというのはとても効率的です。
リンゴットには、ショッピングモール、映画館、ギャラリー、美術館、ホテルなどが入っており、商業施設としてとても充実しています。
ショッピングモールとして使用されている部分には、工場だった頃の建築的特徴がとくに残されているとはいえませんが、内容の充実により多くの来訪者を集めています。
また、ホテルは「NH トリノ リンゴット テック」といい、工場時代の天井高を生かしてお洒落にデザインされたロビーやレストラン、客室が人気です。地下鉄の駅からも近く、商業施設も隣接しているので、便利な立地も魅力です。
リンゴットのような近代化に伴う産業遺産の保存は、近年日本でも軍艦島や富岡製糸場が話題になっています。当時の面影を残しながら、現在も地元の人をはじめ、多くの人々に親しまれているというのは、とても素敵なことだと思います。
リンゴットの隣には、日本でも人気のイタリアの食料品店イータリーの本店があります。リンゴットのショッピングモールやイータリーで、イタリアらしいお土産を買い求めてはいかがでしょうか。
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(2024/10/14更新)
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