銚子電鉄を訪れるのであれば、JR総武本線の終点である銚子駅に行きましょう。JR線のホームを延長した先にプラットホームがありますが、JRの駅舎と比べてとても小さなものなので、びっくりするかもしれません。
銚子電鉄には全線通じて、もはや全国の駅では当たり前に設置されている自動改札機も自動券売機もありません。切符は電車の中で車掌さんから購入するのが原則です。その電車についても、走行中に冷房は使われません。暑いときには窓を開け、外からの風を取り入れるという昔の電車に乗るときのスタンダードを覚えておくのがよいでしょう。
銚子の次の駅が仲ノ町。銚子電鉄の車両基地を見学するには、ここで下車します。ついでに、ここには車両基地だけでなく、銚子電気鉄道の本社も位置しています。
銚子電鉄の場合、車両見学をするための手続きは、仲ノ町で入場券を購入するだけで、後は見学や写真撮影を自由にできます。その入場券は、なんと、「硬券」。今時の人向けに説明すると、自動券売機などなかった昔は、駅員さんが1枚1枚切符を発行していたのですが、その厚みは、現在の自動券売機とは比べものにならず、そこで発行する切符に対して硬券として区別されていたのです。このご時世、硬券を発売している駅はきわめて少ないので、電車の車庫を見る目的でなくても、コレクション用に購入しておくのがよいでしょう。1枚150円です。
仲ノ町駅は周囲をヤマサ醤油の工場に囲まれています。ほこりっぽい鉄の匂いに、製造中の醤油の香りが混ざっていました。工場マニアの方なら被写体には事欠かないでしょう。
銚子電鉄訪問の目的のひとつが、デキ3型電気機関車を実際に見ることでした。営業用の電車はいずれも1960年前後の製造なのですが、この電気機関車は1922年製で、ドイツから輸入されたもの。大正時代に製造された鉄道車両が今も動く状態で残っていること、日本に残るドイツ製の電気機関車であることから、二重に珍しい存在だといえます。実際、仲ノ町検車区のマスコット的存在として、鉄道ファンの人気を集めています。
写真に写っている車両は、左から、旧営団地下鉄のもの、真ん中が元京王帝都電鉄のもの、車庫にいるのはオレンジと白ですが、運行中の電車はひとつが赤、もう一つが緑と、列車ごとに色が異なります。そして、右側に小さく写っているのがデキ3。電車と比べても本当に小さく、今日本で走れる電気機関車の中では最小なのではないでしょうか? 車庫に併設されている工場によって念入りに整備が行われていて、イベントの際には構内を自走することもあります。
銚子電鉄に10ある駅の中でも、犬吠駅は群を抜いてハイカラな造り。ポルトガルの宮殿風建築の駅舎は、その個性が評価され、1997年に関東の駅百選に選ばれました。
今や銚子の新しい名物となり、銚子電鉄の経営を立て直したという逸話のある「ぬれ煎餅」や、土産物の定番になっている佃煮も、犬吠駅の売店で買うことができます。ただし、営業時間は10:00から17:00までというところに気をつけてください。この時間を外すと無人駅の状態になってしまいます。
外観だけでなく、駅舎の中も清掃が行き届いていて気持ちがよく、清潔感はJR各駅や他の私鉄以上と思いました。特にトイレは公共施設とは思えないほど清潔に保たれていたことを、念のために付け加えておきます。
銚子電鉄の終点が外川駅。写真の通りの木造駅舎ですが、このような造りの駅舎はすっかり珍しくなってしまいました。
かつてのNHK朝の連続テレビ小説「澪つくし」のロケ地となったことが、駅前の看板からもわかります。この近辺のローカルな雰囲気を活かして、ミュージックビデオの撮影も数多く行われています。また、外川駅には車籍を外されないまま留置されている古い電車が停められてありましたが、時々、駅構内を走行することがあるそうです。
銚子電鉄は、全線通じて、鉄道ファンだけならず、それ以外の人にとっても写真撮影のポイントが数多くあります。「弧廻手形(こまわりてがた)」という全線乗り降り自由の1日乗車券も販売されているので、これを大いに利用して、昭和にタイムスリップしたかのような鉄道を楽しんでください。
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(2024/10/15更新)
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